5 七竜騎
「俺は七竜騎ライエル」
きらびやかな鎧をまとった青年騎士が名乗った。
「同じく七竜騎。レドグフだ」
こちらは完全な人間の姿じゃなく、竜の頭と人の体を持った竜人形態だった。
「ガージェスを倒したのはお前か」
ライエルが剣を抜く。
「ああ」
俺は『燐光竜帝剣』を構えた。
リリィとマルチナもそれぞれの剣を構えている。
マーガレットとミラベルがその後ろに並ぶ。
七竜騎――か。
光竜王の側近、ということは、光竜王に次ぐ強さがあるということだろうか。
と、
「移動スキル――【アクセルⅣ】!」
ライエルが突進してきた。
速い!
気づいたときには、俺の目の前にいる。
「反応が鈍いな。ガージェスを倒したにしては、まるで素人のような鈍さだ。何かの誘いか……?」
いや、本当に素人なだけなんだ……。
心の中でツッコむ俺。
「まあ、いい。あとは頼むぞ、レドグフ!」
ライエルが俺の背後に回り、羽交い絞めにした。
そのまま、ふたたび超スピードで移動を始める。
リリィたちを置き去りにして――。
「ガージェスとの戦いの記録を見た。お前さえ引き離せば、残りは雑魚だ!」
ライエルが勝ち誇ったように叫んだ。
ちいっ、狙いは俺とリリィたちを別れさせることか!
「このっ……」
剣さえ使えれば、おそらく一撃でこいつを倒せるだろう。
だけど両腕をガッチリつかまれて、剣を触れない――。
俺は防御力を強化した衣服に加えて加護アイテムを複数持っているから、ダメージを負うことはまずないと思う。
けど、俺の腕力自体は人並みだ。
こうして腕をつかまれた状態だと攻撃に移れない。
「――今まで、こういう展開になったことはなかったな」
改善点ってやつだ。
今後の戦いでは、対策を考えないとな……。
※
SIDE リリィ
「レイン様――」
リリィは遠ざかっていくレインと竜族を見据えた。
このパーティの戦力の要は、間違いなくレインだ。
彼自身は素人でも、彼の持つ武器や防具はまさしく超絶の威力を誇る。
たとえ七竜騎といえど、まともに食らわせれば一撃で倒せるだろう。
だが、その最大戦力は今、遠くに引き離されてしまった――。
「こいつは――あたしたちだけで戦うしかなさそうですね」
リリィはキッとした顔で愛用の剣『紅鳳の剣』を構えた。







