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11 少女たちが向かう先は


 SIDE リリィ


 ――同時刻。


「あの光は――」


 リリィが空を見上げる。

 腰に下げた剣が反応していた。


「あたしの剣も、だね」


 と、剣を抜くマルチナ。


 リリィは彼女とともに剣を空に向かって掲げた。

 伝説級の剣が、それぞれ共鳴している。


「あたし、分かっちゃった。この先にきっとレインくんやヴィクターさんがいる。みんなの剣が共鳴しているんだと思う」

「……ですね」


 うなずくリリィ。


 空に閃いた光は竜のような形になり、突き進んでいく。

 やがて山間のとある場所に落ち、轟音が鳴った。


 落雷とは、違う。


「もしかして、あれって……」

「レインくんたちが目指す場所――そんな気がする」


 リリィとマルチナがうなずき合った。


「あたし、行ってみます」


 告げるリリィ。


「本当にいいの?」


 マルチナがたずねた。

 最後の確認をするように。


「たぶん――ものすごく危険だよ。おそらく、そこにいるのはレインくんと同じようなチート級のスキルの持ち主たち。光竜王戦で戦った、あのディータやシリルみたいな、ね」

「それでも――いえ、だからこそ行きます。あたしは、レイン様の力になりたい。気持ちは変わりません」


 リリィの決意は固かった。


「先輩が行くなら、俺も行く。最初から決めてたことだ」


 マーガレットが名乗りを上げる。


「先輩があいつの力になりたいのと同じように――俺も、先輩の力になりたいからな」

「マーガレット……?」


 リリィが驚きの表情を浮かべる。


「危険だって聞いてたでしょう? なのに、あなたは――」

「今言っただろ、先輩の力になりたいって。俺はA級冒険者なんだ。ちょっとは頼ってくれよ」

「……ありがとう」


 リリィはマーガレットを抱きしめた。


「一緒に頑張ろうね」

「う、うわわっ、そんなふうにされると照れるっていうか嬉しいっていうかもっと抱きしめてっていうか……ふにゃぁぁ……」


 いきなりマーガレットの声が蕩け切った。


「デレデレだねー、もう」


 マルチナが苦笑した。


「あたしも行くし、全員でレインくんの力になりましょ?」


 こうして少女たちもまた『星の心臓』へと向かう――。


    ※


 SIDE ゴルドレッド



 ――さらに同時刻。


 オーロラに包まれた空の先に、輝く竜のような光が走る。


「あの光は――伝説級の剣同士が共鳴した光だ」


 ゴルドレッドがつぶやく。


「『道』が示されたか」


 ゆっくりと立ち上がった。

 他の『天の遺産』使いたちも、また。


「ここから先は一番乗りを目指した戦いになる」


 宣言する。


「恨みっこなしだぞ、諸君」




 そして……『天の遺産』を持つ者たちと、彼らに(えにし)を持つ者たちの戦いが始まる。


 この世界の根幹にかかわる戦いが――始まる。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 伝説級の剣が星の記憶への道に関わってるってみんな知ってたの!? それでなんで天の遺産持ちの連中は伝説の剣を奪いに来なかったんだ…。 光竜王復活をフォローしてる場合ではなかったのでは。 …
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