表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

146/220

5 『青の水晶』の冒険者たち

「このぉっ!」


 ラスが斬撃を繰り出す。


 スピードが乗った鋭い斬撃だった。

 さすがは将来の有望株にして剣術の天才少年だ。


 がきん。


 その斬撃が、女の前方で止まった。


「えっ……!?」


 ラスが戸惑いの声を上げる。

 まるで見えない壁にでもぶつかったように、ラスの剣は空中で止まったまま。


「あたくしは『防壁』のフローラと申します。その防御は鉄壁――」


 淡々と告げる女。


「いかなる攻撃も通しません」

「ちいっ!」


 ラスはさらに二撃、三撃と繰り出す。

 だが、透明な壁に跳ね返されてまったく通らない。


「では、次はあたくしから」


 ふたたびフローラが剣を繰り出した。


 ざんっ!


 すさまじい斬撃がラスの鎧の胸元を斬り裂く。


「くっ……!」


 慌てて跳び下がるラス。


「あ、あぶねー……」


 攻撃の寸前でわずかに体をのけぞらせたおかげで、鎧を切られただけで済んだようだ。

 鋼鉄の鎧は紙のように斬り裂かれていたが、ラス自身は薄皮一枚斬られただけで助かったみたいだった。


「防御と違って、攻撃にはなんの能力も使っておりませんよ。あたくしの剣は、あくまでもあたくし自身の実力です」


 フローラがニコリともせずに告げる。


 やはり、この女の剣技は素の戦闘能力によるものか。


「だから、今のは『天の遺産』ではない、ただの斬撃――ただし、その威力は大陸で五指に入る、と自負しておりますが」


 そして防御面では『天の遺産』の力がある。


 攻守両面において強大な女剣士――。

 こいつは強敵だ。


「たとえあなたの『付与』で強化された武具でも、あたくしには通じない。試してみますか」


 と、フローラが俺を見据える。


 茫洋とした目だった。

 何の感情も浮かんでいない、まるで無機物のような瞳。


「そうだな」


 俺は懐からナイフを取り出した。


 こいつにある程度の『強化ポイント』を注ぎこめば、ドラゴンすら一撃で倒せるチート武具と化すだろう。


 だけど――問題は『停止』を使うジグだ。

 あいつがいる限り、俺の『付与』は力を失う。


 目の前の三人の中で、まずジグをなんとかしなければ。


「あの小僧がお前の付与魔術をキャンセルしてるんだな?」


 バーナードさんが前に出た。


「なら、俺たちがサポートする」

「いつもお世話になってるから恩返し」


 ミラベルが言った。


「後で恩返し料を請求」

「ちょっといい話っぽい感じだったのに、その一言で台無しだな」

「お金は大事。超大事」

「まあ、そうだけど……」

「ふん、なんの力も持たない者たちが、僕らに立ち向かうつもりか?」


 ジグが鼻を鳴らす。

 リサが不敵に微笑み、フローラが淡々と剣を構える。


 そして――俺たちの戦いが始まった。


『青の水晶』の冒険者チームVS『天の遺産』使いたちの決戦が。

書籍版、発売中です。年末なのでバラツキがあるかもですが、そろそろ書店さんに並んでいると思います! 下の書影から公式ページに跳べます。

またコミカライズも連載中。こちらも下のバナーから漫画のページに跳べます。

どちらもよろしくお願いします~!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼なろう版『死亡ルート確定の悪役貴族』はこちら!▼



▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。






▼書籍版2巻、発売中です!▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

コミック最新17巻、10/9発売です!

4e8v76xz7t98dtiqiv43f6bt88d2_9ku_a7_ei_11hs.jpg
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ