やがて僕は神になる
思いついたら書いちゃえーって信条に従いました
丘の上に立ち 大きく息を吸い込む
流れる雲を見ながら 「あぁ何時以来だろうか」
後を振り返ると、今まで引き籠っていた小屋が見える
小屋といっても 雨露がしのげる程度の 物置みたいなものだ
日がな一日 ただ考えていた
僕はきっと何かできる 大きなことを成し遂げるんだ と
あらから何年経っただろうか
この丘の麓で木の実を拾い 水を汲み 野草を摘んで
後は一日 ただひたすらと 考えて
考えた結果 解った事がある
僕は 僕であり 何ができるのか 大成するのか しないのか
まぁ やってみなければ わからないって事は わかった
考えるだけ 考えたから まぁ、すっきりした
とりあえず 行動をおこそうか
通学途中だった 朝いつもの様に家を出て 駅に向かい いつもの電車を ホームで待つ
そんないつもの風景だったのに 電車がホームに入ってきて 扉が開いた瞬間 誰かが飛び出してきてぶつかった
ホントそれだけ 「いってぇー」って思いながら、学生服についた汚れを払って立ち上がろうとしたのだけれど
「ん?」 体が動かない 目は開いていて 何人かがこちらを見て 騒いでいるのは分かる
「大丈夫ですよ」 と、言いたいが声もでないし 起き上がれない
しばらくすると なんだか眠くなってきて・・・
気が付いたら この丘で寝ころんでいた
あぁ これが 異世界転生か! なんて思ってはみたけれど なんて事はない
何かの能力に目覚めたわけでも 神様っぽい人が現るでもない
手を動かしてみると 「あれ?この手の大きさは!」 なんて事もない いつもの手だ
じゃぁ ここは何なんだ!って思うのだけど なんの説明もない
この丘の周りは深い森で囲まれている 最初の1年位は 周りを探検したんだよ
最初の2か月くらいは、ひたすらこの丘を下って それから、また戻ってきて 反対側とか ぐるぐる廻りながら 外周を調べたりしたのだけど 森が終わることはなかった
不思議なことに 基本お腹もすかないし のども乾かない それでも 何か食べとかないとと思い
見つけた木の実や野草を定期的に食べている あと水も
でもね 出るものも出ない
きっと僕は霊体のまま・・・ なんて思ったのだけど 実態はあるし 転べば痛い
そんなわけで とりあえず 落ちてる木の枝や 倒れている木をみつけて なんとか 小屋っぽい物置みたいのを作ったわけだが ただ寝るだけの場所だ
そして 思ったのだよ これはきっと 何か特別なことが起こる 前触れで
この後なんか イベントがってね
そうして1年 ただ待ってたんだけど 何も起こらない
いったいここは・・・
そうして僕は 瞑想に入った 何が出来るのか 何か大きな事が出来るのではないか
自分の中に感じられる魔力(妄想)を感じながら
時折、木の実を食べ 水を飲み この木の実はきっと〇ムゴ〇の・・・なんて思いながら
気付くと季節も 5回は廻ったのではないだろうか 本当なら もういい年齢だ
たまに水に映る顔を見るのだが どうも齢は重ねないらしい
それならと 僕をここに連れてきた”意思”みたいなものは 何がしたのだと
色々考えてはいたのだけど 結局は なるようにしか ならない事に気づいた
随分のんきに見えるだろうが 基本的にのんびり屋さんなのだ
それでも ここ数年で なんか気力も 落ちてきて もう一度だけ この丘を 下ってみようと思う
そう思いたって ようやく 丘の上に立ち 大きく深呼吸をしたところである
ここを出る前に 一言だけ言いたい こんな場所に連れてきやがって
僕は空に向かって叫んだ
「僕は何しにこんなところに来たんだよーーーーーーーーー!!」
「ふぉっふぉっ それはじゃな・・・」
???
はっ? 思わず後ろから聞こえた声に振り返ると なんだか貫禄ありそうな白いお鬚の神様っぽい爺さんが立っていた
ー
ーー
ーーー
「神様?」
「おおそうじゃ、よくわかったな」
「あの、今まで放置されてたのは?」
「んー 何やら 試したことがありそうで あちこち動き回っておったし ここ最近は ずっと考え込んでいたからな 見守っていたのじゃ!」
どうだ俺優しいだろ? みたいな感じで言われてもね 納得できねぇぇぇぇぇぇ
「いやいや、普通ここに来た時に出てきてくれて 何でこんなところに来たのかの説明位してくれたって・・・」
「ふむ お主 わしが神様だと 思っておろう?」
それは そうだけど と、頷くと
「どうだろう お主が生きてた世界の TOPの 人間とゆうのは ある日いきなり 見知らぬ人間の為に 自分の時間を割いて 応対してくれるものなのか?」
「いや、アポイントとかとったうえで あってくれるか そもそも会ってくれないか・・・」
「そうじゃろ そうじゃろ わしは神じゃ 何しろ忙しくてな いきなり迷い込んだ者に 時間を割いてる時間など「ちょっと待ってください」」
どうゆうことだ 僕は迷い込んだのか・・・
「僕は、ここに迷いこんでしまったのですか?」
「確かあれは・・・ そうじゃそうじゃ わしがたまたま地球を覗いておった時にな お主が 転んで意識を失ったのじゃ あのまま治療しても 体は不自由なままっぽかったからな こちらに引っ張ったのじゃ! 感謝せい」
???
「おい! 迷い込んだじゃなくて そっちが引っ張っただと? しかも不自由なままっぽかった? 治ったかも知れないって事か?!」
僕は少し怒りながら問い詰めると 少し焦ったように
「いやいや あの あれじゃ こちらの世界では あの状態だと まず 治癒魔法がないと 不自由なままでじゃな その なんていうか 地球には治癒魔法などないし 向こうの治療の仕方など わしが知ってるはずないじゃろ だって異界の神じゃぞ・・・」
ブチッ! やばい 今 僕の中で何かが切れた気がする
「一つ質問があるのだけれど いいですか?」
「な、な、、じゃ、?」
「地球の神様と連絡出来ます?」
「!! な、な、、でそんなこ、とを・・・」
「できます!?」
「で、できます・・・」
「じゃぁ、連絡・・・ いや、ここに呼んでください!」
「!!!! そ、それ、は、、無理かもしれないぞ」
「どうしてですか?連絡できるんですよね!」
「いや、ほら 神様っていそがしいぁ、、、」
「呼べ!」
「は、はい・・・」
おかしい、絶対おかしい たまたま覗いたら 僕が誰かとぶつかって意識をなくしかけて 治ったか治らなかったかわからないけど 治すために 引っ張っただと 引っ張ったって表現もおかしい お腹がすかないのもおかしい この場所もおかしい もしかしたら、まだ僕は生きていて ここには魂だけって考えれば そんな気がする
「あ。あの お忙しいと思うのじゃが 第五異界の神じゃ 少しお話があって・・・はい、あ、いや、なんとゆうか・・・」
「はっきりせい!」
見た目40代の、ダークグレーぽい髪の凛々しい顔のおじ様がいきなり現れた
「なんだ!忙しいのに! ん? そこな小僧 地球のにおいがするな? なんで此処におる? ここは異界の・・・ お前!またっやたな!! その前に、小僧こちらに来い!」
やっぱりやらかしてやがったのか・・・絶対許さない! の、前に 地球の神様の前に向かう
「・・・ちょっと良いか・・・ふむ、お主はまだ、死んでおらぬようだな」
え?やっぱり・・・地球の神様が額に手をあてると、頭の中を覗かれたような気がしたが
「あ、あの・・・ こちらの神様が言うように、半身不随みたいな状態でしょうか?」
「何っ!? 心配せずとも、いたって健康だ! 魂がないから寝たきり状態だが 魂が戻れば普通に健康そのものだぞ!」
「寝たきり状態の僕は、見た目いくつに見えるでしょうか?」
「ふむ、人の年齢までは分からんが・・・ 今の小僧、お前よりは幾分か・・・ ? おい!第五異界の、この小僧ここに何年おるのだ! 普通はここまで魂と体の年齢が変わることはないだろ!」
「あ、い、いや 5年じゃったかの 7年? 何年じゃったかの・・・ホホ ホホホホ・・・」
すっとぼける異界の神を殴りたいのだけど 正直に僕は答える
「大体7年と半年ほどここにいます」
「そ、そんなにか・・・何かしていたのか?」
「いや、なにも・・・今、地球の神様が来る5分程前まで 異界の神様がいる事すら知らなかったので・・・で、異界の神様の話を聞いていたら これはもしかして”やらかされた!?”と、思い地球の神様を呼んでもらったところです」
「・・・異界の!!何を考えておる? これで何度目だ我が世界から魂を盗むのは? 小僧少し待っておれ、今度とゆう今度は我慢が出来ん!!」
地球の神様がそうゆうと、空に向かい大声で叫んだ
「これより緊急 十神会議を行う!! 議題は第5異界の去就だ!!」
そう叫ぶと同時に異界の神様が土下座を始めた
「すまなかったのじゃ! もうせぬ もうせぬから それだけは辞めてほしいのじゃ 謝る 謝るからーーーー」
なんか急に土下座して泣き出したけど、よほど悪いことが起こるようで少し気分も晴れる
「異界の 謝る相手がまちがっておるぞ」
と、同時 空が光出して 綺麗なお姉さんにお兄さん 幼女にばあさん ドラゴン!も・・・ 出てくる出てくる
残りの8人?8神が、そろったところで 地球の神様が口を開く
「まずは、小僧 この馬鹿が迷惑をかけた ひとまずは謝罪する そしてこれよりこの馬鹿の処遇を決定する会議を開く 小僧は当事者だ 不満があったり もっとこうして欲しいとかあれば 口を挟む権利を与える そしてこの会議に参加する者の紹介をしておこう 我は地球世界、第一異界を見守っている ”アースフェリオ”だ まぁ、アースでよい」
「なんだかわからないけど、自己紹介すればいいのね 私は第二異界の ”ネリュミラ”よ ネリーでいいわ」
「あたしゃ第三異界の ”ガランガル” ガーラでよいぞ」
「僕は第四異界の ”メリオンド” メリオでよろしく」
「第六異界の ”アニシエル” よ アニーでいいわ」
「第七の ”ヴィルダナ” ヴィルでよい ドラゴンの姿は大き過ぎるので人型に変わっておくぞ」
「第八異界の ”オルマニクス” だ オルマでよい」
「第九異界の ”フロムネア” です フロムとお呼びくださいな」
「第十異界の ”ターナルス”」
と、ここでまた地球の神様 アースが口を開く この馬鹿の紹介もするのか・・・とブツブツ言っているが、第五異界の神様は土下座のまま震えているの仕方なく アースが変わりに紹介してくれるらしい
「この馬鹿 第五異界の ”カルメ・インナー” カメでよい」
カ、カメ・・・なんて聞こえてきているが、僕も自己紹介をしておこう
「僕は地球から無理やりここに引っ張ってこられた タケシ 確か 苗字は・・・ 山桜・・・ そう、山桜 タケシ です」
そんな風に紹介すると 又やらかしたのか・・・ あらあら 今度はダメね・・・ バカだなぁ・・・等々 色々思うところがあるらしく みなそれぞれに口に出したり カメを睨んでいたり カメの頭を殴ったり・・・
このカメ何度もやらかしてるっぽいな
と、ここでアースより みんなを呼んだ経緯をざっと話し始めた
一つ 7年ちょっと前に僕が引っ張られてきた事
二つ 今の今まで、僕を放置していた事
三つ 地球の僕の体は元気なのだけど、魂がなくて寝たきり状態な事
四つ 今、魂を戻せば健康に生活始めれるけど、失った7年は地球ではどうにも重要な期間である事
五つ このカメのやらかしが100回を超えた事
六つ 前回、もうしませんと頭を下げてからそれほど期間が空いてない事
七つ これ以上 この馬鹿の問題に付き合いたくない事
八つ 以上をもってこの馬鹿の神の権限を剥奪して地上に降ろす事
九つ この小僧の処遇をどうするか
「以上が今十神会議(実質九神会議)を行う理由だ ついては被害者であるタケシに聞きたい。地球に戻っても学校も半ばでいなくなり、年齢的には働かねばならぬ年齢だろう。7年もあれば色々と世の中も変わっておる それで確認だが どうしても地球に戻りたいか? それとも異世界転生ヒャッハーしたいか?」
と、いきなり聞かれてもちょっと困る・・・確かに”ヒャッハー”は男のロマン・・・いや、人類の野望・・・それでも戻れるなら・・・当時付き合ってた未沙は・・・
7年も経ってれば・・・ 知らない誰かと貫通式は済んで・・・ え?今更戻ったところで・・・ え?
学歴が無くて働けるところって・・・ ブラックワーカー 周りは野郎どもの出会い無しのガテン系・・・ え?
両親はまだ健在だろうけど・・・ 寝たきりの僕の面倒を7年も見てくれているんだ、きっと いつかきっと 目が覚めると 信じて・・・ そして僕が目覚めたらどうなるんだ この先 両親がアルツハイマーになろうと寝たきりになろうと、文句も言わずに面倒をみなければ・・・ え?
なら、異世界ヒャッハーは?
多分、お詫びでなんか能力もらえて、その力でもって・・・ヒャッハー?
ー
ーー
ーーー
ヒャッハーいい!!
絶対にヒャッハーがいい
「あのっ、このまま地球に戻れても苦労しか思い描けないので、できれば異世界にヒャッハーさせて頂けないでようか?」
「「「フフッ! アハハハハハ!!」」」
と、いきなり神様達が笑い出した・・・一番寡黙そうなターナルスさんも肩を揺らして俯いている
あれ、やっちゃった?
「タケシとやら、わしらは神じゃ お主の考えなど筒抜けじゃぞ!」
「まぁ、そうゆう事なら異世界行きでよかろう それでどうする? 希望とやらがあれば聞いてやるぞ」
そんな事を聞いてくれるなんて・・・どうしようかな、異世界あるあるか 王族?いや自由がないでしょ
貴族も同じ理由で・・・権力争いとかやだしなー ある程度力がもらえるなら・・・冒険者一択だな!!
生まれは、貧乏な農家とかだと家を出る時反対されそうだし 働き手を減らさせるってのもなんかやだし・・・
適当に、ちょっと大きめの商人の3番目とかなら跡継ぎ問題もないし、家を出る時に少し融通してくれそうだし
家を出るまでに、しっかり物を見る目を養っておけば・・・ついでに人を見る目もか・・・
これだな、そして愛情いっぱいの家庭なら冒険者になって もし大けがとかしても心配してくれそうだし、そのあとの生活に不安もなさそうだな
よしこれでお願いしてみよう と、口を開きかけたが
「わかっておる、タケシが考えたことは ここにいるみんなお見通しじゃ その上でお願いがあるのだがよいか?」
そうだった、ここにいるのは神様達だ 僕の考えた事は全てお見通しになってるんだな
カメはちょっと変っぽいけど、他の神様達は良い人っぽいから無理なお願いなんかしないだろう
僕に出来る事ならなんだって(無理のない範囲で)聞いてあげよう
「よし、それならまずは ”カメ”じゃ 神の位を落として地上に降ろすのは決まってるが、腐っても元神じゃ 他の世界に降ろすのはちょっとまずいので 第五異界に降ろすのじゃが そのまま降ろしてしまうと何をするかわからぬ なので首輪をつけたいのじゃ なんで我ら九神が認める タケシよ 其方にカメの権能すべて与える その代わりといってはなんだが カメを適度に監視してほしいのじゃ あまりに酷いようなら 存在を消し去ってもかまわん! そして寿命がきたら、このまま第五異界を見守って欲しいのじゃ よろしく頼むぞ」
え?? ちょっと・・・ カメの面倒とかいいんですけど・・・・
第五異界の面倒って・・・え? 僕が神様に・・・?
「あそこの商人なんてどうじゃ?」
「あっちは、まだ小さいが祝福を与えておけば育つ頃には・・・」
ちょ、ちょっと・・・・なんて考えている間に僕は光に包まれて・・・
「オギャーーオギャーーー」
「良かったですね、可愛い女の子ですよ!」
え? 女の子・・・・
貫通式はする方じゃなくて、されるほうなのね・・・・
そして僕はとある異世界の、波に乗り出したばかりの商人の3番目の娘として産声をあげた
辻褄は合わせるものじゃなくて
見過ごしてもらうものだと
心が叫んでいます