表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/217

6 仲間の装備を強化する

 俺はバーナードさんとともに森の中を進んでいた。


 この先にドラゴンが住みついているらしい。

 この周辺は耕作地帯で、ドラゴンによってかなり被害が出ているんだとか。

 農作物だけでなく、家畜や人にまで被害は及んでいる。


 そのドラゴンを退治するのが今回の依頼だ。


「お前、ここに来る前は『王獣の牙』にいたんだって?」

「はい。付与魔術師なので、主に武器や防具を強化する役割でした」


 主にっていうか、振り返るとそれしかやってないな……。


「強化か……なら、俺の杖も強化できたりするのか?」

「そうですね。バーナードさんは魔法使いだから、杖の持つ効果を強化することならできます」


 魔法の杖は、その名の通り魔法使いが呪文を使う際に補助的な役割をするものだ。

 杖自体が一種の魔法のアイテムであり、『魔力上昇』や『詠唱短縮』など特定の効果を得られるものが多い。


「俺の杖の効果は『魔法の攻撃力上昇』だけだな。オーソドックスなやつだ」

「その効果を強化することはできます。ただ、その杖に存在しない効果──たとえば『魔力上昇』とか『詠唱短縮』とか──を新たに付与したり強化したり、ということはできません」

「もともと存在する効果をアップさせることしかできない、ってわけか」

「ですね」


 うなずく俺。


「あ、いちおう杖は打撃武器でもあるので『直接攻撃力の強化』もできますよ」

「俺は魔法使いだからな。肉弾戦の方はそこまで重視してない」

「肉弾戦の方が強そうに見えますが……」

「がはは、よく言われるよ」


 笑うバーナードさん。


 気のよさそうな笑顔に、俺もつられて笑った。


「あの、俺がバーナードさんの杖を強化しましょうか?」

「ん、いいのか?」

「俺はもう『青の水晶』の一員ですから。仲間の武器や防具を強化するのは、俺の役目です」

「じゃあ、頼む」


 バーナードさんが杖を差し出す。


 どれくらい『強化ポイント』を注ごうか。


 俺自身の剣にも攻撃力を残しておきたい。

 ただ、バーナードさんはギルドのエースみたいだから、やはり相応に強い武器を持ってもらう方が、ギルドにとってもプラスだろう。


「とりあえず剣の半分のポイントを入れるか……」


 現在、銅の剣には『10000』の強化ポイントが入っている。

 その半分──『5000』ポイントを魔法の杖に移した。


 ……いや、移そうとした。


『移動可能なポイントの上限を超えています。数値を設定し直してください』


 声が聞こえる。

 こいつは付与魔術を使う際に流れる声だ。


「上限を超える? でも銅の剣には『10000』ポイント付与できたんだぞ?」


『術者以外が使用する武器防具に関しては、付与可能なポイント上限は300となります』


「えっ、そうなの?」


『現在の上限値は術者の装備は30000、その他の者の装備は300となります』


 じゃあ、『+10000』なんて武器を使えるのは俺だけなのか……。

 といっても、『+300』でも十分強力だけどな。


「じゃあ、銅の剣から魔法の杖に『300』の強化ポイントを移動するよ。あと、俺の服からバーナードさんのローブに『300』移しておいてくれ」


『移動完了』

『魔法使いバーナード・ゾラの装備が「魔法の杖+300」「魔法使いのローブ+300」になりました』

『それに合わせ、術者であるレイン・ガーランドの装備が「銅の剣+9700」「布の服+2733」になりました』


 俺の装備は少し強化ポイントが減ったけど、これくらいなら問題ない。


 それにドラゴンを倒せば、その魔力の一部を新たな『強化ポイント』として吸収できる。

 そのポイントを使えば、俺の武器や防具はもっと強くなるはずだ──。


「ありがとう、レイン。この杖……やたらと力を感じるぞ。それに俺のローブも防御力を上げてくれたのか」

「はい。ドラゴン戦を前に装備はすべて強化しておこうと」

「頼もしいな」


 バーナードさんが目を細める。


「お前がギルドに来てくれて嬉しいよ。引き続き、よろしく頼む」


 俺の能力を評価し、必要としてくれている。

 その言葉は純粋に嬉しかった。


 ギルドを追い出されたときの悔しさや失望感が、喜びによって薄れ、上書きされていく感じだ。


「こちらこそ!」


 俺は笑みを返した。

 と、そのとき──、


 るおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおんっ!


 雄たけびとともに、すさまじい地響きが聞こえた。


「ドラゴンか……!」

次はドラゴン相手の無双ターン、その次が追放者サイドです。ざまぁはちょっとずつ進行します……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼なろう版『死亡ルート確定の悪役貴族』はこちら!▼



▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。






▼書籍版2巻、発売中です!▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

コミック最新16巻、8/7発売です!

4e8v76xz7t98dtiqiv43f6bt88d2_9ku_a7_ei_11hs.jpg
― 新着の感想 ―
[気になる点] 初クエスト竜討伐で一緒に行くのはリリィじゃないんですねー。 マンガではリリィは青の水晶所属、2ヶ月前に人生初の失敗でヘタレになっちゃったけど、Sランク冒険者だから、同行する展開でしたよ…
[気になる点] MP回復すると100新規付与できるのではなかったでしょうか。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ