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5 七竜騎ふたたび

「俺が倒す、だと? 人間ごときが俺たち七竜騎を二体同時にして」

「身の程知らずが」


 二体がせせら笑う。

 人間である俺を見下しているのが、ありありと見て取れた。


「――その方が都合がいい」


 一撃入れば、おそらく勝ちだ。

 相手が油断していれば、その一撃を格段に入れやすくなる。


 俺は、剣士としての能力は並以下だからな。


 ……本職は魔術師だし、そもそも戦闘職ですらないし。


 だから――そのまま動くなよ。


「今、決めてやる!」


 俺は奴らに向かって走った。


「馬鹿め!」


 ゴーゼスが槍を繰り出す。


 鋭い攻撃を、俺は避けなかった。

 がきん、と俺の胸元に当たった穂先がへし折れる。


「何……!?」

「こいつ、情報で聞いた以上に――」


 狼狽する二体に、さらに迫り、


「終わりだ!」


 渾身の力で剣を振り下ろす。

 その瞬間、


「ちいっ……【竜鱗壁(スケイルシールド)】!」


 ボルンが叫んだ。

 前方に鱗を重ねたような盾が出現する。


 構わず斬りつけた。

 ――けれど。


「くっ……!?」


 表面が異様に滑り、剣の刃が通らない――。

 俺は剣を手にバックステップし、いったん距離を取った。


 ぱきん。


 同時に、盾が二つに割れる。


「ちっ、今の一撃を防ぐのが精一杯か」


 舌打ちするボルン。


「やはり変化するしかあるまい」

「ちっ、人間ごときにそこまでやるのかよ」

「相手は七竜騎を二体も倒しているんだ。半端なプライドは捨てろ」

「わーったよ」

「『竜体(ドラゴニックフォーム)』!」


 二体が叫んだ。

 同時に、その体が変化する。


 ゴーゼスは長大な翼を備えた翼竜に。

 ボルンは太い四肢を備えた陸竜に。

 以前に戦った七竜騎レドグフは竜の姿になって大幅にパワーアップしたけど――。


「お前たちもその類か……」


 俺は表情を引き締めた。


「けど、何に変化しても同じだ」


 強化+20000の『燐光竜帝剣(レファイド)』なら、光竜王の側近といえども一撃で倒せるだろう。


「ふん、その剣の威力は報告を受けている。だが――しょせん、一撃で攻撃できるのは一か所だ」


 ゴーゼスが翼を羽ばたかせた。

 空を飛ぶ――ためではない。


 両翼から無数の羽根が舞い、その一枚一枚が身長五十センチくらいの小さな竜へと変化する。


「分身……!?」


 ちっ、俺一人では、すぐに全部倒すのは厳しい。


 衝撃波を撃てば、広範囲に攻撃して全滅させられるだろう。

 けど、ここでそれをやれば大勢の人が巻き添えになる。


 地道に一体一体倒すしかないんだけど――。


「【ファイアボム】!」


 横合いから飛んできた火球が、ミニ竜を一体爆破した。


「えっ……?」


 驚いて振り返る。


「よう。なんとか間に合ったぜ」


 そこには筋骨隆々とした中年魔法使い――バーナードさんが立っていた。

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