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私の婚約者は悪役令嬢らしい

 

「……聞いてくれ、ヘルマン。

 実は、悪役令嬢というものが私を狙っているようなのだ」


 夜、王子フランツは燭台の灯りのもと、重々しくそう語る。


「聞いたことありますよ。

 近頃、いろんな国で噂の悪役令嬢という奴ですね」


 大抵、かなりの美人なんでしょう? と王子の従者にして幼馴染のヘルマンは言う。


「いろんな国の王子の婚約者がそれに該当するらしいのだが。


 名前は知っているが、会ったこともない、いつの間にやら私の婚約者におさまっていた女も、その悪役令嬢とかいう奴らしい」


「悪役令嬢というのは、かなり高慢な女性が多いらしいですね」


 その言葉に、自分の未来に不安を覚え、王子は溜息をついたが、ヘルマンは浮かれたように言う。


「気高くプライド高く、なじってくれる美女。

 狙われたいですっ」


「……私がお前のような趣味だったらな。

 ともかく、数年前に私の婚約者と定められた、公爵令嬢のフィオナといよいよ会うことになったのだが」


 どんな恐ろしいことが起こるのだろうな、と王子は怯える。


「まあまあ、会ってみねばわからないではないですか」

とヘルマンに(さと)され、王子はフィオナと対面した。



 彼女は花咲き乱れる東の庭園のガゼボの前に立っていた。


 落ち着いた色合いのドレスに公爵令嬢らしからぬシンプルな髪飾り。


 小さく品の良い顔を派手でない衣服や装飾品が引き立てている。


 彼女は愛らしいが知性を感じる瞳でこちらを見た。


 気高そうだが、プライドは高そうではない。


 王子は彼女に近づくと、(ひざまず)いて言った。


「結婚してください」


「待ってください、王子」


 話がおかしい、とヘルマンは言う。


「あ、あの、私はあなたが婚約破棄しない限り、あなたと結婚しますが」

と言うフィオナに向かい、王子は言った。


「そういうのではなく、結婚してください」


「は?」


「親が決めたから結婚するとかじゃなく、結婚してください。


 今の婚約は破棄する。

 新たに私と婚約し、結婚してください」


 そう王子はフィオナに言った。




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