7 共鳴
4章ラストです!
「大丈夫。私は殺人が好きなわけじゃない。依頼がなければやらない」
「もう暗殺者じゃない、って言うなら、依頼があってもやらないでくれ」
俺はミラベルに念押しした。
「もし私が暗殺稼業を再開したら、レインは私を殺す?」
「えっ」
「それなら、やらない。自分の身が一番大事だもの人間だもの」
「お気に入りなのか、そのフレーズ……」
まあ、彼女が暗殺稼業をやめてくれるなら、それでいいか。
このギルドに現役の暗殺者が所属している、というのは、さすがにまずいからな。
「ああ、暗殺と言えば──」
ブリジットさんが思い出したように言った。
「確か『王獣の牙』のギルドマスターが捕まったらしいね」
「っ……!?」
俺は思わず息を呑んだ。
それはつまり、ミラベルの証言によるものだろう。
「『王獣の牙』自体もかなり大変みたいだね。ギルド所属の冒険者が次々にやめてるとか」
「ああ、この間、副ギルドマスターたちに会って、話は聞いたよ。すでにギルドランク降格は確定的で、この先はもっと所属冒険者も減るだろう、って言っていた」
まさに負の連鎖。
今のままだと、遠からず『王獣の牙』は中堅──いや、弱小といえるレベルまで落ちていくかもしれない。
正直、複雑な気持ちもある。
あいつらは無報酬で俺に強化を散々やらせた上に、いざ十分と見れば、俺をあっさりとクビにした。
利用するだけして、後はポイ──という感じだった。
だから、俺は奴らの武器防具の強化を解除した。
それが遠因でギルドの没落を招いたのだとしても、それは彼ら自身が負うべきものだ。
後悔は、ない。
ただ、ずっと過ごしてきた古巣だから、やっぱり愛着が完全に消えるわけじゃない。
「少し……寂しいな」
俺はぽつりとつぶやいた。
ヴ……ン!
それは、唐突に起こった。
「な、なんだ……!?」
俺の腰に下げた剣が──光っている。
伝説級の剣、『燐光竜帝剣』。
その刀身が、柄が、まばゆい輝きを放っている──。
※
ヴ……ン!
S級冒険者、『炎の聖騎士』リリィは、唐突な現象に戸惑っていた。
彼女の持つ伝説級の剣『紅鳳の剣』が、突然まばゆい輝きを放ったのだ。
「これは、一体……?」
「リリィ先輩?」
たずねたのは、彼女の後輩冒険者であるマーガレットだ。
「剣が、熱い──こんなの初めてよ……」
何かに反応しているのか。
あるいは何かに、
「共鳴、している……?」
次回から第5章になります。ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました!
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