屋根裏部屋は、星座を眺める僕の秘密基地
毎年僕を含めた家族は、とある田舎の別荘へ向かう。
古びたお家を、大工をしていたお父さんが改装したんだ。
そこの別荘には、僕の秘密基地がある。
小さな屋根裏部屋を、お父さんに作って貰ったんだ。
そりゃあ、もう……僕のお気に入りさ。
だって、そこから見える星空がとっても綺麗だから。
星座表と望遠鏡を持ってきて、毎日眺めていた。
……まあたまに、お母さんに「早く寝なさい」と怒られたりしたけどね。
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あれから、僕は大人になった。
行っていた別荘は、そのままにしてある。
……が、ここ最近は行けていない。
今日も、仕事が忙しかった。
仕事を何とか終わらせて、会社を出る。
ふと、空を見上げる。
ビルの合間から、星空が見える。
綺麗な星空だ。
頬に涙が伝うのに気がついた。
『あの時』の思い出が、蘇る。
「……夜空って、こんなに綺麗だったっけ」
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それから、数日後の休日。
僕はあの別荘に来た。
どうしても、ここへもう一度来たかったのだ。
父が数ヶ月に一回、掃除に来ていると聞いている。
その為か、中は綺麗になっている。
あの屋根裏部屋に入る。
小さかった頃に比べれば、だいぶ狭くなった。
これが『大人』になった、証拠なのかな。
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その日の夜、また部屋へ入る。
窓から見えるのは、『あの時』と一緒の綺麗な星空だ。
昼間、部屋の片隅に星座表を見つけたから、それを改めて見直す。
忘れかけていたな、この感覚。
……たまに、星空だけでも見るのも良いのかもしれない。