実力主義国家
どうも降木です!今作は今まで書いていた物とは少し変わった話ですので少し楽しみながら書かせていただいてます。
まだまだ初心者ですので分からない所も多々あると思いますが暖かい目で見てくれたら幸いです。
「―この組織の目的は…。この国…、いや世界を征服することだ」
「―征服?」
まさかそんな事の為に?いやでもここは最後まで話を聞くべきだ。この組織に入るかは最後までしっかり聞いてからだ。もしボスの考えが気に入らなかったら俺はここでクレスと戦わねばならない…。
その覚悟だけはしておこう…。
「君はこの世界のシステムが気に入らんと思ったことはないかね?」
システムか…。それは俗に言う法律の事だろう。さらにはこの社会での決まりもあるか…。
それが気に入らないと思ったことか…。
「―そんなもの…、全部が気に入らないですよ」
「そうだろう。君ならそう言うと思ってたよ」
そう言ってボスはにっこりと微笑んだ。
「私たちの目的はこの腐った世界を壊し、私たちが無駄な事がない、完璧な世界を作りあげることだ!」
少し熱のこもった声でボスは言った。
―普通なら何言っているんだこいつはと思うかもしれない。
だが、少なくとも俺はボスの考えに賛同することは出来るかもしれない。
確かに誰もがこの社会に不満を少しでも抱えている。だがだからといって、わざわざ世界を作り直そうとする者はいない。
だから俺はボスのことを尊敬はする。
だが、ボスが今から話す内容によっては、まだ分からない…。
「それでボスはどんな国を作るつもりで?」
「それは簡単な事だよ。すべての事を世界の王が管理することだ」
―管理。それはつまり人間達を家畜にするということだ。
家畜化…。それも面白くはないがしょせんは自己満足だ。
どうせいつかは滅びる国だ。
だがこのボスはそんな事百も承知なはずだ。だからまだ話の続きがあるのだろう。
俺は若干の期待を込めてボスに聞いた。
「すべてを管理。つまりはどういうことです?」
「そのままの意味だよ。今までの社会は実力だけでは上へあがることは出来なかった。それを私が目指す国は実力がすべての国だ。実力がある者だけが上へ上がり、実力が無い者は落ちていく。そんな国だ」
なるほど…、実力絶対主義か。
確かに今までの社会よりかはいいはず。だがそんな事ではまだ足りない。
実際この国は実力のある者は確かに上へと行っている。実力があるのに上に行けない者はただ実力がないだけだ。
なのでボスが理想とする国は今の社会となんら代わりはない。
だから、
「―そんなものじゃまだダメだ。まだ他にも続きがあるんですよね?」
「あぁもちろん」
俺の言った事を聞いてボスはさらに口元を緩めた。
「その国では、まず幼少期から興味のある物を徹底的にやらせる。そして毎月一定の成果を出させる。その成果の内容によって来月の支援金を出す。そしてその成果がダメだった場合は、他の物に乗り換えるか、支援金を少なくしてでもその興味のある事をやるかを選ばせる。ただ、成人まで、つまり満20歳になるまでに成果をあげられなかった者は強制労働させる」
―ボスの話しを聞いている間。俺はだんだんと口元がにやけていることに気が付かなかった。
それだけボスの話しを聞いている証拠であり、同時にそれだけ興味を惹く内容だということだ。
さらにボスの考え方は…、俺と本当に似ている。
だとすれば…、
「―さらに途中で堕落した者、成果を十分に出せなかった者、これ以上の見込みがない者と判断された時も強制労働」
俺は小さく言った。
だが確実にボスに聞こえる声だった。
ボスは俺の言葉を聞くや否、狂ったような笑みを浮かべた。
この笑みを浮かべるという事はどういう事なのか俺にはよく分かる。
―何故なら恐らく俺もボスと同じような笑みを浮かべているからだ。
そうそれは同じ考えを共有できる仲間を見つけたときに浮かぶであろう笑みだ。
この瞬間今まで誰一人と理解されず、誰にも言わなかった自分の理想や本音が初めて他人と交わったとき、初めてこの笑みを浮かべるのだろう。
―ボスも浮かべているということは、この組織にはまだボスの考えを全て肯定する人はいなかったからであろう。
だが俺は恐らく唯一ボスと考えを一致できる人物だ。
その証拠がこの笑みだと言える。
「クレス…。お前は本当にいい奴を拾ってきたな」
「はい。ボスと同じようなオーラを感じましたので…」
とクレスは俺の方を一度見て、すぐにボスの方を向き、笑みをこぼした。
「―でボス。まだ終わりじゃないだろ?」
俺はそのまま続きを催促した。
もちろん恐らく最後もボスと同じ考えだろうが一応の確認だ。
これでもし間違えていたら少し恥ずかしいしな…。
「あぁ、もちろん…。最後は高齢者だ」
と心配していたがどうやらその心配は無用だったようだ。
「私の国での高齢者は働けなくなった者。だいたいの目安は五十歳ぐらいだ。その年齢にまで達したら―」
ここでボスが話しを区切り、俺の方を向いた。
どうやら続きは俺に任せたと目で言っている。
だから俺はボスの期待通りの答えをいう事にした。
「死んで貰う。新しい国では使える者は徹底的に使い。使えないと判断された者は殺す。そんな実力主義国家だ」
俺が言い終わるとボスが軽い拍手をした。
「―やはり君はいい。もしかしたら私の継承者になるかもしれない…」
「―いえ。私はボスと一緒にこれからの新しい国を見ます。そのために俺は今日からボスの右腕のような存在になれるよう、これから頑張ります」
これで今日から晴れてテロリストの仲間入りを果たした。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよろしけば感想やレビュー等よろしくお願いします。
次回、ボスと主人公に…。お楽しみに!!