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19 最後の攻防

「強化ポイント3333333を消費――付与魔術、第三術式起動」


 精神を集中しつつ、俺は静かに告げた。


 俺の切り札ともいうべき、付与魔術第三術式。


 これまで取っておいたのは、闇雲に撃ったところで光竜王の【強化】装甲に防がれる可能性があったからだ。


 だけどここまでの攻撃の積み重ねで、奴の装甲に大きな損傷を与えることができた。

 今なら、きっとダメージが通る。


 いや、仮にこれでも通らないなら、もはや俺の術では勝ち目がないだろう。

 だから、後はすべてを込め、出し切るだけだ。


「今までの戦いで目にしたすべての武器の記憶を具現化――」


 唱え、イメージする。


 ヴ……ンッ!


 俺の背後に無数の剣、槍、斧、弓矢など数千数万という武具が浮かび上がった。


「そのすべてを再現し、強化し、解き放つ!」


 呪言の締めくくりとともに、背後の武具を一斉射出する。


「させるか……!」

「撃墜します~!」


 ディータとシリルが【破壊】と【転移】の組み合わせで、俺の攻撃を迎撃しようとした。

 が、


「邪魔はさせない!」


 ヴィクターさんが右手を突き出す。


 二人が攻撃したのは、俺が生み出した武具群とは違う武具群――そう、ヴィクターさんの【幻惑】で作り出した偽物だ。


「ちいっ……だが!」

「もう一度【転移】です~!」


 ヴィクターさんの作った偽武具にぶつかり、いくらか威力を相殺されたとはいえ、まだまだ威力十分の【破壊】が向かってくる。


「あたしたちだって!」

「威力を減らすくらいなら!」


 今度はリリィとマルチナが斬撃を放ち、【破壊】の威力をさらに目減りさせた。


「こざかしい――それでも私の力で【砕く】だけだ!」


【破壊】が、俺の射出した武器群と激突する。


 ばぢぃぃぃぃぃっ!


 強烈なスパークと閃光が弾ける。

 勝ったのは――。


「馬鹿な!?」


 叫ぶディータ。


 そう、威力で上回ったのは俺の攻撃だ。


 ヴィクターさんやリリィ、マルチナ――仲間たちの援護が奴の【破壊】を弱めてくれたおかげで、突き抜けることができた。


「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇっ!」


 そのまま進んだ武器群が光竜王を直撃する。


 爆光が、あふれた。


「ぬおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!?」


 苦鳴と悲鳴が響き、光竜王の巨体が光の中に溶け消えていく――。

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