短編 午後七時・砂浜・接触
午後七時・砂浜・接触
を使ってなにか制作します。
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出来ればゆるく読んでやってください。
また、会いに来たよと彼が言う。私はいつものように優しく微笑む。透き通ったこの目で、この唇で愛を伝えたい。
昨日話しかけていたのは一体誰なのかと問い詰めるつもりなんてないの。今はただ、こうやって隣で二人で海を見ていたい。
お月さまの光を受けてきらめく私を見て。この手を握りしめて欲しい。しっかりと指を絡ませて。恋人のように。
砂浜で体育座りをする彼に、私の方から近づく。ちょっとびっくりさせちゃったかな。急すぎたのかな。
二人でゆったりと星を見たり、遠くを通る船を見たり。ただそんな時間が過ごせるだけで幸せ。
今度はゆっくりと、出来る限り優しく彼の手の上に指を重ねる。
「痛!」
ああ、待って。ごめんなさい。そんなつもりは無かったの。
声にならない声で彼に謝っているのに、伝わらない。
走り去っていく彼の背に、もう一度だけごめんなさいと伝える。
海から来た波が、もうそろそろ帰る時間だと告げる。月の満ち欠けのように、止めることの出来ない運命。
私は、その波に逆らうことの出来ない、哀れな一匹の。
くらげ。
クスっとでもしてもらえたら勝ち。
くだらねぇと思ってもらっても勝ち。
なんらかの感情の変化があれば、出来ればプラス方向への動きがあれば大勝利。