0.プロローグ
初投稿になります。
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「普通」とは一体なんだろうか。辞書を引くとこう記述がある。
【普通】いつ、どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。
人間のあり方で言う「普通」を表すのであれば、恐らく前者のことを指すのだろう。
いつどこにでもある、ありふれた生活を送る。それが普通だと俺、柳 涼弛は解釈した。
高校生のありふれた生活。居眠りすることなく授業を受けて、放課後は気の合う友人と遊んで、学校行事では与えられた役割を目立つことなく全うする。
真面目すぎず不真面目すぎず、そして張り切りすぎない。そうやって俺は入学してからの半年間、藤原学園での高校生活を送ってきた。
…はずだったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。
今俺はクラスメイトのお嬢様に不躾に呼び出され、告白を受けている。
「柳君、私はあなたに好意を寄せていますの。私とお付き合いしてくださらないかしら。」
11月も終わりを迎える頃合いになったある日のことである。
この時期の放課後となるとさすがに寒く顔も白くなってくるどころか、人によっては青くなるような冷え込み。それなのに、目の前にいる女子生徒の城仙寺 泉は顔を少し赤くしながらそう俺に言い放ったのであった。