3 それぞれの剣の役割
「じゃあ、封印を始めるね」
マルチナが言った。
「レインくん、リリィちゃん、準備はいい?」
「OKだ」
「いつでも大丈夫です」
まず俺たちはそれぞれの剣をスロットに差しこんだ。
そして、最初の説明通りに念を込める。
ヴィィィィィィ……ンッ!
剣が、振動を始めた。
柄から熱が伝わってくる。
剣全体が、熱い――。
「もっと『念』を込めて!」
マルチナが言った。
「振動は剣から装置に力が注ぎこまれているときの現象なの。もっともっと力を!」
「分かった!」
「了解です!」
俺たちはさらに『念』を送る。
光竜王の封印をもっと強めるために。
これで戦いを終わらせるために――。
ヴィィィィィィィィィィィィンッ!
振動がさらに激しくなる。
剣が、さらに熱くなる――。
「くっ……!?」
「きゃあっ……!?」
「な、何……っ!?」
俺、リリィ、マルチナの三人が同時に声を上げた。
おかしい、剣が熱すぎる。
このままじゃ両手が燃えてしまいそうだ。
俺たちは思わず手を離した。
三本の剣が空中に浮かび上がり、明滅を始める。
「『燐光竜帝剣』、『紅鳳の剣』、『蒼天牙』――暴走開始。すべての剣の力を『翠風の爪』に集中」
なんだ、これは――?
ヴィクターさんの剣である『翠風の爪』から機械的な音声が流れている。
「『力』の吸収を完了」
『翠風の爪』を手にしたヴィクターさんが俺たちをにらんだ。
その瞳に妖しい赤光が宿る。
「これですべての剣の力は、我が剣に集まった」
ヴィクターさんが静かに告げた。
その声音は異様なほど抑揚がなくて、無機質で。
まるで機械のようだ。
「ヴィクターさん……!?」
からんっ。
『燐光竜帝剣』、『紅鳳の剣』、『蒼天牙』の三本が力なく床に落ちた。
光が、消えている。
まるで力をなくしてしまったかのように――。