10 『星の心臓』へ
――それから俺たちは出発の準備をした。
「じゃあ、そろそろお別れか」
「次はちゃんと敵同士として戦うからな」
ジグが俺をにらんだ。
「戦友じゃないからな」
「いいじゃないか、戦友で」
「だめだ」
「……けち」
「『星の心臓』に関しては譲れないが……まあ、助けてくれた礼だけは言っておく」
去り際にぽつりとつぶやくジグ。
その頬がかすかに赤い。
「あ、その態度が」
「ツンデレじゃない!」
俺の言葉を先読みして、ジグが叫んだ。
こうして――俺たちは別々に歩き出した。
ジグは俺に対して、そして他の仲間に対してさえ『星の心臓』を巡る敵同士だと評した。
でも、俺は――。
『星の心臓』を目指しているのは、助けを求められたからだ。世界の危機だと感じたからだ。
別に強大な力を求めているわけじゃない。
ジグたちと争う理由なんてない。
あの異空間内でのひと時は――変な話だけど、ちょっと楽しかった部分もあったんだ。
なんだか憎めないキャラをしていたからな、ジグたちは。
だから――もし戦わずに済むなら、それが一番だ。
戦いたくなんて、ないんだ。
だから、
「戦わずに済む道を……見つけたいな」
俺はぽつりとつぶやいた。
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