紹介するレジ機能 その9:新しいシステムの説明時はアウェイ感が凄いのよ。
新しくレジと価格表を導入するために説明をおこなうが、お店の魔人たちから襲われそうになる。
そもそもレジと価格表を導入しないと駄目な理由を言ってないのが原因かな…。
熱く語りながらレジと価格表の使う理由と使い方の説明が始まった。
「今後は商品に対して価格表を提示するので、どの魔物が買いに来ても同じ値段で販売して下さい」
「今までは購入する魔人の見た目で魔金(値段)を変えるのはやめて下さい」
柳瀬は値段を提示することでお客さんに安心を伝えた。
さらに価格表の使い方を伝えたが魔物たちは納得していなかった。
そもそも今まで問題なく運営出来ていたので、いきなり来た人間にそこまで言われる筋合いがないと反抗する姿勢まで見せてきた。
「ん~なんか空気が重いな」
「俺間違ったこと言ってないんだけど、なんだか襲われそうな感じがプンプンする…」
「ここはリンリンさんに助けを求めた方が無難なので一旦バトンチェンジ!!」
リンリンも魔物たちが柳瀬に対する態度に感づき仲介に入る。
まず、なぜ魔王がこのお店にレジを導入させるか根本的なことを話してなかったのでリンリンから説明が入った。
「皆さん聞いてください」
「まずこのお店にレジを設置することや価格表を置く前に、このお店がどのように思われているかご存じでしょうか?」
魔物たちは困惑した。
お客さんとして来る魔物から意見や思いを聞くことがなければ、アンケートを取る行為は全くないからだ。
「毎回購入する度にいくら魔金をもっていいか分からない気持ちわかりますか?」
「子供たちにお使いも頼めず、大人が行かないと割高になること自体、変だと認識して下さい」
魔物たちはそれが当たり前だと思っていたが、確かに不便だと感じていた。
リンリンが伝えた内容が魔人たちに受けれてくれた。
「ふ~なんだか助かったのかな?」
「レジ屋って計算出来ればいいって思われがちだけど、お店全体のオペレーションを変えてしまうくらい重要なものなんです」
「自分もレジが売れなかった理由が今のリンリンさんを見て改めてわかりました」
「レジと言う【もの】を売るんじゃなくて、お店全体の効率化や来店してくれる方に安心して効率よく購入できる【システム】を提供しているものだと再認識しました」
「なんだか元の世界に戻ったら出来る営業マンになれそうな気がしてきた…」
「早くこのお店にレジを使いこなしてもらって元の世界に戻ろう!!」
話を聞いてくれる状態になり、本題のレジ使い方をレクチャーし始めた。
購入する商品の魔金の数字を押して【+】を押してから、さらに購入する商品の魔金の数字を押します。
すると入力した魔金に対して自動計算されます。
これにより複数の商品を購入する際に【+】を使いこなせば1回の会計で全ての商品を処理することを伝えた。
すると魔物たちから歓声が上がった。
「なに?なに~?」
「いきなり大きな声出してびっくりした」
「計算しかできないのに、こんなに喜んでもらえるんだ」
魔人たちにとっては初めてITに触れ、計算が誰でも簡単にできることは大きかった。
なぜなら、計算ができる魔物が少なく、1回の会計で複数の商品が処理できるのは革命的だった。
更に、商品に価格が決まっているので【誰でも簡単にレジが出来る】このオペレーションが出来ることに喜びを感じてくれた。
お釣り計算は【-】を組んでいるので、おつりとして返す魔金も自動計算してくれる。
これにより表示された魔金を渡せば問題ないため、さらに驚いてくれた。
「自分の立ち位置って神の存在かな」
「今まで生きてきて、ここまで絶賛されたことがなかったな〜」
最初は危ない雰囲気ではあったが、最後はしっかりと自分の仕事を終えた柳瀬。
これで自分のミッションが終わったと思い、気が抜け意識を失う…。
3日後
柳瀬はゆっくりと目を覚ました。
倒れるのも無理はなかった。
この世界に飛ばされてから全く休憩もなく動き続けていた。
それに加え、魔人たちから襲われる環境のもとでレジのレクチャーをおこなったからだ。
「あれ?元の世界じゃないのか」
「ここはどこですか?」
周りを見渡している間にリンリンがやって来た。
リンリンは柳瀬に感謝の言葉を伝えると思いきやビックリする言葉を発した。
「せっかくレジを作ってもらって感謝しているんですが、レジを使える魔物と使えない魔物が現れて困っているんですけど…」
「はい?」