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6 ミラベルの目指すもの

「そういえば、ミラベルはこのまま冒険者としてやっていくのか?」


 俺は無理やり話題を変えてみた。


「ん?」

「もともとはその……暗殺者だったわけだろ? 前の職業に戻ったりしないのかな、って」


 まあ、暗殺者に戻れっていうのも物騒な話だが。


「……暗殺は、もういい」

「えっ」

「そういう気分でもなくなったし」


 ミラベルが小さくため息をついた。


 どこか憂いのある横顔だ。

 彼女のこういう表情は初めて見るな……。


「心境の変化でもあったのか?」

「少し」

「そうなんだ?」

「レインと出会って、リリィたちと出会って、一緒に旅をしたりクエストをこなしたりして……」


 そこでミラベルは一息をついた。

 どこか寂しげな瞳で宙を見る。


「そうか……」


 まあ、俺としてもミラベルは一応仲間なわけだし、暗殺方面に手を染めてほしくない気持ちはある。

 もちろん、今まで暗殺者として生きてきた過去が消えるわけじゃない。


 だけど――。

 彼女にも暗殺者としての冷徹さではなく、年ごろの女の子のような温かな感情が芽生えたってことだろうか。


「暗殺者は割に合わない。ブラックすぎる。私はもっとホワイトな環境でがっぽがっぽ稼ぎたい」

「いや、金かよ」


 さっきまでの前フリはなんだったんだ?


「当たり前。私は常に現実的。感傷の入る余地なんてない。報酬がすべて」


 ミラベルが力説した。

 まあ、それが彼女らしさかもしれないな。


「もぐもぐ……おいし」


 さらに、おもむろにサンドイッチを食べだすミラベル。

 自由だなぁ……。


 俺は微苦笑を浮かべてミラベルを見つめた。


「それに……レインといると楽しいし……もっと、いちゃいちゃ……じゃなかった、とにかく一緒にいたいから……」

「えっ」

「独り言」

「いちゃいちゃとか言わなかったか」

「詮索禁止」


 言うなり、ミラベルはぷいっとそっぽを向いた。


 最後の態度は――なんだったんだろう、一体……?

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