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紹介するレジ機能 その5:自分の常識と魔界の常識は違うよね。

いきなりパワハラ的にレジを作るように命令された柳瀬。

しかし営業のノウハウを活かして魔王に物申す!

さてさて物申してもいいけど、パワハラ系の上司にはたして響くのか?

レジを作りを魔王に言われ、渋々レジ作りに取り掛かる。

っと言いたいのですが、まず柳瀬はレジを作った事がない。

どこまでのクオリティーを魔王が求めているのか理解していな。

そこで柳瀬は営業で培った経験をフルに活かして考えた。


「いきなり作れって言われても出来るわけないからな〜」

「そもそもどこから手を付けたらいいんだ?」

「まず人間界から持ってきたレジをたくさん複製出来たらOKかな」

「ダメだ!人間用に作っているから画面が小さいし魔人たちのパワーに耐えれるものに作り変えないと…」

「そもそも、こんな高機能レジを作ること出来ないよ」

「あ!そうだ」

「まず魔王にヒアリングして、そこから魔人たちのお店に視察しに行こう」

「それでどんなレジが必要かわかる!」

「クライアントが依頼する本意を見つけるのが営業マンとしての仕事だ」


柳瀬は早速、魔王にどこまでの機能を求めたレジなのか聞きに行く。


「魔王、すいません。」

「レジについて詳しく聞きたいんですけど、よろしいですか?」


柳瀬は魔王の部屋に訪れた。


「なんだ?」

「もうレジが出来たのか?」

「さすがレジを扱うものよ!!」


今の状況を把握せず、一方的に意見を言ってくる魔王。


「いやいやそれは無理です」

「まずどんなレジを作ったらいいか教えて欲しいので聞きに来ました」


柳瀬は魔王が求めるレジについて質問を投げかけた。


「どんなレジ?そんなの私に分かるわけないだろ!!」

「魔界の奴らが計算もろくにできないから困っておるのだ!!」

「早く解決できるレジを作れ!!」


要望はあるが具体的な話が全く無かった。

しかし計算ができない魔人が存在して困っていることがわかった。


「いやいや、めっちゃ曖昧すぎて全然わからなかった」

「これだからパワハラは苦手だな〜」

「だからって細かく聞いたら怒ってくるし、聞き直しても聞きたい内容が返ってくる分けないしなぁ〜」

「さっき言っていた計算をヒントに次のアクションを起こそう」

「あの〜、できたら魔界のお店に連れてってくれませんか」

「実際レジを置くお店を見ておかないとイメージが湧きにくいので」


魔王と話すことを止めて、お店の視察を希望した。


「ふむふむ、それは確かにそうだな」

「よし!いきなり魔界に1人で行くと危ないので付き添いを付けよう」


魔王が指パッチンをして呼ばれたのが「リンリン」である。

リンリンは魔王の秘書であり、優秀な魔人である。


「お呼びでしょうか、魔王様」


「リンリンよ!この柳瀬に魔界を案内してくれ」

「そこで問題のお店に出向きいろいろと助けてやって欲しい」

「もし逃げそうになったらリンリンの好きにしても構わないぞ」


魔王がリンリンに冗談で言ってるのか真面目に言っているのか全く伝わってこず、ただただ恐怖を覚える柳瀬。


「いやいやいやいや、この世界で逃げても生きていけないし、どうせ捕まるから逃げないし!!」

「そもそもリンリンって他の魔人に比べて人間っぽいな」

「髪は刈り上げで、少し髭が生えてるおっさんみたい」

「なんか親近感わくな〜。魔王が怖すぎるってのもあるけど、リンリンは優しそうだな」


リンリンの見た目は世間で言う「おっさん」ではあったが、親しみやすいオーラを持っていた。

柳瀬もそこそこ35歳のいいおっさんの哀愁を漂わしているので愛着が湧いた。

柳瀬とリンリンは魔界の市場に出向き、現場調査をスタートさせる。


「やっぱり現地調査は大事だよな〜」

「実際使う場所や雰囲気を理解しないと作っても売れないし、クライアントを満足することなんで出来ないよね」

「さてさて、そのお店はどうやって会計しているのかな〜」


市場を歩き回っていると、問題が起きているお店をリンリンが紹介してくれた。

それは食料品を販売しているお店だった。

柳瀬はお店を覗き込むと、レジと呼べれるものは無く、ましてやレジ台すらないお店だった。


「あれ?ものを購入する時はお店の店員に商品を持って行ってお金を渡してる」

「お釣りを渡す時はザルに入っている魔金を手に取って返すだけなんだ…」

「なんだか昔の八百屋さんスタイルだな」

「これで売買がちゃんとできるならレジいらないよね」

「リンリンさん、特に問題なさそうに見えるんですけど、何でレジを入れないとダメなんですか?」


柳瀬はリンリンに、このお店はレジが必要ないことを伝えた。

しかしリンリンはお店を見つめながら言った。


「よく見てください。購入する魔物たちを見比べたら分かります」


柳瀬はリンリンに言われたままお店を観察し続けた。


「え〜何も特に変わったところはないですよ」

「そもそも八百屋さんはレジがいらない業種だと思ってるくらいです」

「お客さんの顔をしっかり見て接客できてるので、レジを導入したらお客さん見て対応しにくくなりますよ」

「ん!待てよ!!」

「今購入していった魔人とさっき購入した魔人で明らかに違いがあるぞ」


柳瀬はある問題に気がついた。


「あれは問題になりますね」

「問題になりますが…そもそもの話ですが商品に値段が表示されてないのは魔界では当たり前ですか?」


リンリンが魔界の現状を話してくれた。


「はい!」

「値段が表示しているお店は殆どありません」

「このお店のように魔人の見た目によって値段が変わってしまうので、同じものを売っても値段がバラバラになります」

「せっかく魔王様が魔金を導入してものの価値を統一したにも関わらず、魔人の感情1つで変わってしまっては意味がありません」


柳瀬はこのお店と言うより魔界の異変に気付かされた。

先ほど購入した魔物と1つ前に購入した魔物は同じ商品を購入したにも関わらず、値段が違っていた。

1つ前の魔物は体が大きく強そうな見た目で、先ほどの魔物は小さく弱そうに見え、2人の魔人は明らかに見た目が異なっていた。


強そうな魔人は10魔金支払い、弱そうな魔人は15魔金払っていた。

そう!このお店は購入するお客さんの見た目と顔色で値段を変えてしまうお店だった。


「え〜定員がお客さんによって値段変えるって信じられない〜」

「まさか、こんなお店にレジを導入しないといけないだなんて…」

「どうしたらいいんだ」


自分の世界と魔界の世界に大きなギャップを感じ絶望を感じる柳瀬。

果たして、このお店に合うレジは出来上がるのか…。

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