3 三本の剣について
『フレイムアーマードオーガ』の群れを突破した俺たちは、さらに遺跡内を進んだ。
「なるほど、剣の特殊効果ごとの強化……そんなことができたんですね」
俺が周囲に被害を出さずにモンスターだけを倒せた理由――それを聞いて、リリィは感心したような顔をした。
「ああ、今までは特に考えずに強化していたんだけど、アルベルトさんにそれぞれの剣の特殊効果を詳しく教えてもらったから、あらためて設定しなおしたんだ」
ちなみにアルベルトさんに鑑定してもらった、三本の伝説級の剣の特殊効果は――。
『燐光竜帝剣』
【衝撃波】
【斬撃上昇】
【物質切断上昇】
【魔力切断上昇】
【自己修復】
『紅鳳の剣』
【魔力刃】
【自己修復】
『蒼天牙』
【物質切断上昇】
【攻撃吸収(非物理)】
【自己修復】
となっている。
リリィの剣については、二つの特殊効果にそれぞれ+150ずつ割り振ってある。
マルチナの剣についても、彼女の意見を聞き、三つの効果に均等に+100ずつを割り振った。
「付与魔術……便利」
ミラベルがぽつりとつぶやいた。
「ん?」
「不法侵入とか暗殺とか色んなことにもっと活用できそう」
「そういう方面には使わないからな」
「そこをなんとか」
「だめだ」
「無念……」
ミラベルはため息をついた。
「っていうか、そいつ暗殺者なのかよ。なんで、俺たちのパーティに入ってるんだ?」
マーガレットが眉を寄せた。
「君だってA級なのにパーティに入ってる」
「俺はリリィ先輩のお供だ」
「でもA級止まり」
「と、止まりっていうな! 世間ではA級でもすごいことなんだぞ!」
「リリィはS級。相棒にはS級がふさわしい」
「ぐぬぬぬぬ」
「まあまあ」
俺は二人の間に割って入った。
「マーガレットの腕は確かだし、リリィとも何度も一緒に戦ったことがあるって話だ。だから仲間に加わってもらった。この中で唯一の魔法剣士でもあるし、活躍してもらう局面はきっとくる」
「レイン……」
マーガレットが驚いたように俺を見る。
「フォローしてくれてる……あんた、いい奴だったんだな」
今まで俺のことをどう思ってたんだ。
「リリィ先輩をたぶらかす悪い虫かと思っていたぜ……悪かった」
「いや、別に――」
「た、たぶらかすなんて、もうっ。何を言ってるのよ、マーガレットは!」
リリィが頬をピンク色に染めて叫んだ。
「ほう、こんなところまで人間どもが来ているのか――」
ふいに、声が響いた。
前方に二つの人影が見える。
だけど――、
「人間……ではないようですね」
リリィが剣を抜く。
「いかにも。我らは光竜王様の腹心」
「七竜騎である。貴様ら、ここから先は通さんぞ」
光竜王の腹心――。
なかなか厄介そうな奴らが出てきたぞ。







