4 混戦
と、そのときだった。
「ふふ、あたくしをお忘れなくぅ」
突然、声が響く。
しまった、もう一人いたのか――。
背後に出現した気配から、強烈な輝きが放たれる。
「このっ……!」
俺は慌てて『燐光竜帝剣』を抜いた。
が、その瞬間、
「『止まれ』」
少年が告げる。
ヴンッ……。
同時に、剣が灰色になった。
「これは――?」
剣から『力』が抜けていくような感じだ。
「僕は『停止』のジグ。あらゆるものを止める能力――君のその剣は伝説級の代物らしいけど、その強さも効果もすべて」
ジグと名乗った少年が笑う。
「僕が止めた」
「こいつ……」
『停止』か。
俺とはかなり相性が悪い能力かもしれない。
俺が『付与』で強化した武器も防具もアイテムも――。
こいつはその効果を全部止めてしまうということだろう。
要は、俺の『付与』の無効化だ。
さらに、
「はあっ!」
女が剣を抜いて斬撃を繰り出した。
速い――。
たぶん『天の遺産』の力とかじゃなく、彼女の素の戦闘能力がすでにハイレベルなんだ。
それこそA級かS級並の――。
俺は反応しきれなかったものの、距離が離れていたことが幸いし、なんとか第一撃を避けた。
が、女は間髪入れずに第二撃を繰り出してくる。
まずい、今度は避けられない――。
「レインさん!」
ラスが横から飛び出し、その斬撃を防ぐ。
「へえ、あたくしの一撃を止めるとは……若いのにやりますねぇ」
「こいつ……なんて重い攻撃だ……っ!」
ラスがうめく。
「けど、レインさんは俺が守る!」
頼もしいボディガードだ。
本来なら俺のアイテムや防具だけで敵の攻撃を完封したいところだが――。
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