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春夏秋冬警察官  作者: フリーダム
1/1

賢治と純也

馬鹿みたいに暑い日だった。だがその暑さは感じるどころか体中から這い上がってきた。


〜〜〜〜〜〜1年前〜〜〜〜〜〜〜


警視庁にて

「あー眠いー」

とだらしない言葉を出したのは

佐藤賢治だった。

「もー休んでないでちゃんと資料を見てください」

と賢治をめんどくさそうに注意したのは伊藤純也だった。

そとは秋晴れ涼しいはずの秋はとても暑かった。

この2人はバディで警視庁第一課に属している。一課とは日本の極悪事件や殺人事件を主に担当する。俗に言うエリート集団の集まり。そして賢治は一課の中でも飛び抜けて優秀で検挙率が常にトップであった。

いまこの2人が担当している事件はとても難儀なものだった。

現場は、2階建の家の1階のリビングに父親と思われる人と14歳くらいの男の子と母親と見られる死体が川の字に倒

れている。そして真ん中には七輪が置いてあった。

第1発見者は佐藤さん。回覧板を渡しにきたが返事がなく、鍵が開いていたのでドアを開けたら煙臭く中に入ると倒れていたという。

「もーなんで心中の事件を私がしなきゃいけないんだよー」

とつまらなそうに思っているのか賢治はとても腑抜けた声をだした。それを正すように純也は

「しょうがないよ。他の人たちにもやることがあるんだもん」

現場について死体を見た賢治は楽しそうな声を上げていった。

「なぁー!純也はこれは他殺だと思う!」

「賢治!死体の前でそんなことをいうな!不謹慎だろ!」

と純也は声を荒げた。そして小さく

「だから死神っていうあだ名がつくんだろ」

と頭を抱えながらため息と共に愚痴を漏らした。

気を取り直して純也は聞いた

「なんで他殺だと思うんだ?」

自慢げに賢治は話し始めた

「まず、体を触ったらわかるんだけど死後硬直がとても進んでいるのにこの七輪はまだ白い煙を上げている。

そして天井をみてよ。この湿ってるのは水だと思うよ」

天井を触って見たがたしかに湿っていた。天井の材質的なものなのかわからないが湿っているという事を見逃さない賢治の洞察力は尊敬に値するものだと思った。

そうとも知らず賢治は話を続けた

「多分この犯人は被害者に外傷をあまり残さず殺し、一家心中に見せかけたかったんだろうな。」

そして賢治は踵を返して玄関に向かった。

「はやくー純也!聞き込みいくよ!」

やれやれと思いながら靴を履きながら純也は現場を後にした。

外に出た賢治は周りの家の人に話を聞いた。そして容疑者と思われる3人が浮かび上がった。

1人目はいつも被害者と喧嘩しているという工藤さん。

工藤さんはその日ずっと家にいたと証言しているが、証人はいない。

2人目はいつも被害者と仲良くしている加藤さん。仲良くとはいっても影では相当愚痴を言っていたそうだ。

加藤さんはその日釣りにいっていたが証人はいない。

3人目は被害者とはあまり喋らないという佐藤さん。あまり話さないらしいが一時期とても被害者一家と喧嘩していたことがあったらしい。その日は登山にいっていたが証人はいない。

「と、こんな感じだな」

そーメモを読み終えると賢治は笑いながらいった

「純也は目がないのかな?佐藤さんの家にはかわいい黒の猫がいたじゃんそしてあの掃除機ほしいわー、そして工藤さんの家でいいカレーの匂いがしたとてもたべたい、加藤さんの出してくれたお茶はとても美味しかったよ!」

そー目を輝かせながらいう賢治を横目に純也

「そんなこと書いたらきりがないだろ」

純也に電話がかかってきた。かけてきたのは科捜研の人らしい。

死亡推定時刻は2日前らしい。

2日前といえば近くで交通事故があり渋滞がおきていた。そう純也が話し終えたら現場にもう戻っていた。

「ねー純也なんですここの屋根は平ら

になってるの?」

「それはここの屋根にソーラーパネルがあるからだよ」

「なら、、、」

と賢治が言葉を放つと同時にダッシュで二階のリビング中に向かった。

かれこれ10分くらい賢治は部屋の天井を爪でカリカリしている。

「なにして、、」

という純也の声を遮り賢治の

「あった!」

というこえが部屋に響いた。

「あったってなにがだよ」

「ふふーんそれはね!ソーラーパネルで作った電気を流す小さな部屋と屋上に行くためのトラップドアだよ!」

そー言って上に登ろうとしたとき

「純也!ピンセットと袋持ってきて」

そう賢治にいわれいやいや純也は1階にもどっていった。


「どーしたんだ?」

そう言いながら純也は2階のリビングに帰ってきた。

「誰かの又はなんらかの髪の毛が落ちているんだよ。しかも一直線に」

といいながら全身ほこりだらけで賢治は出てきた。髪の毛なのような毛を袋に入れてまたハシゴを登って行った。

それに続くように純也も登って行った。確かに毛が一直線に落ちている。

それを追うように賢治は前に進んでいった。そしてついたのはまた梯子だった。そこを登ると屋上だった。賢治は周りを見渡した。

「なるほど、、、ふっ」

不敵な笑みを浮かべた賢治に不信感を持ちつつ純也は梯子を降りていった。

1階に降りた時科捜研の方から連絡がきた。死因は毒殺。用いられた毒は致死性の高い「トリカブト」だそうだ。


現場の前には被疑者の工藤さん、加藤さん、佐藤さんの3人が集められた。

なにも賢治は犯人をわかったそうだ。

「でわでわいまから犯人を発表しようと思います。」

と軽い感じで話し始めた。

「犯人は佐藤さんあなたですね?」

眉ひとつ動かさない佐藤さん。

「簡単に話しますと。死因は毒殺用いられたのは植物の毒です。あなたは夕食の時に作りすぎたとか理由をつけ食べ物を渡しにいった。それには毒が仕込まれていたが、知識がなかったので分からず食べてしまったのでしょう。

そして夜忍び込み鍋や食器を片付け、心中に見せかけるため七輪を燃やし朝通報する前に水をかけ火をけしたんでしょう」

これでも佐藤さんは動揺せず

「どーやってここから家に帰ったんだ?渋滞してたぞ」

それにも動じず賢治は

「そう、そこが一番自分が思うにすごいところ。さっき屋上に行った時すぐ近くに電線があった。その電線のゴムのところが一部剥げていた。多分あなたは、車に乗っている人に目撃されないように電線を何かで滑走しながら家に帰ったんでしょう」

ついに我慢してたのか大粒の涙が佐藤さんの目から溢れ出てきた。

「許せなかった、、、自分と苦楽を過ごした家族同然の猫を殺したあいつらを、、、」


後に調べたら佐藤さんは5年以上一緒に住んでいた猫を被害者一家の車にひかれ亡くしてしまっていた。それがきっかけなのだろう。


帰りがけ賢治はボソッともらした

「春夏秋冬事件は絶えず、、、か」

珍しい弱音をいいながら家に帰った。


〜〜〜〜〜〜秋の編〜〜〜〜〜〜〜〜


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