知恵と悪知恵
ウォール
「う……」
ギルガメッシュは剣を使って立とうとするがそれは善策ではないと判断し寝そべったまま指示を仰いだ
「ダルク……使っていいぞ」
「え、でもそれは」
「どうしたんだ?」
「ダルクの必殺さ、どうかウォールと戦乙女の嬢ちゃん。ダルクを死守してくれ」
「よくわからんがオーケイだ」
「そうね、それに必殺技と聞いたら心が踊るわね!」
「すまない……あとは頼んだ。俺は少しバカ寝てくるわ」
ギルガメッシュは粒子に包まれ霧散した。
「嘘だろ、死んだのか?!」
「いえ、自らを近くのセーブポイントと言う場所にワープさせたようです」
「そうか、良かった」
「では、2人と神に我が命捧げます!!【神託の導・停止】」
ジャンヌの周りに小さい時計が飛び回り始めた
「よーし!ツルーズ全力で援護するからな!」
「【剣技】」
「ハァハァ……オデノ腕をヨグも!!」
出血を止めていたベスアディが振り向く
「【凍てつけ!!!】」
足が動かない、そこに飛び交う斬撃。
「よしっ、上とったわ!【最も早い剣】」
上からの超高速斬り下ろし
「がァァァ!!!!」
ギィィィィンン
「な、なんなのこれっ……ってて、手が痺れたわ」
ベスアディの頭を割ったが脳のあるはずの場所に謎の鉱石が詰まっていた
「なんだあれは。コアか?」
「【再生を開始します】」
無機質な合成音声と共にベスアディの傷が癒えてゆく。
あの落とした腕さえ復活している。
「第二形態ってところか」
「ウォール第二形態って?」
「要するにさっきより強いし早いわけだっ!【ワープ・物!!】」
斧を構えたベスアディの上に大量の瓦礫が降る
「多分だけど、足止めにもなってないわ」
「ツルーズ、ソグンはどうした」
「雑魚狩り行ったわよ……」
「なんか呼ぶ方法はあるか?」
「ない!!【剣技】」
「【炎帝!!!】」
剣技で足止めをしスキルを放つ。
スキルで縛り叩き斬る。
一体どれ程それを繰り返しただろうか
「はぁ、だめだ……ハァハァ……」
「なによ、もうくたばるの?」
「なんというかMPが切れると異常に目眩が」
「人間って不便ねって?!!!ウォール!!あの女口から血が」
「しまったアイツは?いや、あいつも疲れてその場を動いてない。新手か?」
「【神は私を導いた。私が進めば国は勝利を掴むと。神は言った。死という解放を受け入れる前には相応の苦しみがあると】ごふっ」
口から吐血をした。いや、受けていないはずのダメージを受けている。
「【それを乗り越えた者は己に試練を課す事で我等に近付けるであろう】【スキル・▇▇】これにて私の舞は終焉を────」
ベスアディが細切れと言っても良いほどに切り刻まれる。
神でさえ侵食出来ない全てを記する書を書き換える能力。
ゆえ、代償もそれ相応である。
「ゲホッ……やれやれですね。でもこれで脅威はひとつ減りましたわ」
「何が、起きたってんだ」
「光速も超越した私すら認識できなかったわ」
「この世界に来てからスキルという謎の物を得まして……何者にも干渉されない時間を創り出すって物なんですがゲホッ……干渉されない時間の10倍近く動けず、それに内部的損傷を受けるのでギルガメッシュからは禁止されてました」
ドサッと言い終わると倒れた。
「と、とりあえずウォール!!ワープよワープ!エイルの所に持ってかないと!」
「だな。ツルーズお前はどうする」
「私も戻る。ソグンは置いてこ」
「おい!ってまぁいいか、こっちの方が優先だ。しっかりつかまってろよ【ワープ・範囲】」
オーディン&ロキ
「ほらほらほらほらぁ!どうした日本の神とやら!逃げてばっかか?」
「逃げではない。【五芒星・魔払】」
ロキを中心に五芒星が描かれ、ロキを固定した。
「【地響き!!!】」
ロキの立っていた地面が崩れ始めるが
「こんな威力の技は【許可できんのぅ】」
オーディンの一言で術がかき消された
「センキュー爺さん」
「クソが!1対1も出来んのか!これだから野蛮なのだよ」
「別にフェアマッチだが?俺は生憎と神では無いんでねぇ」
「えぇい小賢しい!!【大地震】!!!」
センスを広げ顔を隠した。そのタイミングで鯰が発光した。
そこで起こる大地震。しかし従来の物とは掛け離れている。
地面が強烈に凹んでそれが跳ね上がる。
波を打ってると言った方が正しいだろうか。
「はぁ、コイツ馬鹿だなぁ【ほらよ!】」
突然の暴風にセンスが吹き飛ばされた
「なっ?!!何故バレた!!」
「ジジィ!ちゃんと取れよ」
「ほいさ」
「じゃぁしばくか」
「ひ、ひぃ」
「【詠唱・ラグナロク】」
巨人が辺りに生成されてゆくが
「待て!ロキ!このセンスは神器じゃない!!」
「やはり野蛮か!気を抜くとは!【地威震感】」
空間が揺れる、本来地面が揺れると思われているから地震だが実際は重力による空間振動が原因である。これが神の怒りの力である。
巨人の生成が止まり全てが終わる。
「おいおい、嘘だろぉぉぉぉ」
「くっ、【間に合え!!】」
オーディンがワープを放とうとするが
「無駄だよ!!不可侵にして神聖!神の裁きは神だろうが受けるんだよ!」
巻き込まれた。
「無理じゃ、ロキ。耐えしのぐしかない」
「んだよ、ってぇ!!なんだこれ」
細やかな斬撃がロキとオーディンを襲う
「ははは!!!楽しいかい!北欧のゴミども!!」
「るせぇ!!東の小国の分際でこんな力ある方がおかしいだろ!」
「まぁロキ、意外と気持ちいいもんだぞ」
「お前は黙ってろ!」
飛び交う斬撃に赤が混じり次第に2人が見えなくなっていく。
「さぁ、料理の完成だ」
血の渦の真ん中に落下する2人
「うげぇ、汚いな。とりあえず殺せばいんだっけ?」
指をパチンと鳴らすとセンスが戻ってきた。
センスを畳んで振ると刀に変わった。
「【良き眠りを】」
2人の首を切り落とし、懐から謎の火の粉を取り出した。
「ヒノカグツチの残り火だ。これだけでも1週間は燃え続ける。はぁー帰るか」
2人に着火したのを確認するとそのまま天へ消えていった。