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召喚聖女の返礼  作者:
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「ひゃくにじゅうはちかしょ……」


「そう。現在、国内で128か所ほど魔脈の異常を確認されている」


 向かい合うソファの片側には私一人、向かいには王子と主犯と実行犯。何このボッチ感。いや、慣れあうつもりはないからバッチ来いなんだけど、三人掛けのソファに男三人が並んで座るほどに仲良しなのか、アンタら。私の後ろには神殿騎士が立っている。包囲されているのかもしれない。


 王子に帰還した挨拶と瘴気や魔脈についての報告(これは神殿騎士のレポート)を済ませ、今後の方針について話し合い。説明と補足は神殿騎士。流石にお偉方の前で奇声を上げることはなかったが、聖水晶(セイクリド・クオーツ)聖粒子(セイクリド・グレイン)のくだりではやたらと力が入っていた。


 そのあと、王子は何でもないふうに128という数字を出した。


 さらっと言ってるけど、128ってどんだけ時間かかんの。いや、その間に帰還方法を見つけたらさっさと帰るけどもさ。

 私一人で帰還方法を探すよりも、国という大きな力で探査したほうが見つかる確率は高い。けれど、魔脈正常化が終わる前にに王子たちが送還方法を見つけても絶対に教えてくれないだろう。


 召喚されてから既に半年が過ぎている。


 一日でも早く帰りたいのに、128か所かぁ……。


「えーと、それは纏まっている?広範囲に散らばっている?」

「纏まってはいないな」


 王子はそういうとテーブルの上に地図を広げた。これがこの国の地図なんだろう。

 日本ほどではないが縦に長い。周囲に海はなく別の国に囲まれている。


 その単一色の地図にはあちこちに赤い丸が書きこまれていて、それが魔脈の異常が確認された場所だそうだ。


「法則性は見えないけど、北のほうが多い。理由に心当たりは?そもそも魔脈異常の原因は何?」


 今更感満載の質問だけど、今までは勉強と訓練と自主練に必死だったし勘弁してほしい。聖女の能力を持っているからと言われても「聖女」というキラキラした職業?が自分に似合うとも思えずにいたところに、魔脈の異常を正常化することが「出来る」ことを知って、ああ、私ってば本当に聖女でこの国の危機を救うことができる存在なんだなぁと、ほんと、今更だけど思ったのだ。


「原因など考えてどうする。お前が浄化して回ればいいだけの話だ」


 主犯は何もしていないくせに尊大だ。王弟だから?それとも聖女を召喚するという()()を成したと自負しているから?


「そもそも確認できているのが128か所なんでしょ?未確認のものもあるだろうし、原因によってはこれから増えることもあるんじゃないの?」


「ああ、それは増えるだろう。今までだって増え続けてきているんだ。これからも増えるだろう」


 ……はい?増え続けている?それは聞いていない。それは何か?私にイタチごっこを一生やれということか!?


「……増加のペースは?」


「報告では月に1~2か所だ」


 遺憾ながらとでもいう感じで王子が目を逸らして答える。これ、無理ゲーなんじゃないのか。いか月に2か所以上の正常化を図ったとしても、異常個所が増え続けていくならエンドレス。

 私がそう思ったのを察したのだろう、王子がまた口を開く。


「2年間頑張ってほしい。2年以内にこの事態は収拾すると思われる」


「2年?」


「そうだ。この大陸では300年から500年に一度、魔脈の異常事態が起きている。しかし、概ね1年から5年で収まるのだ。1年で収まるならまだ良かったのだが、此度は3年たっても収まる様子を見せない。5年以上かかった前例はないから2年以内には収まるだろうが、あと2年も民に耐えろとは言えない。聖女殿には誠に申し訳ないのだが、事態が収まるまで最長で2年、民のために力を貸してほしい」


 なるほど。


 魔脈の異常というのは不定期ではあるが何度も起きていて、1~5年で収まることが分かっているから積極的に原因の解明をせずに対症療法でやりすごしてきたと。


 そこで王はあと2年耐えることを選び、それに肯うことを良しとしなかった主犯ら3人は聖女召還に及んだわけだ。自分が巻き込まれてさえいなければ、この三人の行為は英断だと言っていたかもしれない。たった一人の犠牲で多くの民が救われる。自己犠牲精神あふれる人間が喚ばれたならば美しい物語として語り継がれることになったかもしれない。


 でもさ……馬鹿でしょ?


 今回の異常が収まっても、また300~500年後には起きることが分かっている災害なのになぜ原因究明をしないのか。最短の300年後でももう自分たちは生きていないからいいのか?その神経が分からん!


 それに、2年も待てない。今すぐにでも帰りたい。


 召喚されて半年というこの時間だって我慢ならないほどに亮君と離れていることが辛い。


 私がいなくなったことが日本で事件扱いになっているのか家出扱いになっているのか分からないけれど、亮君が私を諦めてしまうのではないかと不安なんだ。


「……ここには何がある?」


 地図の一点を指さす。そこは国の北端、隣国との境に半円状に密集している赤い丸。隣国の情報は書き込まれていないが、国境の向こうも同じ状況なのではないだろうか。ならば大本はココかもしれない。国全体に赤丸はあるから違うかもしれないけれど、一番怪しいと言っていいだろう。


「神霊山という名の山がある。そこが隣国との国境だよ」


「魔脈は神霊山を起点に流れている。大陸内に同様の起点があと三か所あるが、そのどこもが我が国からは遠い。まぁ、どこを源頭としていても魔脈の乱れは起きるが」


「そんなことより、次の浄化先をだな」


 王子、実行犯、主犯が言うが……おい、そんなことじゃないだろう。


 どう考えても()()()に問題があるじゃないか!







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