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「繭」まゆ

作者: 花咲乱世

鬱症状の時の気持ちを書いてみました。

今は精神疾患の方が増えているようですので、少しでも一緒にのりきれたらと思っています。



反対に暗くなったら、ごめんなさいです。

「繭」まゆ

                              作 花咲乱世


どうしようもないほどの不安感、絶望感と全部自分が悪いんだという罪悪感が襲ってくる。


こんな自分になったのも、こんな状態になったのも全部自分が悪い。

全部、全部自分のせい。

でも一体、何をしたんだろう?

何もしていないのに…。

だけど、きっと全部自分がいけないんだ。


横になると起き上がれないように上から押さえ付けられているよう。

何十倍もの重力が自分の身体の上にだけかかっているような、少しの動作と心の苦しみで涙ばかりが流れる。

 溢れ出る涙と鼻水の量に驚きながら、やっとのことで頭を持ちあげ”人間の頭ってこんなに重たかったんだ”と実感する。


動かなくても、次から次へと違う痛みが身体を襲ってくる。

薬を飲んでも止まらない頭痛。

ある時は背中からの痛み、消化器官に何か詰まった時の息の吸えない状態で心臓が苦しくなる。

過食に嘔吐、胃痛。

身体のどこを触っても痛みが走る。

こんなに何をするにも辛いなら、寝て二度と目が覚めなければいいのに。


私は、その何処から来るのかわからない痛みと圧迫から逃れたくて、部屋の片隅で壁に向かい座って膝を抱える。


そして泣きながら、じっと待つ。


しばらくすると身体中の毛穴という毛穴、皮膚の組織が繋がっている溝のような部分から蜘蛛の糸よりもずっと細い糸がふわふわと自分の周りの空間に浮かび出す。


”これは何?”と毛穴の根本から引っ張ると切れずに抜けて、抜けた所からは煙草の煙が途切れず出てくるように、ひょろひょろと伸び出てくる。


 両膝をもっと強く抱えて目を閉じる。


”もう、何も耳にしたくない”外から聞こえる雑多な音、電話の鳴るのもインターフォンが鳴るのもひどく不快。

 生活音、普段なら聞き取れないようなテレビや冷蔵庫の微電子音も聞こえてくる。

何処からか聞こえる読経のような、他の部屋でニュースが流れているような声も聞こえる気がする。

 頭の中でだけしている音なのだろうか?


”もう、何もかも厭だ”全部、遮断してしまいたい。

 誰とも会いたくない、接したくない。


だけど何かに助けを求める自分もいる。

”誰か助けて!”心の中の叫びは誰にも届かない。


 こんなに辛いのは、私だけじゃない。

 もっと苦しみに耐えている人もいる。

”わかってる”周りに迷惑であろうことも知っている。

 これで生きる意味があるの?

 早くこの状態から抜け出したい。

無気力で身体も動かせない、うまく命を終わらせる力も出ない。


 嗚呼、でも、ああそうだ。

人はそんな時、繭になれるんだ。

あの毛穴や皮膚の繋ぎ目から出てくる糸が私を巻いて包んでくれる。

私の全身を優しく、丁寧に大切に巧妙に取り巻いてふわふわとした糸で硬い繭を作ってくれる。

もう大丈夫、何も怖いものはなくなるから。


そう、だから誰も触れずにそっとしておいて…きっと戻って来れる時が来るから。

見ているのがつらいなら、見なくていいから…そっとしておいて欲しい。


母体の中に戻ったような安心感?

記憶の中の楽しかった一瞬を探して、それをゆっくりと自由に膨らませ、新しい自分の記憶を作る。

”ね?もう、寂しくない、つらくない”

 生まれ変われるとは思わないけれど、繭の中で希望と気力が蘇る。

私は、私だけのもの。

あの絶望感が戻って来るのに怯えつつ…。

辛くなったらまた、自身を誤魔化し操っていくしかない。

軽躁期には、明るい作品やエッチィーな作品も書きますので

宜しくお願いいたします。

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