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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

横たわる死体にキスをした。

作者: 椎名葱

椎名葱です。今回は、第九回、ネット小説大賞に応募したいということで、この小説を書きおろさせていただきました。まあ、内容はヒューマンドラマです。ラヴだとか、恋だとかを語ってます。やっぱり、人間って怖ェッ~!

告白します。


好きな人を、刺しました。彼が私を好きなのかわからないので、刺しました。


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私が、腹に悪魔を抱えた日から、彼は変わりました。愛想が悪くって、朝、目覚めるたびに「愛している」と言ってくれたのに、今では言ってくれません。

彼は変わりました。昔から、私だけを見ていてくれたのに、今じゃ、知らない女の家に入り浸ります。しかし、私はそれでも彼が好きです。彼のためなら、身すら売ります。子供が生まれたとしても、私は、身を売ります。だって、彼が、何に使うかわからないお金を必要とするのですもの。私は彼が大好きなのです。私にできる、彼への愛情表現なんてものは身を重ねあうことと、お金を渡すぐらいしかありません。私はダメな女です。ふしだらで、汚くて、躾のなっていない女です。それでも、彼は私を愛してくれました。しかし、それは一瞬にして、消えてしまいした。腹にこさえた、あの醜悪な悪魔のせいで。あの、小汚い、今にも発狂してしまいそうな、あの悪魔のせいで。




思えば、私は昔から報われない人間でした。


努力しても、勉学というものは私に身についてはくれず、愛しても、報われず。愛して報われたとしても、奪われて。そんな生活を送っていました。中学校でもさんざん嬲られました。いじめられ、親に相談しても、教師に相談しても、そいつらの言うことは「お前が悪い」「お前にも原因がある」の一点張りでした。私は、生きているだけで悪いのでしょうか。




私も、高校生になりました。私の母は、昔からパチンコやら、見知らぬ男との一晩限りの恋人ごっこやら、お酒やらに依存しており、とにかくダメな人でした。それでも、父が出ていくまでは、本当にいい人でした。料理もお上手で、よく笑って、やさしかったのです。しかし、父が家を出てから、あの人は変わりました。まるで、何かに取り憑かれたように。




私のおうちにはお金がなく、私も稼かざるを得ませんでした。様々なアルバイトをいたしました。しかし、私は仕事が下手で、バイト先の人にも嫌われて、何個もバイトを請け負っては、すべてクビになりました。そんな時、私が始めた仕事が、「援助交際」でした。本当は、こんな仕事したくありませんでした。しかし、お金がない以上、するしかないのです。何より、この仕事をしているときは、相手の人全員がやさしくて、本当の家族のようで、自分の素顔を晒せて、本当の自分に成れたような気がしました。




学校に行くと、私は殴られます。生きているだけで、「不細工」だとか、「死ね」だとか、心無い罵声を浴びせられて、頗る殴られました。相手が、飽きるまで、さんざん殴られました。痣もできました。その痣を母に見せても、なんとも思われません。しかし、私が身売りする相手のおじさんたちは、親身になって心配してくれます。もちろん、そのあとに私と行為を重ねるからでありましょう。しかし、心配してくれるだけで、私は報われた気持ちになるのです。私は報われたことが人と比べて少ないので。




援助交際をしている際に出会ったお客さんの中に、彼がいました。彼も、私と同じような境遇で、愛されなくて、愛を知るために、私を買ってみたらしいのです。彼とは、趣味が合いました。好きな音楽、好きな作家、好きな食べ物、趣味、すべてが私と可笑しいほどに一致していました。私は、みるみるうちに、彼に堕ちていきました。次第に、夜を重ね、狭くて、古臭いボロボロのアパートで、ともに生活を送るようになりました。




彼には、定職が御座いません。彼は、昔から学校に行っておらず、頭も悪く、人相も悪いので、頼れる人も居ないのです。そんな彼を見て、私はもっと惹かれてしまいました。守ってあげなきゃ、だとか、そんな汚い、不純な母性本能が暴走してしまったのです。ここでやめておいた恋ならば、私はまだ、幸せだったのでしょうか。




先述した通り、私は援交少女でございます。一応、それなりにお金はございます。私が、好きでもない男に抱かれて得たお金を、彼は飢えた子供のように、欲するのです。うるさいくらいに、せがむのです。最初のうちは、私も笑顔で貸していましたが、私だって、自分のお金をそう、軽々と人に貸したくはございません。私がお金を貸すのを拒むと、彼は潔く、数少ない友達に電話するのです。そうすると、「今度は絶対に勝つから。」という言葉が、必ずと言っていいほど聞こえてきます。何に勝つのでしょう。私には、さっぱりわかりません。しかし、あまりよくないことだというのは、なぜかわかります。そうやって、彼は数少ない友達すらなくし、私のお金で生活をし、近頃は「俺は天才なんだ。一般人とともに働いてたまるものか。俺は社会不適合者なんかではない。社会が俺に合わせるべきなんだ。」なんて横暴なことすら、言い始めるのです。はあ、素敵。




そんな彼と付き合い始めて6箇月が過ぎたとある日、ふいに、情緒が不安定になり、おなかが張ったり、胸の張りが起こるようになりました。それが怖くなって、私は、妊娠検査薬を使いました。




「陽性」なんと、赤ちゃんができていたのです。私は、頗る喜びました。うれしくて、うれしくて、たまりませんでした。だって、考えてみてくださいよ、好きな人の遺伝子を継いだ子供ですよ。最高ではありませんか。どうせ、生まれてくるものならば、私は必死に育てようと思いました。可愛く、品のある子供に育てたいと思いました。子供がしたいというならばなんでも習わせたり。何不自由ない生活が送れるように頑張ろうと思いました。私のように、体を売らなくて済むように。




妊娠していた事を、彼に報告いたしました。喜んでくれるだろうなあ。そんな風に、浮かれて、笑顔で報告いたしました。彼は、人を殺すような、面白いほどに汚い顔をして、私を睨みつけました。「オイ、俺の子供じゃあねえだろうな。」ドスの効いた声でそう訊かれました。すると私は笑顔で答えました。「いいえ、あなたの子供よ。私たち、ついに夫婦になれるのね。うれしいわ。」そうやって、屈託のない笑顔で彼に云ったその直後。「ドンッ。」鈍い音が、汚くて、狭い部屋で響きました。私は浮かれていたようでした。彼は、私の子供なんか望んでいないようでした。「オイ、早くおろせ。俺は本気でお前を愛しているわけじゃないんだ。ただ、少しばかり趣味があって、金をくれるからお前と暮らしてるんだ。バカをいうな。なあ、俺が養えるわけねえだろ。早く、はやく、早くおろせ。さもないと、俺はお前を殺すぞ。」なんと物騒なことを言うのでしょうか。怖くて、身震いいたしました。このことを、母に報告いたしました。すると、母は声をとがらせて、「18歳で妊娠?ふざけないで。もう、今後一切、あなたとの関係はなかったことにしましょう。私としても、あなたとしてもそれが一番いいわ。」そう言って、母は私の連絡先を消去し、荒く電話を切りました。今思うと、私はまだ成人すらしていない子供で御座いました。自分が腹を痛めて産んだ、実の娘が、知らない男に身を売って、汚い行為で知り好きになった男の子供を身籠るなんて、そりゃあ、母親も喜べないのだと今になって気づきました。私は、本当にダメな子だ。




妊娠してからというもの、私は彼に脅されたり、母に絶縁を迫られたりしまいました。それでも、私はどうしても、おろすのだけは嫌でございました。だって、そんなの、罪悪感でご飯が喉を通らないじゃありませんか。私は、人を殺したくありません。あなただって、一度でも私を愛したのでしょう?なら、最後まで愛してくださいよ。声を震わせ、泣きながら彼に云いました。まるで、玩具が欲しくてたまらない子供のように駄々をこねていると、さすがのあなたも観念して、諦めてくださりました。話は変わりますが、あなたは昔からアイドルが好きでしたよね。あなたの好きなアイドルが妊娠した際、あなたはネットでこれでもかと叩きましたよね。さんざん好きだと言ってきたくせに、現場にも行って、私のお金を勝手に貢いだくせに、人が変わったようにアバズレだとか処女じゃねえのかよなんて、文句ばかりネットで垂れていましたよね。本当に、笑っちゃいますね。あなたってば、アイドルに何を求めているのかしら。まあ、アイドルの禁断の恋ですもんね。怒っちゃうのも、仕方ないですね。でも、私たちの恋愛は、だれも怒りませんよ。だって、好きな人同士で愛し合って、挙句に子供ができたのでしょう?めでたくて、仕方ないじゃあありませんか。ねえ、だって、あなただって私のことが好きなんでしょう。本当に、あなたの視界には、私しかいないんでしょう。




妊娠したとあなたに言ってから、あなたは本当に、愛想をつかしたように、私に対して不愛想になりましたね。他人行儀で。まるで、会ったことのない人のようになりましたね。もう、幾度も体を重ねたというのに。




あなたは、帰りが遅くなりましたね。どこに行ってるのかしら。昔は、早く帰ってきては「ああ、君に会うためだけにこんなに早く帰ってきてしまった。まったく、私はダメな男なのかもしれない。」なんて、クサいこと言ってくれたじゃあないですか。今のあなたは、どこにいるのかしら。三日に一回程度に帰ってきて、何も言わずに、寝ていくのね。私が丹精込めて作ったご飯を食べずに、「今日は食べてきた。」で、済ませるのね。誰のお家で食べたのかしら。そういうことを尋ねると、あなたは決まって、「友達の家に決まっているじゃあないか。」っていうわよね。私たちの最近の一日の会話は、本当にこれだけですよね。悲しいわ。




あなたってば、私を殴ったわよね。私のお腹が大きくなるにつれて、あなたは冷たくなっていき、妊娠が破滅への秒針のように思えたわ。あなたは私を殴ったわよね。でも、私はあなたを一度も殴ったことはないわ。本当に、あなたのことが大好きなのですから。好きな人なんて傷つけたくないもの。私は別にいのよ、あなたに殴られてもいいわ、あなたのそばに居られるならばそれでいいのよ。そんな、無垢で、一途私をあなたは捨てたのよね。あなたが、あの日「今日ぐらい、いいじゃないか。」なんて言わなければ、私たちは、未来永劫幸せだったのかしらね。わからないわ。でも、あなたに一度でも愛されていたことがあるならば、私はそれでいいわ。でも、私を殴ったことは許さないわ。絶対に、許さないわ。




私は、あなたのすべてを知っているつもりよ。あなたの携帯のパスワードだって、直ぐにわかったのだから。でもね、あなたの本性だけはわからないの。状況や、気分によって、あたしへの愛情表現が変わるわよね。殴ったり、犯したり。あなたの本性が読めないの。


あなたがお風呂に入っている間、私はあなたの携帯の中身をみたわ。その時、私のLINEの名前を、「売女」にしてたのを初めて知ったわ。私って、売女なんて下品な女だったのかしら。あなたを本当に愛しているのに、あなたは一切愛してくれなかった、ただの被害者じゃないかしら。売女というより、純粋無垢な処女じゃないかしら。


私が妊娠した後から、会話の履歴がある、あの女は一体だあれ?あの、小汚い女のLINEの名前の下に「♡」をつけているのはなぜ?私なんて、売女呼ばわりされているのに、あの女にはハートマークがついているのは、なんでなの?私より、大事な人があなたには居たの?私には、あなた以外いないっていうのに。


何より、あなたってば本当に無責任ね。あなたがいくら私から目を背けても、子供ができた事実は変わらないのよ。あなたが今から本当に私を愛してくれるのならば、私はあなたを許してあげるかも知れないわ。

まあ、許すわけないけど笑。だって、あたしを殴って、捨てたのだから。



犯行


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私は、あなたを絶対に許さない。そういったわよね。あれは本当よ。脅しだと思ったのかしら。私は嘘なんて憑ける性格じゃないじゃない。嘘をつけないし、見抜けないから、あなたに利用されたのよ。だから、これは至極純粋な、偽りのない本当よ。絶対に私は、あなたを殺す。




まずは、あなたの取り巻きの女を殺すわ。あなたってば、学もないし、金もない。そのくせ、顔だけは大層なもんだから、女が集ってくるわよね。それも、私みたいな、純粋な、汚れていない女ばかり。


彼女たちは気づいていないんだわ。私のように、歪んだ女に育て上げられること、金も搾取され、殴られ、挙句に捨てられること。そして、それと同時進行であなたに堕ちていくことを。


私はやさしいのよ。善意によって、できた人間よ。だからね、あの子たちにあなたの汚い本性を気づかせてあげようと思うの。あなたの悪行を。あなたの汚い部分、すべてを。




私はお腹が本当に大きくなったわ。最初は、「大事に育てよう」なんて、意気込んでいたあたしも、あなたのせいで汚い女になったようで、もうおろしたわ。あなたに頼まれなくとも、おろしたわ。ごめんなさい。私の大好きな赤ちゃん。本当は、幸せにしてあげたかった。でもね、私は悪くないのよ。あの、あの一人のクソ男が悪いの。絶対に許さない。絶対に懲らしめる。あいつだけは許さない。だからね、あなたへの幸福として見てて。本当にごめんね。来世では、幸せになってね。私も、来世では幸せな家庭に生まれて、幸せな生活を送るように心がけるわ。私も、彼を殺したら死ぬつもりだからね。だから、天国から見てて、あなたは現実世界に生まれてないから、地獄ってことはないでしょう?現実世界なんて、生まれた時点で地獄そのものなのよ。そのうえ、出会った人によって、生き地獄を形成されていくのよ。あなたは、そんな地獄に生まれなかっただけ、幸せなのかもしれないわね。何より、あのクソ男に育てられたら、生き地獄も甚だしいわよね。




決行


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7月25日、まずは女を殺した。返り血がまぶしかった記憶が鮮明に残っている。「ごめんなさい、ごめんなさい、本当は死にたくなんてないわよね。私も殺したくありませんもの。」そういって、彼女を刺殺した。これは私の脳裏に焼き付いた、本当に私が彼女に向けて言った言葉だ。そりゃあそうだ。本当は、人なんて殺したくない。だって、私は、彼から子供をおろすように言われた時でさえ、罪悪感でその選択を選らばなかった女よ。自己満足で殺すなんてありえないのよ。死ぬ寸前で、彼女はこういった。「ねえ、なんでこんなことをするの」私は声を震えさせながら、彼女にこう言った。「彼が悪いのよ。ごめんね。あなたにも、幸せになってほしいの。このまま彼に搾取されるなんて、本当に不幸せよ。ごめんね。死んで、幸せになって頂戴ね。」彼女は息を止めた。ごめんなさい。ごめんなさい。私も、彼を殺したらすぐに行くからね。待っててね。




7月29日、もう一人の女を殺した。彼はなかなかに女に好かれる性のようで、殺した女以外にも、3人の女を連れていた。しかし、このまま殺し続けていくと、私はただの快楽的殺人犯になってしまうので、生きている女で一番、彼とかかわりが深い、彼女を殺すことに決めた。彼女も、報われない人間だった。私と境遇が似ていた。そこで、愛を求めているうちに、彼に出会い、夜を重ねて、好きになってしまったらしい。私と同じような、バカな女もいたもんだ。すこし、安心した。そして、殺す寸前に同情心さえ現れた。ごめんね。ごめんね。なるべく、彼女は楽に逝ってほしかった。だから、彼女は痛くないようにと、薬で殺した。だって、彼女のような人間が報われないのはおかしいじゃない。だから、せめてもの慈愛で、薬殺した。


私はこのころから、「死は救済」と考えるようになってしまったらしい。毒の効き目というものは強く。彼女はあっさり、死んだ。ごめんね。ごめんね。私もすぐに行くからね。待っててね。




8月15日。


彼を殺した。ここ最近、彼は酷く、死ぬのを恐れていた。そりゃあそうだ。彼女の近しい女性が、毎日死んでいくのだ。怯える彼を毎日見ていた。愉快で、面白くてたまらない。私を地獄に突き付けた人間が。怯えているのだ。つい、笑みがこぼれてしまう。それでも、私は彼を許さなかった。悪意を纏った鋭利な刃物で彼を刺した。少なくとも、九箇所は刺した。憎悪を詰め込んで、彼を刺した。そして、彼の死体にキスをした。これが、彼とのファーストキスだった。今思うと、私はキスなんてまっとうな愛情表現は一度たりともされていない。彼の行う愛情表現は、すべて、暴力と性行為だった。




私は、殺した彼女らとの約束通り、自殺しようとした。そのために、首を吊るロープも持ってきた。しかし、手が震えて、力が入らない。怖い。怖い。怖い。怖い。




私は結局死ねなかった。女二人と、子供一人と、男一人を殺して、死ねなかった。こんなの、快楽的殺人犯となんら変わりないじゃあないか。私は、弱い人間でした。人を殺して、死のうとしていたくせに、死ぬのを恐れて、死ぬことなんてできやしませんでした。弱くて、脆くて、汚い私をどうか許してください。




救済


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私は結局、自首いたしました。いたたまれなくて、自首いたしました。結局、人間を殺したのです。私は、死刑になりました。




死刑は、絞殺に決まったようです。まあいいのです。だって、私はそもそも、人を殺して、首をつって死のうと思っていた人間でございます。私には、こんな死に方がお似合いでしょう。




それから、死刑執行までの8箇月はのうのうと暮らしていまいした。そのころには、「死刑に決まったからには怠けよう。」「よくよく考えれば、死は救済ではないか。」なんて、考えすら持っていました。




救済執行。


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それから八箇月後の4月9日。私は、部屋から引き摺りだされました。死刑。救済の執行のようです。私は泣きじゃくりました。汚い蒲団につかまっては、「死にたくない、死にたくない。」と嘆きました。誰も耳を貸してくれません。そりゃあそうです。私は実情を知らない人からしたら、凶悪犯でございます。いいえ、実情を知っている人ですら凶悪犯と見做すような、汚い人間でございます。




死にたくない。死にたくない。死にたくない。死にたくない。




絞首台に立たされました。今から死ぬと思うと、今にも吐きそうな気持ちにございました。


死ぬ寸前というときに、執行人に「言い残すことはないか。」と、冷徹な声で聞かれました。私は、「彼に、もう一度だけ会いたい。彼に、心の底から愛されたい。」とだけ言いました。その2秒後、救済の執行が行われました。私は、幸せになれたようです。それが、本当の幸せなのかは、分かりませんが。




懺悔


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悪魔だなんて言ってごめんなさい。私の人生において、一番幸せで正しかったのは、あなた。私の赤ちゃんだったのかもしれません。ごめんね、悪魔だなんて言って、本当にごめんね。私が悪いわよね。ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。私は最低な女だ。きっと、来世は罪深き人間として、広大な荒野に放たれる、弱い動物であろう。ああ、来世なんて考えてしまっている。どんない私は強欲なんだ。人を殺して、自分の子供を悪魔なんて言ったくせに。そんな女に来世なんてあるものか。私は最低だ。最悪な人間だ。でも、それでも、そんな私でも、一度ぐらいは、あなたに愛されてみたかった。



ここまで読んでくださり、ありがとうございました。ある程度は面白かったんじゃないでしょうか?まだ私も至らない部分はあると思いますが、こんな駄文を読んでくださり、本当にありがとうございました。私に興味を持ってくれた方は、ついったーをフォローしてください。@SiinaNegi_

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[一言] 人間らしさが凄く前面にでて、読むのがちょっと怖かったです。けど、愛されたいと願う気持ちは私にもわかります。だから膨れ上がったその思いがどんな結末をもたらすのか気になって、最後まで読みました。…
[良い点] おもしろかったです!犯行、決行、救済執行、懺悔、など、パートの区切り方が斬新でいいと思います。 [気になる点] 主人公がら男のことを深く愛していたが、男に殴られることで愛情が憎悪に変わった…
[良い点] とても言葉に力を感じて面白い。 内容が心にスっと入ってくるのはとてもいい点だと思った。 [気になる点] やはり何故か薄く感じてしまう。 感情移入力が難しいというか。 でも短いこの文章にこ…
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