6 連係1
あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします!
重要なのは連係と、攻撃の順番だ。
俺は頭の中で作戦を整理する。
「――よし、いけるぞ」
少なくとも脳内のシミュレーションでは十分な勝算を確認できた。
「みんな、俺の指示通りに動いてもらっていいか?」
「お前が『勝算あり』と踏んだなら信じる」
バーナードさんが真っ先にうなずいてくれた。
「もちろんですよ、レインさん」
「了解よ」
続いてラスとローザがうなずき、
「失敗したら罰金」
ミラベルが最後に言った。
「お、おう……」
なんとも彼女らしい答えである。
ともあれ――作戦開始だ。
「まずラスとミラベルはフローラ担当だ。接近戦で彼女をひきつけてくれ。ただし深入りは避けること」
「了解です!」
「罰金……じゃなかった、りょーかい」
ラスとミラベルがフローラに向かっていく。
「バーナードさんは魔法で援護を。ローザは後方待機で、誰かが危なくなったらフォローに入ってくれ」
「分かった」
「おーけー」
で、俺は――。
ジグに向き直った。
「なんだ? 君の『付与』じゃ僕には勝てない、とまだ学習してないのか」
「勝てるさ」
「理解力がないやつだな――『止まれ』」
ジグが右手を突き出す。
俺の動き自体を『停止』させようというのか?
「だったら――これで!」
俺は強化したナイフを次々に投げつけた。
一本は『停止』によって強化を剥がされるが、残りはジグに向かっていく。
「こんなもの!」
ジグはさらに右手を動かし、次々と強化を剥がしていった。
その間も、俺は彼の動きを注視している。
「やっぱり、思った通りか……!」
よし、確認完了だ。
「気に入らないな。まだ僕に勝てると思ってるのか……」
ジグが俺をにらむ。
「『星の心臓』にたどり着くのは、この僕だ」
「俺は『星の心臓』っていう場所に行きたいわけじゃない。ただお前たちが襲ってくるなら――降りかかる火の粉は払う。理不尽に打ちのめされるのを黙って受け入れるほど、腑抜けでもお人好しでもない」
そう、かつてギルドから追放されたとき、俺は呆然と立ち尽くすだけだった。
悲しみに暮れるだけだった。
けど、今は違う。
「俺を救い出してくれたこの力で――今度は俺自身と仲間を救ってみせる」
俺は懐から一本の剣を抜いた。
「ふん、やれるものなら――」
「やれるさ」
剣に強化ポイントを付与し、斬りかかる俺。
「ふん、強化した剣を使っても無駄なことが分からないのか」
ジグが嘲笑する。
「ああ、無駄だろうな」
俺は剣に付与した強化ポイントを、奴が『停止』する寸前に回収した。
「えっ……?」
驚いたようなジグを見つめ、俺は――。
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