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いつまでも咲く花をきみに  作者: 塩味うすめ
手紙の降る夜
32/34

角度を変えて

■■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■


 魔道車が海岸沿いを走る。舗装された道を見る限り、アルク共和国はそれなりに発展しているようだ。スゥクスの街と、この港の街の様子から勝手に牧歌的なイメージを抱いていた。サラは流れる景色の中で、人もそうなのだろうかと思いかえす。

 ベラの印象もここに来てから随分と変わったけど、ベラが変わった訳ではない。今まではベラの一部分しか見ようとしていなかっただけだ。   


「サラ。霧の話だけど」


 ハンドルを握り、真面目な声で話し始める横顔。


「うん。どうだったの?」

「やはり魔道具が関与していたわ。あの将軍の話によるとね、はぁ」


 ベラがため息をつきながら話した事によると、グロンダン王国は今年の山羊への手紙が出回るのを防ぎたいのだそうだ。その為に今年の7月7日に雨を降らそうとしているのだとか。

 

 ため息をつきたくなる気持ちも解る。他国の祭事に干渉するなんて大問題だ、関与しなくてもそんな話を聞いただけで気が重くなる。当然この事はグロンダン王国は秘密裏に行うつもりだったのだろう。港でのベソン兄妹が肩を落としていた姿が思い出された。

      

「どうして手紙が出回ったらいけないのかな」

「なんでもグロンダン王国の王族がリヌス王子の書いた手紙が降ってくるのを恐れているらしいの。それで将軍達が派遣されたって話だったわ」


 全てはショヴァン将軍が、いかに自分が重要な任務を任されているかをベラに得意気に話す中で分かった事だそうだ。ベラの気を引く為に嘘をついた可能性もあるが、そんな自国を評価を落とすような嘘をつくとは考えにくい。

 49年前の手紙が今になって、多くの人を巻き込む。サラは手紙について考えながら、肝心の魔道具の話を聞いていなかった事を思い出す。


「どんな魔道具だったの?」

「それが、ショヴァン将軍が言うにはなんでも海の水を蒸発させてしまう物らしいの。ベソン兄妹が関わっているからフィル商会が調達した物だと思うけどそれ以上知ることは出来なかったわ」


 魔道車の速度が落ちていき沿岸沿いの空き地で停まる。魔道車から降りた二人は堤防の上まで歩きだす。


「“雨を降らせる”か」


 雨は大まかに言えば、元の水蒸気が固まって小さな水滴となり空から落ちてくる現象だ。雲は小さな水滴や氷の集合体で雨の発生する源となる。  

 グロンダン王国は表だって他国の祭事に干渉する事は出来ない為、第三の力によって山羊への手紙を無きものにしようと考えているのだろう。もし、今回の事が発覚しても自然現象だと言い逃れの余地を残せる。


「....目的を達成する為に、他のものに犠牲を強いるなんて...」 

「ええ、許せないわ...」


 潮風が二人の髪を巻き上げて空に過ぎ去り、堤防の下で波が打ち返され沖へと帰っていく。


■■■■■■■□■■■■■■■■■■■■■■■■


再開します。またよろしくお願い致します。でも全く書いていないので少々お待ちください。今は見直しして修正してます。

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