18 連係VS連係
しゅんっ……!
一瞬にして、ディータとシリルが俺たちの前に出現した。
「全員、消し飛ばす」
ディータが右手を突き出す。
まずい――。
あれは【万物破壊】の発射態勢だ。
「くっ!」
俺は一番前まで走り出た。
付与魔術を施した『布の服』と『加護アイテム』なら完全じゃないけど、なんとか【破壊】を防御できるはずだ。
そう何発も持たないだろうが――。
しゅんっ……!
その瞬間、ディータの放った【破壊】が消失した。
同時に、ヴィクターさんの眼前に出現した。
「これは――!?」
シリルの【転移】を使って【破壊】をヴィクターさんの前まで移動させたのか。
俺たちに攻撃軌道を先読みされないために――。
「ヴィクターさん!」
俺は思わず叫んだ。
いくら【幻惑】があるとはいえ、この超至近距離で避けられるのか……!?
「避けられるはずがない! 終わりだ!」
ディータが叫んだ。
その言葉通り【破壊】がヴィクターさんを直撃する。
跡形もなく消滅した。
「――いや、違う」
消滅したのはヴィクターさんの幻だ。
「そうか、最初から幻覚を配置していたんだな」
「私を狙ってくるのは十分に予想できたからな」
ヴィクターさんはすでに俺の近くまで来ていた。
「よし、総攻撃だ!」
俺はみんなに呼びかけた。
全員の伝説級の剣で同時に光竜王に斬撃衝撃波を放つ。
「くっ……おのれぇっ……!」
奴の【強化】された装甲にいくつもの亀裂が走った。
「ここまでダメージを与えれば――」
今こそ、あの術を使うときだ。
「みんな、ディータやシリルの相手を頼む。光竜王は」
剣を手に走り出す。
「俺が仕留める!」
さあ、これで死闘の決着だ――。
【21.5.25お知らせ】
主人公のレインの年齢設定を27→20歳に変更させていただこうと思います。書いているうちに最初の年齢設定だとしっくりこない感じになってきたので……。また、これによってマルチナがレインより年下だったのが年上になってしまうので、呼称が「レインさん」から「レインくん」に変更となります。修正は1章から順次行っていく予定です。
なおストーリーについて変更はありませんので、読み直ししないとお話が把握できなくなる……等の事態は起こらないと思います。
ちなみに主要キャラの年齢は、
レイン20 ニーナ17 リリィ17 マーガレット15 マルチナ21 ミラベルは不明です……がレインより年下かな? たぶん。