8 連係3
「これでジグの『停止』は封じた」
俺は残る二人の敵を見つめた。
『魔弾』のリサと『防壁』のフローラ。
いずれも厄介な敵だ。
ただ、ジグを封じたおかげで、俺は『付与』を通常通りに使うことができる。
「さあ、仕切り直しだ――」
「ジグを無力化したくらいでいい気にならないことだぞ」
リサが勝気に鼻を鳴らす。
「あたしは――だれにも止められない。さあ『弾け散れ』!」
リサが光弾を放った。
「さっきと台詞が違う……!?」
『貫け』という台詞が貫通弾だったことを考えると、今度はおそらく炸裂弾ってところか――。
俺は懐から一つのアイテムを取り出した。
「『吸引の壺』!」
名前の通り、突風や衝撃波のたぐいを吸い取る能力があるマジックアイテムだ。
あまり大規模なものは吸いこめないのだが、当然『強化ポイント』を注いで桁違いの性能にパワーアップしてある。
「あれだけの爆風を全部吸い取った……!?」
リサが驚きの声を上げる。
「……さすがに『付与』の力が復活すると違いますわね」
つぶやくフローラ。
よし、ジグを封じたおかげで俺は今まで通りの力を振るえる。
これなら二人が相手でも渡り合えそうだ。
「バーナードさん!」
「おうよ!」
俺の合図に応え、攻撃魔法を放つバーナードさん。
「『防壁』」
フローラが衝撃を生み出して、それを防ぐ。
その隙に、
「ラス、ミラベル!」
剣士と暗殺者が左右から迫った。
「……くっ」
フローラは二人まとめて相手にしているが、さすがに楽々とあしらう――というわけにはいかないらしい。
しかもバーナードさんの牽制もある。
さすがのフローラもじりじりと後退していった。
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