表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

122/221

2 マルチナと勇者の称号2

 光竜王から世界を救った勇者――。


 そんなふうに認定される可能性に気づき、俺は呆然となっていた。


 確かに激闘だったけど、世界を守るために――というよりは、仲間とともにがんばるいつものクエストの延長上のような気持ちで戦っていたのだ。

 だけど、冷静に考えれば、光竜王は世界を滅ぼすほどの力を秘めていたはずだ。


 それを討ったのであれば、俺たちがやったことは十分に勇者級である。


「うーん……微妙に実感が薄いんだよな」


 やはり、この付与魔術がチートすぎるんだろうか?

 ただの剣が、ドラゴンを瞬殺する最強武器に早変わりするくらいだからな……。


「今ごろ気づいたの? もう」


 マルチナが苦笑した。


「レインくんって、けっこう天然だね」

「天然……」

「あ、けなしてるわけじゃないよ。純粋ってことだと思うし」


 マルチナが微笑む。


「しかし、俺が勇者か……ピンとこないな」


 一介の付与魔術師に過ぎなかったころが、遠い昔のようだった。


「でも、あたしだって勇者になるのを諦めてないからね。あ、そうだ。ちょっと勝負してみない?」

「勝負?」

「勇者にもっとも近い剣士であるレインくんに勝てば、あたしこそが勇者最有力候補になるかもしれないし」

「目が爛々としてるな……」

「ねーねー、お願い~」


 袖をグイグイ引っ張ってくるマルチナ。




 俺たちは王城内部にある訓練場で模擬戦をした。


 もちろん、互いにケガしないように安全措置を何重にも施している。

 ――のだが、


「ひあああああっ!?」


 俺の一撃によって、マルチナは大きく吹っ飛ばされた。


「だ、大丈夫か?」


 慌ててマルチナに駆け寄った。

 そっと撃ったつもりだったんだけど――。


「ケガはしてないんだけど、威力にびっくりしちゃって……ごめん、気を遣わせて」

「いや、ケガがないならよかった」


 俺はホッとした。

 それからマルチナを助け起こす。


「ふうっ……ありがとう。それにしても、本当に便利だね。レインくんの加護アイテムって。というか、付与魔法全般かな。これなら高レベルの剣士や魔法使いでも安心して模擬戦ができる」

「だな。マルチナやリリィたちにも必要なら貸すよ。今までは模擬戦に使うってことを思いつかなかったんだ」

「じゃあ、あたしが君に挑戦したおかげだね」


 ふふっ、と笑うマルチナ。


「ねえ、もう一回……しよ?」


 上目遣いに見つめてくる。

 なんだか『年上の色香』みたいなものを感じてしまい、ドキッとした。


「あれ? 目が泳いでない?」

「い、いや……」

「ふふ、おねーさんにドギマギしてるわね? そうでしょ、ね? ね?」

「ち、違うって」


 言いながら、俺の声はうわずっていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑の☆☆☆☆☆評価欄↑をポチっと押して
★★★★★にしていただけると作者への応援となります!


執筆の励みになりますので、ぜひよろしくお願いします!


▼書籍版2巻がKADOKAWAエンターブレイン様から6/30発売です! 全編書き下ろしとなっておりますので、ぜひ!(画像クリックで公式ページに飛べます)▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

▼なろう版『死亡ルート確定の悪役貴族』はこちら!▼



▼カクヨムでの新作です! ★やフォローで応援いただけると嬉しいです~!▼

敵国で最強の黒騎士皇子に転生した僕は、美しい姉皇女に溺愛され、五種の魔眼で戦場を無双する。






▼書籍版2巻、発売中です!▼



ifc7gdbwfoad8i8e1wlug9akh561_vc1_1d1_1xq_1e3fq.jpg

コミック最新17巻、10/9発売です!

4e8v76xz7t98dtiqiv43f6bt88d2_9ku_a7_ei_11hs.jpg
― 新着の感想 ―
[気になる点] 王城に呼ばれて女王と直接謁見した上での討伐作戦がいつものクエストの延長にしか感じられないとか、この人、現代社会からの転生者並に一般社会感覚が欠如してるんじゃないかな…。 防御が高すぎて…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ