9.雨上がり。
雨上がりの帰り道、梨愛は始終
ご機嫌だった。
「ふふ。むぅちゃんの背中。
むぅちゃんの背中……!」
「はいはい。分かったから静かにして。
だいたいなんでお前って
あの日、自殺なんかしちゃったわけ?」
「……」
途端静かになる帰り道。
「……」
「……」
痛いところをついているってのは分かる。
だけど梨愛が死んでしまったのは
ずっとずっと前のことで、
ここ2~3年とかの話じゃない。
かれこれ10年は経っている。
今更その理由を隠しても、そんなの
なんの意味も成さないんじゃないかって
俺は思うんだ。
「うーん。……実はね……」
梨愛は重い口を開いた。
──大好きだった人がいて、
大好きな人が大好きな人を大好きだったの。
「………………」
ごめん。意味が分からない──。
聞いた俺が馬鹿だった……と思いながら
顔を上げる。
そしたら見知った人影がいくつか見えた。
──あ。紫子さん……?
「……」
ヤバいって思った。
見られたって。
辺りはもう、雨はやんでいて
ついでに朝日が登りかけていた。
紫色に霞んだ空はとても綺麗で、
今日もまた、暑くなりそうな色だった。
┈┈••✤••┈┈┈┈••✤ あとがき ✤••┈┈┈┈••✤••┈┈
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