9 旅で得たもの
「や、やった……!」
今までのスキルよりも格段に威力と速度が上がっていた。
レインの【虹帝斬竜閃】のイメージがあったからこそ、同種のこの技を会得することができたのだろう。
スキルとは、使い手の力や技だけではない。
それを具現化するためのイメージと集中力がカギとなる――。
そのカギを与えてくれたのは、間違いなくレインの存在だ。
(……ありがとうございます、レイン様)
「うおおーっ、さすが先輩だぜ!」
「やったね、リリィ!」
マーガレットとマルチナが左右からリリィに抱き着いた。
「ええ、やりました」
少し照れながら答えるリリィ。
……いやレインだけではない。
マルチナとマーガレットのサポートも大きかった。
今までの旅で得た連携が、勝負の決め手だった。
「二人とも、ありがとう」
「えっ!? や、やだなぁ、正面から礼を言われるとちょっと照れる……ふにゃあ」
マーガレットが顔を赤くしていた。
「いいチームワークだったよね。うん、あたし分かっちゃった。これが勝利の鍵!」
マルチナも嬉しそうだ。
と、そのときだった。
りいいいいい……ぃぃぃぃんっ……!
「これは――!?」
リリィとマルチナの剣が共鳴している。
いや、共鳴しているのは、この二本だけではなく――。
「もしかして、近くに『燐光竜帝剣』が……?」
つまりは、レインが。
この近くまで来ている――?
思った以上に、近くまで。
※
突然――。
どくんっ……!
俺の持つ『燐光竜帝剣』が力強く脈動した。
「なんだ……?」
剣が、何かに反応している。
いや、
りいいいいいいいんっ。
共鳴、している。
これはもしかして――。
「他の伝説級の剣と呼応している……?」
だとすれば、『紅鳳の剣』や『蒼天牙』がこの近くにあるということか。
つまり――リリィやマルチナがこの場に来ている――!?