13 『天の遺産』攻略戦2
七竜騎たちは三体とも巨大な竜に変化した。
光竜王の前に陣取り、いっせいにドラゴンブレスを放つ。
「ちいっ」
俺は最前列に出て、『布の服』や『加護アイテム』でこれを弾く。
ぎしっ……!
アイテムが軋んだような音を立てた。
さっきのディータとの攻防でアイテムがダメージを受けているのだ。
本来なら七竜騎たちの攻撃くらいは簡単に受け止められるはずだが、このままだとアイテムを破壊され、押し切られるかもしれない。
「その前にケリをつけるしかない……!」
「あたしもやるよ、レインくん」
マルチナが前に出た。
剣を構え、俺と入れ替わるように前衛に。
リリィが倒れている今、貴重なアタッカーである。
「次のドラゴンブレスが来る前に、奴らを叩く! レインくんはフォローお願い!」
マルチナが地を蹴り、突進する。
確かに、ここからは連係が重要になるだろう。
今までの敵なら、俺が強化した武器や防具だけで力押しできた。
だけど、今回の敵は俺と同質の『天の遺産』を備えている。
しかも、相手の数は三。
全員の力を借りなきゃ、たぶん勝てない――。
マルチナが剣を振るい、七竜騎たちは押されて後退した。
今度は俺が一番前に出て、光竜王に向かって『燐光竜帝剣』を叩きこむ。
がきんっ。
斬撃はあっさりと跳ね返された。
やはり、駄目だ。
『強化』された装甲には通じない。
――いや。
「傷が……!」
わずかな傷がついていた。
今までのダメージが蓄積したのか。
それとも、剣に力が戻ってきているのか。
「ほう、なかなかの攻撃力だ」
光竜王がうなる。
「だが、かすり傷をつけるのが精いっぱいのようだな。我が装甲には通じぬ」
「だったら、これで――」
俺は手持ちの武器をありったけ投げつけた。
それぞれが衝撃波を放つ武器を飛び道具に見立て、矢のように撃ち出す。
「くっ……!」
今度はもう少し大きな亀裂ができた。
「どうした? そっちも『加護アイテム』なり『盾』や『鎧』なり、追加してもいいんだぞ?」
挑発してみる。
カマをかけてみたのだ。
こいつの能力には、もしかして――。
俺の『付与』に比べて、大きく劣るポイントがあるかもしれない。