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番組収録

「本番5秒前~、4、3、2、」

目の前に座るADの合図で、ヒカルはカンペを読み始めていく。


テレビ局のスタジオの中に作られた派手なセットは、出演者の緊張をより一層、高めていた。

その中心に居るヒカルは、落ち着いた雰囲気で司会をしていた。


出演者たちが、北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州、沖縄と地方のブロックに分かれて、司会のヒカルから出題されるお題に対して、自分のブロックが一位になるような回答を各ブロックの芸能人達が考え答えていく。


『ヒカルを一番キュンキュンさせられる方言は?』


というお題が特に盛り上がった。

それぞれのブロックの代表者が、ヒカルを口説いていく。

スタジオの中央にヒカルが立ち、各ブロックの代表者が出て来て、ヒカルに向かって方言でセリフを言っていく。


「ヒカル君って、よかにせやっどなぁ。うち、ヒカル君のこと、わっぜ好きだがよ♡」


と、鹿児島出身の若手女優があざとく口説き、ヒカルは手で口元を隠しながら悶絶する。


「やばい。やばい!方言良い!可愛い!

で?好きだがよ?以外、意味が分からなかったんだけど、どういう意味なの?」

爆笑が起こる。

「ヒカル君って、イケメンだよねぇ。私、ヒカル君のこと、すごく好きだよ♡っていう意味です。」


恥ずかしがりながら若手女優が言うと、

「いやいや、二回も口説かれて良いの?ねぇ、この企画最高!!まじで、企画発案者、あいあいあいあい

愛してる~!!!」


ヒカルは、テンション上げ上げで持ち歌を振り付きで踊りながら歌った。


スタジオが笑いに包まれる中、収録は順調に進み、ヒカルは頭の中で、どのブロックを1位にするかを考えていた。

「さあ、全てのアピールタイムがおわりました~!この後は、いよいよ結果発表です!」

ヒカルは、そう言いながら、爽やかな笑顔をカメラに向けた。


一旦、カットがかかり、スタジオに雑音が戻るとスタジオの奥から突然一人の女性が、スタジオの中央に向かって静かに歩いて来た。


スタジオの雑音が小さくなる。皆、周囲を気にしている。

出演者達は、ドッキリなのかと周りに聞き、スタッフ達は誰がキャスティングしたのかとスタッフ同士で確認しあっている。


スタジオ中が騒然としている。


東京のデパートの、ショウウィンドウに飾られた服装に身を包んだ彼女は、スタジオの中央に立つと…


「今から大事な話をします。この話は絶対にカットせずにオンエアしてください」


その瞬間スタジオに居る全員が息を呑んだ。


「おい、ユキ。なにを…」

ヒカルは、つい言葉を発してしまっていた。


一斉に視線がヒカルに集まる。


以前、ヒカルのマンションに入って行くユキの姿を、週刊誌に撮られた事があるのを、ここにいる全員が知っていた。



彼女は、ヒカルに向かって微笑むと、またカメラの方を向きカメラマンに視線を送る。

間もなく、カメラの上に付いている赤いランプが点灯するのを確認すると、彼女は落ち着いた調子で話し出した。


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