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真之

氏之(持隆)の興亡6

作者: 重左衛門
掲載日:2026/07/14

「天文21年8月17日」

)(前略)終に天文廿一年壬子八月、吉者(よき者)あり。故に致三好(三好を致す)。謀略のわざ、終に天文廿一年壬子、八月十七日、可支国(支配すべき国)……(※この右端の追加部分から、中央の本文へと繋がります)(以下、中央から左へ続く本文)女子、婿として両家の睦、成る。然る処、将軍義晴公の御嫡男、義冬公(※義輝公らの類)の御儀者、前細川讃岐守の娘、これに御産処、俄に御邪気の御心出来せられ給う。都の御任居、誰が為に被成、淡州(淡路)御下向の刻、細川讃岐守、兵部少輔持隆の因縁、存じ従う。勝瑞(勝瑞城)阿波に奉じ迎う。南方平嶋(平島)の在所、量るに十六箇之庄、奇然たり。然れども、水とこれ御浪人、御痛数其の上。持隆ら、箭(矢)を無し目合す。被思家老共、何とぞ相謀る。義冬公、御世養い出す。度々披露の処に、是れ三好義賢(三好実休)、不得心、底意相顕れ、致誅罰せんと欲す。被恩のとも共、事、延引す。其の後、義賢、帰忠の者、あり。却って持隆亡じ給う也。又、持隆、其の是(非)、弁ぜず。精元(晴元)者、流浪に成り給う。国柄、三好に致す。掌に給う。故に細川家権、漸々に衰え、終に家臣の害を遭い、去る。説(説くに)有り。 although(然れども)、資者(資ある者)、義賢、これを討ち、企て給う事、急なり。義賢、吉者(よき者)有り。故に致三好、謀略の割、終に天文廿一年壬子、八月十七日……(※左端へ続く)


現代語訳(大意)

(前頁からの続き)……ついに天文21年(1552年)8月、優れた素質(吉者)を持っていた三好義賢(実休)は、三好の全盛時代をもたらすための謀略を巡らせ、ついに天文21年8月17日、国を支配する(ために動き出した)……。細川家と三好家は、娘を婿に迎えるなどして両家の和睦を成していた。そうした中、将軍・足利義晴公の御嫡男(のちの将軍)の御身の誕生においては、前阿波守護の細川讃岐守の娘が関わっていたが、にわかに将軍家に政変(御邪気)が沸き起こった。京都での政務や居所が誰のために成されているのか分からぬほどの混乱となり、淡路国へと下向せざるを得なくなったとき、細川讃岐守の跡を継いだ兵部少輔・細川持隆もちたかゆかりを頼って人々は従った。持隆は彼らを阿波の勝瑞城に奉じ迎え、さらに阿波南方の平島(平島公方の館)に、およそ十六箇庄の領地を整えた。しかし、この水が合わぬような亡命(お浪人)の暮らしにおける将軍家(足利義維・義助ら)の御苦労と御心痛は、数知れないものであった。細川持隆らは、戦火を交えることなく、ただ黙って事態を見守る(目合する)しかなかった。これに対して、細川家の家老たちは「何とかして(将軍家を盛り立てる)計略を巡らせよう」と考え、義冬公(足利義冬/義維)をこの阿波の地でお世話し、養い育てた。そして度々その忠義を披露した。しかし、これに対して重臣の三好義賢(実休)は納得せず、その腹黒い底意を露わにし、逆に彼らを誅罰しようと企てた。細川持隆から多大な恩顧を被っていた家臣たちがいたため、その謀略はしばらく先延ばし(延引)されていたが、その後、義賢は表向きは忠義に帰する素振りを見せながら、却って主君である細川持隆を(勝瑞城にて)滅ぼしてしまった。また、持隆自身も、三好の謀叛の兆候(その是非)を正しく見極めることができなかった。この政変により、細川晴元らも各地を流浪する身となり、阿波の国柄(統治権)は完全に三好氏の掌(手のうち)へと帰することとなった。こうして、名門たる細川家の権力は次第に衰え、ついに家臣の下克上に遭って歴史の表舞台から去っていった。一つの説がある。そうではあるが、実力(資)のあった三好義賢は、主君を討ち、自らの野望を企てる事において極めて急進的であった。義賢には運(吉)があった。ゆえに、三好の謀略のわざは成し遂げられ、ついに天文21年8月17日……(※主君・細川持隆が自害に追い込まれた「勝瑞城の変」の具体的な日付を指しています。史実では天文22年とも言われますが、この史料では天文21年と記録されています)。

続く

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