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終末の英雄  作者: leon02d2
影の攻撃
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第30章 - 悪魔の怒り

空気が張り詰めたような緊張感が高まり、第7師団の隊員一人ひとりに、高まる不安が走った。ドレイゴンは今や、暗く脈打つ紫色のオーラに包まれ、光そのものを飲み込むかのような不気味なエネルギーを放っていた。かつては傲慢さに満ちていたその瞳は、今や言葉にできないほどの怒りに染まり、彼が解き放ち始めた呪われた力「ソウルマナ」は、その重みで戦場を震わせた。空気の圧力は手に取るように感じられ、まるで周囲の空間が蝕まれているかのように、第7師団の最も経験豊富な隊員たちさえも威圧していた。


「な…何だ、あれは?」カズキは呟き、ドレイゴンを包む脈打つオーラを見つめながら目を細めた。


まだ息を整えている最中のリアムは、空気の変化を感じるほど近くにいた。彼はドレイゴンに視線を固定したが、その悪魔の何かが変化していた。かつてその表情を支配していた傲慢さは、純粋な怒りに取って代わられていた。それは以前とは根本的に異なるものだった。ドレイゴンの周囲の闇のエネルギーはさらに強まり、突然、圧倒的な圧力の波がリアムを後ずさりさせた。本能が後退せよと叫んでいたのだ。


彼が相手にしてきたのは、もはや彼らを嘲笑っていたあの傲慢な悪魔ではなかった。今やドレイゴンは、周囲の空間そのものを蝕むかのような、強烈な怒りを放っていた。冷酷な笑みは消え去り、純粋な怒りの眼差しに取って代わられ、かつて緊張感に満ちていた戦場は、今や濃密で不気味な闇に包まれていた。


「このクソ野郎ども、クソほど痛いぞ!」ドラエゴンの声が爆発し、戦場全体に響き渡った。怒りに増幅された彼の痛みは、周囲のすべてを押しつぶすような、手に取るように感じられる圧力として現れているようだった。「お前らを殺してやる!」


ドレイゴンは抑えきれない怒りを抱えて突進し、躊躇なく大剣を振り回した。素早い動きでリアムめがけて斬りかかると、リアムはかろうじて刀を構えてその一撃をかわした。衝撃でリアムは後ずさりし、ドレイゴンの剣の重みに腕が震えた。悪魔は防御の隙を与えなかった。彼は剣を振り回し、リアムに直撃を狙った。リアムは被弾を避けるため、後ろへ跳び退かざるを得なかった。


時間を無駄にすることなく、ドレイゴンは素早く向きを変え、矢を放つために体勢を整えようとしていたナイラへと突進した。彼女は避けようとしたが、ドレイゴンの方が速かった。的確な動きで、彼はナイラに向かって斬り込み、彼女のローブを切り裂き、肩に浅い切り傷を残した。ナイラは息を切らしながら後退し、もっと慎重に行動しなければならないと悟った。


躊躇することなく、リアムはナイラを守るために踏み出し、彼女とドレイゴンの間に身を置いた。彼は刀を掲げ、素早く振り回してエネルギーを集中させ、悪魔に向かって強力な突風を放った。突風はドレイゴンに直撃し、彼を数歩後退させたが、その衝撃は取るに足らないものだった。ドレイゴンは嘲笑を浮かべ、軽蔑に満ちた眼差しで、何事もなかったかのように背筋を伸ばした。


「それだけか?」悪魔は唸り、リアムに向かってゆっくりと歩み寄った。周囲を包む紫色のオーラは、さらに激しく脈打っていた。


リアムは後退して構えを取ったが、力の差は明らかだった。ドレイゴンの一挙手一投足ごとに地面が震え、その存在感は圧倒的だった。


少し離れた場所から、カズキは拳を握りしめてその光景を見守っていた。彼は飛び出したい衝動に駆られたが、軽率な行動が全員を危険にさらす可能性があることを理解していた。彼の視線は仲間の間を行き来した。エレナは地面に倒れ込み、脇腹を押さえながら指の間から血を流しており、一方、アユミはリヤの横にひざまずき、彼女を安定させようとしていた。


「リアム、気をつけろ!」カズキは叫んだ。ドラエゴンから目を離さずに、仲間に警告しようとしたのだ。


リアムは息を切らしながら、刀の柄を握りしめた。今、自分一人だけが、個々では到底太刀打ちできないほどの強大な力に立ち向かっていることを彼は理解していた。だが、後退する選択肢はなかった。たとえドレイゴンを倒せなくても、仲間が態勢を立て直すための時間を稼ぐ必要があった。


ドレイゴンが咆哮をあげ、そのオーラが激しく脈打つ中、紫色の炎が彼の巨大な剣を包み込んだ。その闇のエネルギーの熱は周囲の空気を飲み込むかのように感じられ、息をするのも困難だった。彼は自然の力そのもののように突進し、その残忍で予測不可能な斬撃は、速度と威力を増していった。剣が振るわれるたびに空気に炎の軌跡が残り、その攻撃の衝撃で地面が震え、足元でひび割れていった。


リアムはドラエゴンの動きについていくのがやっとだった。彼はできる限り身をかわそうとしたが、刀で攻撃をブロックするたびに、その圧倒的な一撃の重みで腕が震えた。まるでドラエゴンは、抑えきれない生きた嵐のようだった。


まだ離れた場所にいるナイラは、矢を放とうと必死だったが、狂気じみた戦いのペースとドレイゴンの息苦しいオーラが、正確な攻撃を阻んでいた。


その光景を眺めていたカズキは絶望の渦に飲み込まれそうになったが、皆の血を凍りつかせたのは、ナイラが呟いた言葉だった。


「彼……フィリトスのようだ……」


カズキは驚いて彼女の方を向いた。「何?」


ドラエゴンをじっと見つめたまま、ニラは続けた。「その力、その残忍さ、周囲のすべてを飲み込むようなオーラ……まるで彼みたい……第十の悪魔将軍、フィリトスのようだ」


その比較に、カズキの胃が締め付けられた。街を丸ごと破壊した悪魔、フィリトスは、アキヒロとカズキの力に加え、ニラによってようやく倒されたばかりだった。その力の記憶は、その場に居合わせた者たちの心に今もなお重くのしかかっていた。


「でも、フィリトスは死んだはずだ……」カズキは、この状況に何らかの理屈を見出そうとして言った。


ニラは手にした弓を強く握りしめ、真剣な表情を浮かべた。「そうだ。だがドレイゴン……彼には同じ種類の力が宿っている。将軍ではないかもしれないが、その力のレベルはそれに近い」


リアムは再び反撃を試みたが、ドレイゴンは強烈な横薙ぎの一撃で一瞬にしてリアムの刀を弾き飛ばし、その刀を激しく震わせた。ドレイゴンは微笑み、さらに凶暴な勢いで襲いかかった。


「哀れな人間どもめ!」 彼は咆哮し、紫の炎に包まれた剣を振り回し、立ち向かおうとする者を誰であれ粉砕する構えを見せた。


リアムは再び反撃を試みたが、ドレイゴンは強烈な横殴りの一撃でリアムの刀を震わせ、一瞬だけその武器を奪い取った。ナイラの言葉を耳にしたドラエゴンは、一瞬動きを止め、そのサディスティックな笑みを消した。彼の視線は即座に彼女へと向けられ、憎悪の炎が燃え上がった。


「俺をあのクズと同列に置くのか?」ドラエゴンは雷鳴のような声で咆哮し、周囲の紫色のオーラはさらに濃密になった。「フィリトスは、十将軍の序列において、単なる穴埋め役に過ぎなかった!」


彼は一歩踏み出し、剣の炎はさらに激しく唸りを上げた。「彼とリリスは、ただ欠員を埋めるために将軍として受け入れられただけだ!戦場で倒れた弱者たちが残した穴を埋めるために。彼らには、真の将軍としての力はなかった。」 「彼の声は軽蔑に満ち、一言一言が毒と苛立ちに満ちていた。


ナイラは緊張したが、手がわずかに震えていても、弓をしっかりと構え続けた。


ドレイゴンは続けた。その口調に込められた憎悪は、ほとんど手に取るように感じられた。「六人の古参将軍たち、彼らこそが我々の序列の真の支柱だ。その下にいる者たち? ただの代役に過ぎない!戦場でハエのように次々と倒れていく、力不足の将軍どもめ!


彼は剣を掲げ、その存在感だけでニラを押し潰そうとするかのように、彼女に向け突きつけた。――あの男と私を同列に扱うな、この汚らわしい人間め!


怒りの咆哮と共に、ドレイゴンは再び突進した。彼の剣からは、まるで空気そのものを飲み込むかのような紫色の炎がパチパチと燃え上がっていた。


ドラエゴンの言葉が頭の中で反響する中、カズキは背筋を冷たい戦慄が走るのを感じた。「穴埋め? あの、俺たちをほぼ壊滅させかけた怪物、フィリトスでさえ、将軍と呼ぶに値しないと言っているのか? そんなの馬鹿げている……これが代役の力だとしたら、本物の将軍たちは一体何ができるというんだ?どうやって彼らに立ち向かおうというんだ?」彼は歯を食いしばった。現実の重みが、彼の決意を押しつぶそうとしていた。「しっかりしなきゃ……今、俺が倒れれば、チーム全員が一緒に倒れてしまう。」


隣にいたナイラは、手がわずかに震えながらも、ドラエゴンに視線を固定していた。「つまりそういうこと? フィリトス、リリス、キサモス……彼らは本物の将軍たちの影に過ぎないの? それでもフィリトスは、すべてを壊滅寸前まで追い込んだ。ということは……私たちは、あの悪魔たちが持つ最悪の力をまだ見ていないということ。キサモスやベルズースはすでに怪物だが、古参の連中は? 今、それに動揺している場合じゃない。」彼女は深呼吸をして、集中しようとした。「集中しなきゃ。一瞬でも気を抜けば、終わりだ。」


たとえその事実が雪崩のように襲ってきたとしても、二人は躊躇している余裕などないことを知っていた。彼らにできることはただ一つ、力があるうちに、持てる力のすべてを振り絞って戦うことだけだった。


リアムはドラエゴンの強烈な一撃を、かろうじてかわした。その体は純粋な本能で動いていた。額から汗が滴り落ち、荒い息が肺を焼くように痛んだ。戦いを続ける中、彼の思考は動きと同じくらい速く駆け巡っていた。「噂は本当だったのか……」彼は歯を食いしばり、刀を回転させて悪魔の剣の一本を弾き返した。「最初の五人の将軍こそが本物だ。残りは……ただの代役。穴埋めだ。」


次の攻撃の衝撃が腕に響き渡るのを感じ、彼は歯を食いしばった。「『代役』ですらこれほどの力を持っているなら、本物の相手と戦うことなど、夢にも思えない。」その疑念が、見えない刃のように彼を突き刺した。彼はドレイゴンを見据えた。ドレイゴンは、制御不能な自然の力のように、途方もない怒りを帯びて襲いかかってくる。「それなのに、俺はここにいる。たった一匹のエリート悪魔を食い止めるために、必死に戦っている。将軍ですらないのに……」


その考えが彼を蝕んでいた。「このままじゃ、一体どこへたどり着けるというのか? これに対抗することさえままならないのに、どうやって皆を守り、このチームを率いていけるというのか?」彼は深呼吸し、暗い思考を振り払おうとした。しかし、姿勢を保つのに必死になる中、疑念は彼の心を蝕み続けていた。「力を見つけなければならない。どこからでもいい。どこからでも。」


リアムは深く息を吸い込み、周囲の凍てつく環境の細部を一つ一つ目に焼き付けた。洞窟の寒さが彼を包み込むが、そこにはチャンスもあった。気流が狭い通路を蛇行し、鍾乳石が天井から威嚇するように垂れ下がっている。彼は、すでに弓を構え、決意に満ちたニラを見た。今が正念場だ。


「ニラ!」彼は叫び、素早い動きで突進した。ソウルマナを紡ぎ出すと、刀が輝きを放った。周囲の風が勢いを増し、洞窟に狼の遠吠えのような響きを轟かせた。彼が放った強力な一撃は、ドレイゴンを押し込むだけでなく、洞窟の空気を揺さぶり、氷の破片を周囲に散らした。


「ここで倒れるなら、持てる力をすべて振り絞って戦うぞ!」


ドレイゴンは唸り声を上げた。リアムが天井の低い場所へと彼を誘導し、意図的に正確な斬撃を繰り出して小さな鍾乳石を彼の方へ落下させようとする中、ドレイゴンの怒りはさらに高まっていった。ドラエゴンは身をかわしたものの、滑りやすい地面でバランスを崩し始め、その一挙手一投足に怒りがにじんでいた。


ナイラは、リアムの攻撃によって生じた隙を突いて、弓の弦を力強く引いた。彼女のソウルマナは、紫色の炎に包まれた矢となり、強烈で不安定なエネルギーを放った。「彼に勝たせるわけにはいかない。彼がどれほど強かろうと、私たちは彼が思っているほど弱くはない!」


「彼を引きつけて!」彼女は叫び、正確な軌道で最初の矢を放った。爆発はドレイゴンを直撃したが、彼は容赦なく煙の中を突き進んだ。


「これで俺を止められると思うのか?! 馬鹿げている!」彼は紫の炎に包まれた剣を掲げ、咆哮した。


リアムは距離を取るために後退し、周囲の空気を揺らしながら、氷に覆われた床を正確に滑った。彼は洞窟の壁に向かって強力な突風を放ち、さらに氷の破片を崩落させ、戦場にきらめく粒子を散らした。


激怒したドレイゴンは、破壊的な一撃として両刃を振りかざしたが、風の勢いがその衝撃を近くの岩へとそらし、洞窟全体に響き渡る破裂音を轟かせた。


「お前たちには勝てないぞ!」リアムは叫び、全力を込めた一撃で強烈な気流を生み出した。その衝撃にドレイゴンは一歩後ずさり、一瞬の隙を露呈した。


「ガッ!この虫けらどもめ!無駄だ!すぐに再生してやる!」ドレイゴンはなおも抵抗し、しっかりと立ち続けながら叫んだ。


ニラは躊躇することなく、ソウルマナを宿した矢をもう一発放ち、今度は悪魔の脚を狙った。矢は左太ももに命中し、深く突き刺さると、紫色のエネルギーの波となって爆発した。爆発は筋肉や腱を引き裂き、緑がかった光と濃い煙が立ち上る生々しい傷口を残し、燃え尽きつつある悪魔の肉体を露わにした。二次的な衝撃を受けた右足も深刻な裂傷を負い、爆発の破片が皮膚や組織を剥ぎ取っていた。


ドレイゴンは一瞬よろめくと、膝をついた。その巨大な体の重みに、両脚が震えていた。明らかな損傷にもかかわらず、彼の黒い血はすでにゆっくりと凝固し始めており、悪魔の再生能力が働き始めている兆しが見えた。それでも、爆発は回復を遅らせており、彼は怒りに満ちて咆哮した。


「クソッ、痛い!」 だが、これで俺を倒せると思うな!――その声が響き渡る中、周囲の紫色の炎はさらに激しさを増し、まるで彼の痛みと怒りを糧にしているかのようだった。猛烈な勢いで、彼は突進した。その動きは予測不能で、怒りに取り憑かれた狂戦士そのものだった。


リアムは、洞窟の地形と風こそが自分の最強の武器だと悟り、破壊的な一撃をかわした。「あいつがこれほど強力で、なおも俺たちを追い詰めているというのに……これよりさらに強大な相手と戦うなんて、一体どうやったら考えられるんだ?」彼は首を振り、疑念を振り払おうとしたが、ある考えが頭から離れなかった。


もしここに兄がいたら、とっくに片付けていたはずだ。常に無敵で、誰からも称賛されていた兄の記憶が、見えない刃のようにリアムを突き刺した。俺は家族の中で一番弱い。ずっとそうだった。だからこそ、俺はここにいる。俺にも戦えることを証明するために。俺もまた、彼らが誇りに思える存在になれることを。


刀を握る手がさらに強まり、周囲の空気がより激しく渦巻き始めた。自分の強さを認めさせたいなら、持てる力をすべて出し切らなければならない。今、この場所で。


「ナイラ、止まるな!持てる力をすべて使い切れ!」


二人はドラエゴンの恐怖に立ち向かう決意を固め、洞窟の環境を最大の武器として活用しながら前進した。


リアムは深く息を吸い込んだ。洞窟を這う氷の気流の力を吸収するにつれ、彼の刀は新たな輝きを放った。周囲の空気が生命を得たかのように、氷の渦が彼の周りを巻き起こし、まるで洞窟そのものが彼の呼びかけに応えているかのようだった。


「今しかない!」彼は叫び、全力を込めて突進した。その体は、彼が操る風の延長そのものだった。


隣にいたナイラも躊躇しなかった。彼女は自らの血のケキジュツによって、脈打つ紫色の剣を手に生み出した。それは死を招くような、陰鬱なエネルギーを放っていた。彼女は完璧な息の合った動きで、ドラエゴンの側面を突くように横へ駆け出した。


ドレイゴンは咆哮し、リアムを阻むべく突進する中、剣の紫の炎が激しく踊った。


「お前たちは何者でもない!」 その声は雷鳴のようだったが、その怒りの奥には微かな不安の色が混じっていた。


リアムは致命的な精度で風を操り、流れるような動きで旋回しながら、ドレイゴンに真っ向から鋭い暴風を放った。洞窟の冷たい気流が攻撃の勢いと混ざり合い、ドラエゴンを後方へ吹き飛ばすだけでなく、全身を粉砕するような旋風を生み出した。


「うぐっ!」ドラエゴンは痛みに呻いたが、後退はしなかった。剣を手に、彼は反撃しようとしていた。


しかし、ナイラは彼にその隙を与えなかった。ソウルマナの刃が激しく輝き、彼女は横薙ぎを繰り出した。その攻撃は稲妻のように素早く正確だった。一撃一撃が殺意を帯びており、ケキジュツが剣の力を増幅させ、それを防ぐことはほぼ不可能にしていた。


「私たちを甘く見ないで!」彼女は叫んだ。その声は力強く、容赦なく攻撃を続けた。


ドレイゴンは防御を試みたが、リアムの鋭い嵐とナイラの致命的な攻撃は、彼にとっても手に負えないものだった。ナイラの紫の剣が魔物の防御の隙を突き、その脇腹を深く切り裂いた。一方、リアムの嵐は圧倒的な力で彼を襲い、洞窟の壁へと叩きつけた。


その衝撃で洞窟が揺れ、天井から鍾乳石が崩れ落ちる中、ドレイゴンは雷鳴のように響き渡る痛みの叫びを上げた。彼の紫の炎は揺らぎ始め、かつて威風堂々としていたその姿は崩れ去った。


洞窟は衝撃でまだ揺れ続け、周囲から鍾乳石が崩れ落ちる中、傷つき、息を切らしたドレイゴンは、ただひたむきな執念だけで立ち続けていた。その紫の炎は消えかかったろうそくのように揺らめき、かつて威風堂々としていたその姿は崩れ去っていた。


リアムとナイラは躊躇しなかった。血の匂いを嗅ぎつけた捕食者のように、再び前進した。彼らの動きは息を合わせ、致命的だった。リアムは刀から再び氷のような一撃を放ち、切り裂き、凍りつかせる暴風を生み出した。一方、ナイラはソウルマナの刃で横から攻撃し、一撃一撃に彼女の決意の重みが込められていた。


ドレイゴンにとって、すべてがスローモーションで動いているように見えた。彼はリアムの嵐が空気を切り裂くのを見、ニラの紫の剣が放つ不気味な輝きが迫ってくるのを感じたが、体はまったく反応しなかった。筋肉の隅々までが痛みの炎に包まれ、傷の一つひとつが苦痛で脈打っていた。体勢を立て直し、防御のために剣を掲げようとしたが、震える手の中でその武器は数トンもの重さを感じさせた。


かつてはこれほどまでに活気に満ち、力強かった彼のソウルマナは、今やかつての面影をわずかに残すだけの脆い存在となっていた。彼は自身の能力を酷使しすぎ、狂気の怒りの中で自らの限界を超えてしまい、今その代償を払っていたのだ。かつては絶対的だと信じていた再生能力さえ、もはや彼についてこなかった。「そんな……ありえない……」その思いが頭の中で反響する中、膝が崩れ落ちそうになった。


苛立ちが彼を蝕んだ。ドラエゴンである自分が、なぜ単なる人間たちに屈しなければならないのか?呼吸が荒くなり、洞窟の轟音が自身の怒りと溶け合うかのようだった。


ナイラとリアムはすぐ目の前に迫り、致命的な一撃があと数秒で彼に届くところだった。ドレイゴンは絶望の極みで、憎悪と怒りを込めて咆哮した。その叫びは嵐のように響き渡った。


「私は、たかが人間に死ぬものか!」


敵が彼に届く前に、ドレイゴンは純粋な絶望と軽蔑の念に駆られ、自らの胸に手を突き立てた。肉が引き裂かれる音が洞窟に響き渡り、彼は自らの心臓を引き抜いた。それは脈打つ黒い球体で、残されたソウルマナの残滓が微かに輝いていた。


リアムとナイラは即座に動きを止めた。まるでその光景の重みが彼らの行動の勢いをすべて奪い去ったかのように、攻撃は一瞬にして止んだ。リアムの嵐は消え去り、ナイラの刃は空中で静止した。二人はただ呆然と見つめるばかりだった。ドラエゴンの体はよろめき、膝が床に打ちつけられた。


洞窟は完全な静寂に包まれたかのようだった。引き抜かれた心臓はドレイゴンの手の中で微かに脈打っていたが、その暗いオーラは、生命の兆しと共に徐々に消え去っていった。それでもなお、彼の表情には苛立ちと憎悪が刻まれており、まるで起きたことを受け入れようとしないかのようだった。


リアムは肩から戦いの重荷が消え去るのを感じた。一方、ナイラは倒れた死体に視線を固定し、荒いながらも抑えられた呼吸をしていた。二人はその場に立ち尽くし、悪魔の死体がゆっくりと崩れ落ちるのを眺めていた。かつて圧倒的だったその存在感は、光の中に消えゆく影のように、次第に薄れていった。


ドラエゴンの顔には、苛立ちと憎悪がこめられていたが、その表情は、体が崩れ始めると同時に凍りついた。紫色の炎は一瞬にして消え、ドラエゴンは最後の反抗として、心臓を手に握ったまま膝をつき、そしてついに死を受け入れた。


ドレイゴンは地面に倒れ、その体は完全に打ちのめされ、致命傷から血が溢れ出していた。彼が怒りに任せて引き裂いた心臓はもはや鼓動しておらず、その体はあらゆる生命力を失っていた。洞窟の空気は重く息苦しいほどで、視界は闇に包まれていった。ソウルマナの熱は急速に冷め、それに伴い、彼の力の最後の火花も消え去ろうとしていた。


胸は血で満たされ、命の最後のあがきがゆっくりと、しかし絶望の無言の叫びと共に訪れていた。かつて剣を包んでいた紫の炎は今や消えつつあり、まるで悪魔そのものの精髄が消費され、残された怒りまでもが共に消え去っていくかのようだった。


涙で潤んだ瞳で、ドレイゴンは目の前の虚空を見つめた。まるで遠くにある何か、もはやそこにはない何かを見ているかのように。


彼は言葉を紡ごうとしたが、唇から漏れたのはかすれた声だけだった。その最期の瞬間に彼の心を満たしていたのは痛みではなく、遠い記憶だった。温かく親しみのある声が、思考の霧の中に浮かび上がり、過去の残響に乗って響いてきた。


「ママ、ママ。どうして私たちは人間をそんなに嫌うの?」


その記憶は鮮明で、まるで今この瞬間にそこにいるかのように鮮明だった。彼は、好奇心と無邪気な瞳をした幼い自分が、母の黒いドレスの裾を引っ張っている姿を見ることができた。


「彼らは昔から私たちを憎んでいたからよ……息子よ」


彼女の声は穏やかだったが、そこには彼がずっと後になって初めて理解することになるような哀愁が漂っていた。彼は、その記憶の温もりが冷たく陰鬱なものへと変わっていくのを感じた。あの日から彼を蝕み続けてきた憎しみは、彼を定義づけ、彼の人生と力、そして破滅を形作っていた。


彼は最後にもう一度顔を上げた。口元からは血が流れ落ちていた。目の前にいる人間たちの顔は、薄暗がりに包まれてぼやけていた。それが怒りなのか、後悔なのか、それとも単なる諦めなのか、もはや彼には分からなかったが、これが終わりであることは分かっていた。


「どうして…僕は…ここへ…来てしまったんだ…母さん…」


最後の息を吐き出し、ドレイゴンは目を閉じた。その体は、今や赤く染まった洞窟の凍てつく雪の上に横たわっていた。命は一息で彼を去り、その後を包んだ沈黙は、ほとんど耳をつんざくほどだった。


しかし、彼の記憶の残響は、まるでその瞬間が、恨みと悲劇に彩られた存在の最後の証であるかのように、空気に漂い続けているようだった……



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