7 連係2
俺が強化ポイントを回収したことで、その剣は『強化されていない』ただの剣になった。
そして、ただの剣なら、ジグには『停止』できない。
これは賭けだった。
奴の『停止』の範囲がどこまでなのか。
どこに効果が発生するのか。
なんでもかんでも止められるなら、今みたいな小細工をしても無駄だ。
だけど、奴の『停止』が、『俺が「付与」で強化した物体』のみに作用するなら――。
「こ、こいつ――」
たぶん、ジグは自分の能力で俺の剣を止められると思っていたんだろう。
思いこんで――いたんだろう。
その分、反応が遅れる。
「ちいっ……」
それでも奴は俺の斬撃を避けてみせた。
いい動きをしている。
ただし、
「う、動けない……!?」
ジグの動きが突然止まった。
その両手両足にロープが巻き付いている。
俺が斬撃の直後に放り投げたマジックアイテムである。
効果は――対象の両手両足に巻き付き、その動きを止めること。
ただ、それだけの低級アイテム。
「どうした、そいつは俺の『付与』がかかっていない。ただのアイテムだ」
斬撃はあくまでもフェイント。
本命はこっちの――もう一つの捕獲アイテムだったのだ。
「こ、こんなもの……っ」
「そして、これが仕上げの――」
俺は捕縛用のアイテムを投げつけた。
こっちにはちゃんと『強化ポイント』を込めてある。
ジグの『停止』が発動するより早く――、
「し、しまっ……」
俺のアイテムが奴を捕獲した。
「今度こそ、完全に動けないよな? その状態でも『停止』を発動できるか?」
さっきのジグの動きを見て気づいたんだ。
奴は『停止』を発動する際、両手を動かさなきゃいけない。
なら、その動きを封じてしまえば――『停止』を使うことはできないんじゃないか、って。
「ぐっ、ぐぐぐぐ……」
ジグは悔しげな顔をしていた。
その表情が答えを表していた。
「これでジグの『停止』は封じた――」
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