表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/5

あせった

 そんなオレは、片思い人間だけど…でも、意外とモテる。

 

 

 なんなら、さっき学校帰りに駅で知らない高校の人に、彼女いますか?って言われて連絡先を渡されそうになった。

 

 

 でも、受け取ったら期待させてしまうので、きちんとお断りさせていただいた。

 

 

 そして、そのまま家に向かってトボトボ歩いていたら、後ろから柚芽那が

「さっきみたよ〜、モテモテじゃん」

 って、オレをちゃかしてきた。

 

「あー、みてたんだ…。てか、柚芽那はこの前の人とどうなったの?」

「ユウトのアドバイス通りにしたよ」

 

 …

 

 オレのバカめ…

 

 友達からって言えば?なんてアドバイス…なんでそんなこと…

 

 それは、そのまま付き合うやつやん…

 

「あっそう。よかったね」

「え?なんか怒ってる?」

「あ、ううん。別に興味ないからつい、あっそうとか言っちゃったわ♡本心出しちゃってごめんねっ♡」

 と、心にもないことを発言してしまった。

 

 

 オレは…オレは最近、どうしてしまったのだろう?

 

 自分が自分じゃないみたいだ。

 

 

 

「あ、そうそう。今度お祭りあるじゃん。その人に行こうって誘われてるんだ。」

「へー」

「へーってさ、なんか…なんか感じわるー」

「あー、ごめんごめん。まぁステキ♡浴衣着るの?いいわね♡楽しみね♡」

 

 …

 

 しばらく無言のあと柚芽那から

「その口調…なによ?キモいから」

 ってお叱りを受けた。

 

 なぜだろう…

 

 

 オレは、なんであんな口調に…

 

 自分がどうにもこうにもとめられない…  

 

 たぶんオレは…柚芽那にイラついているんじゃなくて、自分自身にイラついているんだ…。

 

 柚芽那がどんどん遠くにいっちゃいそうで、不安に押しつぶされそうで…

 

 

 オレはつい、柚芽那を抱きしめてどこにもいかないでほしいって言いそうになったよね…。

 

 …

 

 それができるのは、両思いの人だけだろうに…

 

 てか、両思いだったら今ごろは交際中だよね…。

 

 付き合ってないんだから、そんなことしたらもちろん…キモがられて絶交だろうよ。

 

 絶交されるくらいなら、せめて幼馴染ポジションは、ちゃんとキープして、全力で柚芽那と向き合わなきゃなんだ。

 

 

 前に友達には、それっていつまで続けるの?って質問された。

 

 …たしかになのです。

 

 柚芽那が結婚するまで?それを見届けたら、オレはポイ?

 

 むしろ、旦那さんが一回も好意ない幼馴染なんだから、連絡くらいとっててもいいよって許可してくれたら…

 

 そしたらオレは、ずっと柚芽那とこんな関係?

 

 オレに好きな人ができるまで、ずっと柚芽那の相談要員?

 

 それって…めっちゃ心がしんどくね⁉︎

 

 でも…どうしたら…

 

 だれか女の子紹介してもらう?

 

 そしたら、柚芽那のこと忘れられて苦しみから開放されるの?

 

 

 ?

 

 そもそもオレって、何をどうしたいのだろうか⁇

 

 柚芽那の恋バナを聞けば聞くほど…どうにもこうにも冷たい対応になってしまう…。

 

 

 どう対応したらいいのか困っていると柚芽那は、

「もしかしてヤキモチやいてたり?」

 なんて、ニヤついてきた。

 

 だからオレは、スンって顔で

「全然」

 と、冷静という嘘をカラダにまとわせてこたえた。

 

 それをみた柚芽那は、

「だよねー。そうだよって言われても困るもーん」

 って笑った。

 

 

 …

 

 やっぱり困るんだ?

 

 てことは、やっぱりオレは完全に脈なしやん。

 

 

 

 

 

 そしてお祭り一週間前に柚芽那がオレの部屋にきて、真面目な顔で

「お祭りって…キスのイメージがあるんだけど…どう思う?」

 と聞いてきた。

 

 お祭り…からのキス?

 

 

 ありえなくもない。

 

 

 てか…ついにこの前告白してくれた人と柚芽那が一線を越えるんですね…

 

 

 …

 

 

 

「…まぁ、夜だし…花火綺麗だし…テンション上がってしちゃう…的な?大勢いたらあれだけど、帰り道ひとけのないところで…とかあるんじゃん?花火一緒に行く人とそうならないか?って心配なの?」

「うーん…友達からはじめたから、キスは…ないと思うんだけどね…。そもそも友達には、キスしないでしょ?でね、わたし…花火ユウトと行きたい。ダメ?」

 

 

 ⁉︎

 

 この流れで、オレ⁉︎

 

「それは…どういう…こと?」

「あのね、実は花火は…一緒に行けないって告白してくれた人には、けっこうまえに断ってて…花火イコール夏の匂いイコールキスってなってそれはムリかもってなったの…だからやっぱり友達からっていうより、友達どまりって気づいたの。だから、ちゃんとお断りしたの。それで……ずっとユウトを誘うか誘わないか迷ってたの。」

 

 …

 

 え?それはどういう…

 

 

 …

 

 オレは、もちろん行きたいけど…

 

 

「もしかして柚芽那、オレのこと好きになっちゃったんじゃ…」

「は?そんなわけ…ないけど…でも…ほら、ユウトといると気が楽だから、安心してお祭り楽しめるでしょ?幼馴染だし…」

 

 そっちか…

 

 一瞬焦ったよね。

 

 このまま流れで付き合って…うまくいけばいいけど、もしそうじゃなくなったらって…さ。付き合って別れたらそれが一番オレの恐れていたこと。

 

 

 心のカーテンがしまった感じがした。

 

 真っ黒のカーテンがさ、シャーって閉まる感…。

 

 でも、柚芽那が最後に幼馴染って言葉を入れてくれたから、カーテンがシャーって開いたよね。

 

 

 よかった。

 

 柚芽那がオレに恋愛感情がなくてホントよかった。

 

 

 続く。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ