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気になるのは米そして調味料

拙いと思いますが、生暖かい気持ちでお願いします。

 





「今日もいい天気だねぇ」


 のんびりと土を耕し種を植える。

 貴族の娘としてはあり得ない事だけど、私には許されている。

 最近私には二つ名がついた。


「豊潤の姫巫女」


 聖女じゃなくて姫巫女、なぜか?

 それは私がワーム(ミミズ)をテイムしたから。

 そして微妙に形態が変わってきている。ミミズに足が生えたのだ。

 何だか龍っぽくなってきている。そして懐き度も半端ない。


 ”今日のご飯も美味しかった”


 ”マエちゃんとこの畑の近くに、大きな池を作ったよ♪”


 ”作ったというか出来ちゃった?”


 ”お山に変な虫いたから食べちゃった”


 ”フィルが言ってた暖かい湯が出る所出来上がったよ♪”


 そう、念話でお話が出来るようになりました。

 地下でいろんなものを探索しているようです。

 時には失敗もあるけれど、領民の人は寛容で許してくれる。


「その池って結構水の量多いの?」


 ”うん、お山の水脈と繋がっているから枯れる事ないよ”


 それならその水を、飲料水にすればいいだろう。

 畑とかに使わずに、特別な感じにしてもいい。

 水はとっても貴重だもの。

 景観を良くして水神さんを祀る感じとかどうだろうか?


「その池を水の神様を祀る感じにして、綺麗に整えるとかどうかな?近くにアスレチックとか置いて楽しめる様にして、憩いの場にするの。時々ここみたいにお祭りしたり楽しいよね。うん、土だけ祀ってもね。水も祀らなきゃ♪」


 ”お祭り好き~♪”


 ”いいと思うよ。お水の神様喜ぶかも~♪”


 ”呼んじゃえ♪呼んじゃえ♪”


 ”お水に関係する知り合いいるんだ~♪”


 ”楽しいの好きだから喜ぶよ♪”


 そんな事を言っていたが、まあいっかと放置していたら一頭の黒馬と二頭の白馬が池に住み着いた。

 ミミズの一郎が言うにはケルピーだそうで、そこの水源を守ってくれるらしい。

 何より近くにある林檎の木がお気に入りで、毎朝マエちゃんが食べさせてくれるそうだ。


「もうホントいい子なんですよ。お馬さんどうぞ♪ってくれるんですけど、瑞々しいし甘酸っぱさがちょうどいいですし、何より食べ応えが最高なんです。ホントに美味しい♪」


 ”ケルピーはよく人食いとか肝臓のみとか言うけどね”


「あれは川の水を守る為ですよ。おぼれ死んだ者です。肝臓が一番傷み易くて、水を汚染させるんですから、処置です、疫病が流行るよりいいでしょう」


 なるほど!とにかく領民に害がないならいい事だ。

 これから長い付き合いになるのだから、よろしくお願いする事にした。


 おかげで夏は流水の水場を作り泳げるようにし、まわりにはアスレチックを作り領民の憩いの場になった。

 そしてケルピーが住む所にはお社みたいなモノを作り、マエちゃんが今まで通り面倒を見てくれる。

 ときどき子供達を背に乗せ、馬の乗り方を教えている様だ。

 おかげで男の子達に人気がある様で、水の御社は男の子達の集まり場。

 土の御社は女の子達の集まり場の様になっている。



 そして見つかったお湯の湧き出る場所は、意外にも土の社近くだった。

 というかそこに水の水脈があるそうなのだが、そこにマグマだまりみたいなものを作ったそうだ。


 “サラマンダーにお願いしたら、美味しい果物くれるならいいよってオッケー貰ったの♪”


 ”だからそこにも御社作ってあげてね。”


 ”果物というか甘い物が大好きなんだよ。”


 だからそこにも火の御社を作る事にした。

 そこの周りの土は暖かいらしいので、試しに砂蒸し風呂を試してみたら効果覿面だった。

 また、暖かい気候に向く作物を植えている。

 おかげでそこだけ南国のような雰囲気な場所になる。

 そしてお年寄りやら、兵士たちが面倒を見るようになった。

 そのせいだろうか?周辺にはマッサージや医療を生業の者達が集まり、医療特化の地区へと様変わりしたのだった。

 おかげでサラマンダーは医療の神様にまで祭り上げられ、困惑気味なのは言うまでもない。


 ”申し訳ないけど、病気治すとか無理だから”


「もちろんわかってる」


 ”料理神様とかだったらあるけど、さすがに医療関係は初めてだ”


「うん、なんかいろいろとごめんね」


 ”うん。まあ一応火で出来る事あるか、考えて見るけどさ。期待しないでね”


 申し訳なさそうにしながら、考えるというサラマンダー。

 ホント申し訳ない。これには父親のオスバルドも申し訳なく思ったのか、湯に入った帰りには酒を持参して参る様になり、今では酒飲み友達になっている。

 ついでに母のマリアナとも仲が良い。

 茶飲み友達でよく屋敷で話をしている様だ。


 そして遂に私の目の前に真っ白いモフモフな犬が現れた。


 ”風もあった方がいいかなっと思って♪”


 ”フィルの護衛にもなるし、移動に便利でしょ♪”


 ”いつもくっついてる事出来ないから~”


 ”お願いしたんだ。フィル良く狙われているんだよ”


 ”ホントしつこいよね。あのしつこさは凄いよね”


 ちょっと待ってよ!狙われているって何?!

 魔獣というかワームさえも呆れるしつこさって何なのよ?!!


 ”いつもうまい飯が食べれると聞いたからな。実際皆が太鼓判だし、お前がどうにかなったらなくなると言われてな。俺が責任持って護衛しよう。美味い物がなくなっては困る”


 こうして風の社はないが、自宅に犬並みのサイズになったフェンリルが同居する。

 おかげで移動する時は、モフモフに乗って移動でき、護衛もキッチリとこなす。

 時には空をかける事さえある。

 そしてなによりいろんな所に赴いているし、食道楽だそうだ。


 ”人化もできるからな。いろんな所で食べ歩いたものだ。フィルの探している食材というモノも気になるな。いろんな料理を食べたいものだ”


 つまりは最強の食材アドバイザーを手に入れた。

 良かったよ。手探りで探すほど大変な事はないんだからね。

 そう以前どうしても我慢できなくて、手探りで探した食材があるのだ。

 それは米!どうしても日本人。

 これだけはもう我慢の限界に達していた。

 そして調味料。日本の基本さしすせそだった。




 ****************




 そう、調理場に初めて伺った時、私が食材と同時に気にした事。

 それは調味料の存在だった。

 というのも料理中、調味料が砂糖と塩しか確認できてないような、ホントに??


 ”()()()()()は最低でも欲しいよ。”


 ないならないで困るけど………

 えっ、まさかそこから始めろとか言わないでね。

 そんなことしたら、私は近い将来栄養失調になるだろう。


「フィル?」


 クリス兄が私に声をかける。

 私はおぼろげな表情で生返事をする。


「フィラメント様?どうされたのですか??」


 私は顔色が悪くなっているようだった。




 酢というかビネガーがありました。

 醤油と味噌どこかにないのでしょうか?

 お米もホントにないのでしょうか?

 前前世王宮にいたのに味覚の記憶がない。

 仕事に忙しくてちゃんとした料理、そういや食べてないやと思う私。

 つまり前前世の記憶は、全く役に立たない。


「あのほかに調味料は?辛味とか香辛料とかあるよね?」


 それともこの世界ならではの調味料があるのだろうか?

 私は期待しながら返事を待つ。


「そうですね。香辛料と言うか確かに他国にあったはずです。」


 どうやら他国にあるらしい。でもうちにはどうなのよ?


「あのここには?ここには他に調味料あるの?」


 その時の私は必死だったのだろう。

 次回港へ連れて行ってくれるそうだ。

 そう、わが屋敷にはあの3種しかなかったのだった。



 ならばラノベ好きなひ孫の言っていた助言。

 米は結構家畜のえさにされている。

 未知の調味料はどこか遠い日本的どこかにある事がある。

 これを確認しなくてならない。

 家畜すぐにでも領で確認しよう。

 そして調味料…… 港に行くのが楽しみだ。



 ******************




 さて次の日 私はハロルドに連れられて家畜を見に行く。

 そう、お米様を探しに行くのだ。

 胸はまるで宝くじの当選番号を待っている様な心地だ。

 だから私はハロルドの首にヒシッとしがみついた。

 ある意味命綱だな。


「お嬢様、大丈夫ですか?日を改められますか?」


 私の様子に異変を感じたハロルドが違う日を提供する。


「行く!」


 今日すぐにもう結果が知りたいのだ。


「そうですか…… 」


 そう言ってまた歩き始めるハロルド。

 ああ、もう走って行ってくれないもんかね。

 気持ちばかりが先行する。

 知りたいでも違ったら嫌だ。

 そんな事をグダグダと考え込んでいるうちに家畜小屋につく。

 ハロルドが家主の所へ向かう。


「これはお嬢様今日はどういったご用でお越しでしょう」


 にこやかに挨拶をする。家主の名はマーク。

 ハロルドの抱っこから降りて、ご挨拶をして話をする。


「あの、家畜さん達はどんなご飯を食べているの?」


 私は目をクルクルして可愛い子ぶって言った。

 不可思議な質問をこれで誤魔化す。

 あざといと言うなかれ、賢いのだ。

 もちろんマークはきょとんとしたが、見ますか?と言って家畜小屋へ連れて行ってくれた。

 さあご対面だ。何が出てくるのだろうか。


「これですよ。まあ、いろいろな種類があるんですけどね。うちはいろいろと混ぜて使っているんです」


 そう言って見せてくれたものは………




 トウモロコシそれも爆裂種だった。

 そして、あわとひえにきびなどが混じっている。

 えっ、昔鳥のえさにあったヤツじゃないか!

 そしてそれはお米屋さんに売られていた。


「他にも種類あるんですか?」


 私は恐る恐る聞いてみる。

 すると頷いて違う種類のえさを出した。

 するとそれこそがまさにお米だったのだ。

 それも日本米に形が似ている。

 そしてまた違うのを差し出した。

 それは小豆だったり大豆だった。

 私の頭は大フィーバー状態だった。

 お値段聞いても優しい価格。ビバ異世界♪

 取り扱い店を聞いて、ついでに分けてくれた。

 ありがとう。と喜んでスキップして帰って行った。

 動物さん達にさようなら~と挨拶しながら。


 やったぁ~♪ひ孫よありがとうよ~。

 遠い異世界にいるひ孫や家族に思いを馳せる。

 ばあちゃんはここでも頑張って旨いモン作るよ。



 家に帰って早速お米の仕込みだ。

 お米のもみ殻も取ってあり玄米ご飯ならすぐにできそうだ。

 それにこのコーンも粉にしたら美味しい。

 ポップコーンだって作れるのだ。

 小豆も大豆もなんて嬉しい発見だ♪

 さっきからグーグーと腹の虫がなっている。

 食の欲求が最高潮になっているからだ。

 抱っこしているハロルドも聞こえるのだろう。

 足早に屋敷に向かってくれている。


「お嬢様もう少々お待ちください。直ぐ着きますからね。」


 そう言ってほぼ駆け足で帰ってくれているのだ。

 ハロルドの優しさに嬉しい。

 腹の空きなどいつもの事なのに、ハロルドは必死で家路に急ぐ。

 そしてアッと間に屋敷に着き、そのまま調理場まで向かうハロルド。


「料理長何か食べ物を!お嬢様がお腹を空かせて死にそうです!!」


 着いたら凄い事言って料理を催促するハロルド。

 料理長は呆然としていたが、私の腹の虫がグ~… と自己主張した。

 ハッとしてサンドパンを作ってくれる料理長。

 パンの中に肉とポテトもマッシュしたものが入っていた。

 アムアムと食べたパン。これは旨し。

 そう野菜が入っていなければ食べれるのだ。

 そしてジンさんが果物を出してくれた。

 モグモグと食べる私。

 部下の方は牛乳を持ってくる。

 ウグウグ飲んで腹持ちが良くなった。


 とにかくひもじい思いをしながら米を探し、久しぶりのご飯を涙ながらに食べた。

 そして探すよりも作った方が早いと、味噌を仕込もうとすれば麹菌を思い出し断念。

 そんなこんなしているうちに、ミミズ一家のおかげで食材も美味しくなり、料理そのものも美味しくなった。

 それに海藻など海の幸や川の幸はケルピー達が持ち来てくれるので、お澄ましが飲めるようになった。

 でも醤油と味噌の欲求は解消されず、悶々とする日々。

 それがフェンリルの登場で、ついに解消されるかもしれない!!





読んでくれて、ありがとうございます(*´ω`*)

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