11 あふれる力
俺とフローラの間に光があふれ出す。
オーロラを思わせる虹色の輝き。
「な、なんだ、これ……!?」
「まさか、これは――」
戸惑う俺に、フローラがうめいた。
「私の『防壁』があなたの付与魔術に干渉している……!?」
「二種の『天の遺産』が影響を及ぼし合っている……!? こんなの見たことない――」
「なんか、まずい予感がするぞ……!」
ジグとリサもうめく。
言われるまでもなく、嫌な予感がひしひしと伝わってくる。
これは、まるで――『力』の暴走だ。
「う、うわぁぁぁぁぁぁっ……!?」
そして俺の目の前が暗転し――。
俺は見知らぬ空間にたたずんでいた。
暗い空。
どこまでも続くクリスタルのような美しい氷原。
――君たちはいずれ至るだろう、この場所に。
――君たちの、誰か一人が。
声が響く。
この声は、前にも聞いたことがある。
――この星の中心部……すなわち『星の心臓』へと。
「星の、中心部――?」
俺はおうむ返しにつぶやいた。
じゃあ『星の心臓』とは、本当にそのままの意味で――。
「この世界の、心臓部ってことか……?」
ひゅー……んっ……どしんっ。
そのとき、上から何かが降ってきて俺は押し倒された。
「ん、ぐぐぐ……!?」
柔らかなものが俺の顔を塞いでいる。
「ひ、ひあぁぁぁ……!?」
「えっ、リサ……?」
彼女の声だ。
さらに、
どしんっっ。
衝突二回目。
リサらしき人物を押しのけるようにして、ふたたび柔らかなものが俺の顔を覆った。
「んむむむむ……」
「あ、ごめんなさい……」
今度はフローラの声。
っていうか、二連続で顔にかぶさった柔らかな感触って、もしかして二人の――。
どしんっっっ。
衝突三回目。
最後は顔の上ではなく胸の辺りに誰かが着地した。
「なんだ、ここは……?」
ジグの声である。
「ちょっと照らしてみますね」
フローラが魔法の灯らしき道具を使った。
周囲に光があふれる。
予想通り、リサ、フローラ、ジグの三人がここにいた。
「お前たち――」
「なぜか吸い寄せられた」
ジグが言った。
「どこなんだ、ここは?」
言われて周囲を見回す。
そういえば――。
「どこだろう、ここ?」
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