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いつまでも咲く花をきみに  作者: 塩味うすめ
手紙の降る夜
26/37

ドレスアップドール

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 サラの話を聞き終えたアンリが、部屋の中を歩き回っている。


「アンリ落ち着いて」

「サラ、それは無理よ。ベソン兄妹がサラの店を乗っ取ろうとしていると聞いて落ち着いていられるわけないじゃない」

「いや、大丈夫だから」

「大丈夫って、さっきも声を掛けてきたじゃない?」

「うん。まぁ、それよりもグロンダン王国が関与って話はどうなの?」

「えっと、そうね。それも含めてベソン兄妹に探りを入れてみるわ」


 そう言うと、アンリは鞄から魔道具を出す。【ドレスアップドール】アンコモンの魔道具で見るのは初めてだ。

 この魔道具はドールに着せた服やカツラが、着せた本人にも反映されるというもの。ただし、一度でも脱ぐとその効果は無くなり、元の姿に戻る。

 

「どうするつもり?」

「尾行するのよ」

 

 いい笑顔を見せるアンリに、口を開けて天を仰ぐサラ。天井の木目がそんな二人を見て笑っているようだ。アンリは小さな衣装ケースを取り出して慣れた手つきで、ドールにカツラを付けた。すると瞬く間にアンリの綺麗な金色の髪が、艶やかな長い黒色の髪に変化する。


「服はどうしようかしら...そうね。ちょっと待ってて」


 そう言うと、アンリは部屋から出ていった。暫くして戻ってきたアンリの手には人形が二つ。人形にはあの独特な民族衣装が着せられている。そして自慢げな笑みを見せ、ドレスアップドールにその民族衣装を着せ変えた。


「これ浴衣というらしいわ。ソバを食べた所の店の人が着ていたのとは少し違うけど、こちらの方が動きやすいという話よ」

「えっと、尾行するのでしょう?目立たない?」

「大丈夫よ。もうすぐお祭りが始まって、スクゥスの街はこの衣装を着た人達で一杯になるらしいから。ほらサラも」


 ドレスアップドールを手渡され、カツラを選ぶように言われる。サラはいくつかのカツラの中からひとつを選び、赤のウェーブが黒のボブカットに変わる。手ぐしで触れてみると、髪が綺麗に流れる。いつもと違う感触に口許が緩む。

  

「良いわね。いつものサラの方が素敵だけど」


 いつもと違って首元が少し心許なく感じる。ドールに浴衣を着せ、二人して姿見の前に立つ。アンリは淡い紫に牡丹と藤の花が、サラには白に桜と金魚が描かれている。


「こうして並ぶと姉妹に見えない?」

「見えない」


 サラの返答が気にいらなかったのか、頬を膨らませるアンリ。だが、姉妹というにはスタイルが違いすぎる。サラも悪くはないと思っているが、アンリと比べると色々と足りない。


「ところでベソン兄妹は何処に泊まっているの?」

「え?」


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