腕試し
どうも降木です!今作は今まで書いていた物とは少し変わった話ですので少し楽しみながら書かせていただいてます。
まだまだ初心者ですので分からない所も多々あると思いますが暖かい目で見てくれたら幸いです。
「なあ坊主。俺たちの仲間にならないか?」
そう言っておじさんは手を指しのばしてきた。
―仲間か…。俺は今まで人を関わる事を避けてきた。
だから本来の俺であれば、人と一緒に行動することを避けるはずなのだが…。
チラリとおじさんをみた。
この答えを出すにはやはりやるしかないか…。
「仲間になる前に一つ俺の頼みを聞いてくれないか?」
「こりゃ随分と上からものを言うねぇ~。まぁでも誘っているのはこっちだからな聞くだけ聞かせてもらうよ」
おじさんは仕方がない様子で頭を掻いた。
「それで、頼みってのは?」
「―一度おじさんと腕試しをしてみたい」
おじさんはしばらく俺の目をじっと見つめた。
俺はそれに答え、おじさんの目をじっと見つめ返した。
「―別に悪くはねえが…。死んでもしらんぞ?」
死んでもか…。やはりこのおじさんは相当の自信を持っている。しかも雑魚が言うせりふではなく実力のある者が言う重みのある言葉…。
やはりこのおじさんは相当な手練れ。
―だからこそ俺は…。
「そこで死んだらそれまでの男だってことだよ。そもそもそんなので死ぬ奴はおじさんの組織にいらないだろ?」
「けっ。ガキの割に言うじゃねえか。いいぜ腕試しぐらいならやってやるよ」
「ありがとうおじさん。さてそれじゃあ早速始めようか」
―瞬間おじさんの周りの空気が変わった気がした。
はっはっ、こういうのって本当にあるんだな…。
俺はそう思いながら手の銃を握り直し、すぐにポケットのナイフも準備できるようにした。
「おいおい。自分からやろうって言ってそっちから仕掛けないのか?」
「―俺は、仕掛ける仕掛けないは言い出した人に関係するとは思わないけどな」
「なるほど…。じゃあ俺もさっさと終わらしたいからすぐにでも決着をつけさせてもらうぜ」
―来る。俺は反射的に身構えた。
「じゃ行くぜ」
おじさんがそう言うと同時に俺は銃をおじさんの方向に向けた。
「―そんな物じゃ俺は倒せないぜ」
ガタンッ!
おじさんは近くにあった机を俺に投げつけた。
―くそっ!これじゃあおじさんを狙えない…。
「こんなので驚いてちゃ全然ダメだ」
その声が聞こえると同時におじさんが一気に間合いを詰めてきた。
俺は咄嗟に銃を構えなおそうとするが、まずは目の前に迫っている机を回避する事にした。
「―一つ教えて置くぜ坊主。敵から目を外すとそれは負けを意味するぞ」
机を回避する為に少しおじさんから目を離した時、おじさんがポケットから銃を取り出した。
俺はおじさんがいる方向の逆方向に逃げている。しかも飛びながら。
空中では身動きが取れない。こちらも銃を取り出し反撃しようにも、さきに銃を向けられている以上こちらも銃で反撃は出来ない。
「これで終わりだな」
そうおじさんが言う。
バンッ!
―教室で静かに銃声が響きわたった。
「―おいおい。まさか今ので気絶しちまったのか?たかがかすっただけだぞ?」
うつ伏せになって横たわっている俺を見ていった。
「はぁ…。しょせんはただのいかれたガキだったてことか」
そう呟きおじさんは倒れた俺の近くに寄ってきた。
「こんなんじゃ俺たちの仲間に加えることはできねえよ。少しでも見込みがあると思いこんだ俺が間違えだった…」
ため息まじりに、少し後悔したように言った。
そしてそのままその場にしゃがみこんだ。
―その瞬間。
パンッ!
もう一度教室に銃声が鳴り響いた。
「―油断をしたらダメですよおじさん?」
俺はにっこりと笑いながら地面に座り込んだおじさんを見下した。
「このガキ…!」
―そう俺は気絶したふりをしていた。
あの場面でおじさんに銃で撃たれるのはもう回避できずにいた。だから俺は銃に撃てれてからの作戦を展開した。
それの結果がこれだ。
「どうですかおじさん?」
俺はもう一度にっこりと笑い聞いた。
「はっ、今のも演技…。お前は将来役者にでもなるのかよ」
「そんなものにはなりませんよ。俺はおじさんと一緒にテロリストなりなるだけですよ」
今度は俺からおじさんに手を差し出した。
「面白い。これからお前がどのように成長するか見守らせてもらおうじゃねえか」
そう言っておじさんは俺の手を握り返した。
「―あぁ、あとさきほどは僕の負けです」
「…」
おじさんはそのまま何も返事を返さなかったので俺はそのまま続けた。
「本当の実践なら確実におじさんは俺に隙を見せなかった。本当なら確実に殺していた。そうでしょ?」
そう、さきほどはただ単に腕試しという場合だからこそ作る事の出来た隙だ。その隙を突くことができても、本当ならそんな隙は存在しない。
だから今回はおじさんの勝ちだ。だから次こそは…。
と、思っていると。
「―いや今のはお前の勝ちだよ」
と返してきた。
「俺は実践じゃないから気を許した。そこをお前に突かれただけだ。だから今のはお前の勝ちだよ」
そう言っておじさんは自分の子供のように俺の頭をなでてきた。
―正直こういうのはあまり好きではないのだが、おじさんが嬉しそうにしているので、仕方なくそのままなでさせてあげた。
「―さて、仲間になる事をボスに報告しに行くぞ」
「あれ?おじさんがボスじゃなかったの?」
「もちろん違うさ。俺はただの幹部って所だよ」
そうなんだ…。これでもこの組織のボスではないのか…。
一体この組織のボスはどうな奴なのか…。楽しみで仕方ない。
「全くお前はボスに似たような笑みをよく浮かべる…」
「ボスに似てる?」
「あぁ、ほんとにそっくりな笑い方だよ」
そう言って俺はおじさんに案内され、ボスの元に行くことになった。
「―あっ!その前にこれはどうなるの?」
俺は先ほどから震えることしかなしない物を指さした。
「こいつらはいずれ死ぬ運命だ。もっとも本当に生きたい奴は残るけどな…」
「なるほど。じゃあ絶対に無理だね。でも…もしかしたら一人は生き残るかもね…」
「ん?」
おじさんは俺の発言に対し疑問を浮かべたが、深くは追求してこなかった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
もしよろしけば感想やレビュー等よろしくお願いします。
次回は遂にボスが登場!お楽しみに!!