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3 続々とスカウトされる

 数日後、俺に訪問者があった。


「私は『覇王竜の翼』のギルドマスターです。レイン殿にお話があって参りました」


『青の水晶』にやって来たのは、先日『光竜の遺跡』に挑む際に立ち寄った、ギルドの長だ。

『覇王竜の翼』は、大陸最強の五つの冒険者ギルド『ビッグ5』の一つ。


 そこのマスターが、俺に何の用だろう?


「ああ、この間の……ご無沙汰しています」


 俺はマスターに一礼した。


「実は君に話がありまして」

「話って……私にですか?」


 たずねる俺。


 この間は、俺のことはD級冒険者としてリリィのおまけみたいに見られていたんだけど……。

 マスターはうなずき、


「ここでは少し……場所を移しませんか」




 俺はギルドの応接間を借り、マスターと話していた。


「君を我が『覇王竜の翼』の所属冒険者としてスカウトしたいのです」


 マスターは単刀直入にそう言った。


「私が……『覇王竜の翼』の冒険者に?」

「ええ。他にもスカウトは来ていると思いますが……」

「いえ。初めてです」

「そうですか!」


 たちまちマスターの顔がパッと輝いた。


「では、どうでしょうか? 専属契約ということで他の冒険者とは一線を画する報酬は考えています。各種手当も最高レベルの金額で――」

「うーん……正直、私は」


 俺は首を左右に振り、


「貴ギルドに誘われたことは、すごく光栄です。素直に嬉しいです。ただ、私は報酬額やギルドの規模よりも、この『青の水晶』が気に入っています。当面はここでがんばりたいし、私の力でこのギルドの躍進に少しでも貢献できれば、それで十分なんです」


 もともと、前のギルドを追放されたときに、これからは気ままに生きたいと思っていた。

 だから、俺はとりあえず今のままでいい。


「――意思は固いようですね。残念ですが、承知いたしました」

「遠方からご足労いただいたのに申し訳ありません」


 俺は深々と頭を下げた。


「いえ、私の方こそ突然押しかけ、無礼なお誘いをしてしまいました。本当に申し訳ない」


 マスターも深々と頭を下げる。


「それと、一つお詫びをさせていただきたい。先日、君が聖騎士リリィと訪ねてきたときに、私は君のことをD級冒険者として心の中で軽んじていました。肩書きや階級だけで、その中身を見ることを怠っていた……非常に恥ずかしく思っています」

「い、いえ、そんな……」

「君が我がギルドに来ていただけないのは残念です。いつか気が向いたらぜひ……それでは君のこれからの活躍を心から願っていますよ」


 マスターはそう言って、去っていった。


 俺はしばらくボーっとしていた。

 大陸最強の『ビッグ5』の一つから俺が誘われるなんて。


 なんだか夢みたいな話だ。

 ほんの数週間前なら、絶対に考えられなかった。


 だが、驚きのスカウトはまだ終わらない。

 その数時間後――、


「レイン・ガーランド殿、あなたを我が国に勇者として招待したい」

「ゆ、勇者……」

「できれば、我が国の所属になっていただきたく」


 大陸最強ギルドの次は、国からスカウトの使者が来たらしい。


 一体、今日はどうなってるんだ――。

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