表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/217

2 いつのまにか付与魔術がチート級に成長していた

「これで、付与していた『強化ポイント』は全部俺の元に戻ってきたわけだ」


 俺は小さくため息をついた。


 この強化ポイントというのは、俺が魔力を錬成して生み出す力である。

 俺の魔力量が多ければ多いほど、『強化ポイント』として注ぎこめる量も増える。


 といっても、俺自身の魔力量は人並み程度。


 だから、毎日武器に『強化ポイント』を込めては、自然回復を待ってまた継ぎ足したり、モンスターなどを倒して得られる魔力を『強化ポイント』に変換して、武器や防具に込めたり……とにかく地道な作業を繰り返してきた。

 それを七年。


「俺の手持ち『強化ポイント』を表示」


 呪言をつぶやいた。


 ヴ……ン。


 空中に大きな数字が描かれる。


『13033』


 そう描かれていた。


「一万を超えてたのか……随分とがんばったもんだ」


 我ながら感心する。


 ただ『強化ポイント』はこのまま宙ぶらりんにしておくことはできない。

 放っておくと周囲に魔力エネルギーを発散して量が減っていく。


 つまりは『強化ポイント』は物体に込めておかないと、時間とともに目減りするのだ。


「とりあえず──手持ちの剣と服に込めておくか。いずれ必要なときに移し替えればいいし」


 俺は腰の剣を抜いた。


 安物の銅剣だけど、とりあえず強化ポイントの『一時保管先』として使うだけだから、まあいいだろう。


 ただし強化ポイントは一つの物体につき、最高で+100までしか付けられない。

 残りの大量のポイントは別の物体に付けなければならない。


「100ずつ付けていったとして、必要な武器防具とかのアイテムは……131個か。うーん……」


 そんなに大量のアイテムは持っていない。

「まず手持ちの剣に付けるか。他に服とかにも付けていって、余ったポイントをどうするかは後で考えよう」


『強化ポイント』のうち『100』を剣に付与──。


 念じたところで、数値の設定を間違えてしまった。

 桁を、二つほど。


「あっ……」


 結果、剣に付与される『強化ポイント』が『100』じゃなく『10000』になってしまう!




『銅の剣+10000』





 そう表示された。


「──って、強化ポイントは『100』を超えても付与できるのか!? 前に試したときはできなかったぞ……?」


 ……いや、待てよ。


 前に試したのは、もう何年も前だ。

 それ以来、無理なんだと決めつけて同じことを試していない。


「俺の付与術師としての能力がレベルアップしていた……とか? だから『10000』の『強化ポイント』を一気に付与できたのか?」


 他のものでも試してみよう。


 残りの『強化ポイント』を俺の服に付与──。




『布の服+3033』




「本当にできた!? とんでもない武器と防具になっちゃったな、これ……」


 たぶん剣の方は伝説級の武器と同等か、それ以上かもしれない。

 服の方も並の鎧をはるかに上回る防御力である。


「これなら無敵だな……俺一人で冒険者をやっても稼ぎ放題だ」


 適当にソロ活動するだけで、食っていけるだろう。


「よし生活費の心配は必要なさそうだな。後は──どうしよう?」


 今までは、ほとんど休暇もなしで仕事に打ちこんできた。


 その仕事がいきなりなくなると──ちょっと途方に暮れてしまう。


「ずっと働いてきたんだ。少し長めの休暇気分で自由に過ごしてみるか」


 そう考えたとたん、気持ちが一気に楽になった。


「まずは近くの冒険者ギルドで冒険者登録して、小金を稼いでおこう。その後は当面、自由に暮らすぞ!」


 俺は意気揚々と町に向かって歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼なろう版『死亡ルート確定の悪役貴族』はこちら!▼



▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。






▼書籍版2巻、発売中です!▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

コミック最新16巻、8/7発売です!

4e8v76xz7t98dtiqiv43f6bt88d2_9ku_a7_ei_11hs.jpg
― 新着の感想 ―
[一言] ポイントが貯めておけないマイナス設定いい。 何事もご都合主義だと萎えちゃう。 しかし付与ポイント+10000はちょっとやり過ぎな気が…。 見た目どこにでもある銅剣が伝説級と同等というのは少し…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ