ストラスvsロキ。ランドグリーズvsヘルムヴィーゲ
─ストラス─
「ヒャッハー!!楽しいぜぇ!!久々に暴れるからなぁ!」
「まったくじゃよ。ロキ」
ロキの腕から放たれる禍々しい球体はストラスの横を通り過ぎる
「年取ってそこまで動けるなんてやるじゃん!さすがソロモン王に知恵を与えた神よ!!」
「ほぅ、そこまで調べておったか」
「そりゃな!何故うちの義兄が完璧なる知恵を求める中お前がその知恵を持っていたのか気になってな」
「そしてその知恵の1部を引き継いだガキがワシになんの用じゃ?」
「賢いあんたならわかるだろ?俺は味方になる気があるから見定めに来たんだよっ!」
味方になると言う割には全て攻撃はギリギリでよけれる速度で確実にころしにくる
「ほう、ならば何故フレイを復活させたのじゃ?」
「馬鹿言え、俺がそんな面倒なことする訳ねぇだろ」
「じゃぁお前さんは復活させられた側ってところかの」
「生憎な、たっく……死後の世界ってんで期待したら俺だけ洞窟じゃねぇか。しかも毒蛇が居るわで!シギュンにゃ迷惑かけたと思ってるよ。しっかしねぇそのおかげか開放されたってところだから復活ではないな」
「なんじゃ、シギュンも一緒じゃったんか」
「あぁ、もう戦うの飽きたわ。俺が一方的に疲れるだけじゃん」
「はぁそう言うと思って菓子もあるわい。少しあの後の事でも聞いてやろうじゃないか」
「笛吹野郎と相打ちになったあと、うちの娘の居るヘルヘイムに行く予定だったんだが、何故かあの忌々しい洞窟に気付いたら居てな。というよりあの毒を顔面に受けて目が覚めた」
「また息子の腸に縛られてたのか?」
「いや、今回はグレイプニルで拘束されてたんだよ。何が嬉しくてだ、俺だって神だが情はある。息子を縛っていた物で拘束されるのは気が引ける、だってよつまりそういう事だぜ?」
「心中察するがのぅ」
「でだ、シギュンがまた毒を受け止めてくれてたんだよ」
「して、いまシギュンは?」
「殺された」
「なんじゃと」
「またラグナロクが起きたのかと思ったよ、なんせ気付けば洞窟が崩れグレイプニルが剥がれてたんだからな」
「ほぅ」
「安心したのも束の間、何故か死んだはずのヘイムダルが近くに居てシギュンを……シギュンを絞め殺していた」
「で、その後どうしたんじゃ」
「ヘイムダルは殺した、笛も壊したから今回は合図が無かったのかもしれない」
「ところでヴァルキリーと動いてるわけはなんじゃ」
「巨人の血を引く俺をあいつらと違い受け入れてくれたからかな」
「そうか、正直わしも主が来てくれるならありがたいのぅ」
「俺はさ、性格的に嫌われてるじゃん?だからあんまり言い出せなかったんだが実は捻くれ者を演じてるだけなんだって事を理解してる人達につきたい」
「まぁでも最初のアレはやりすぎじゃワシの羽が3枚くらいダメになったやもしれん」
「そりゃすまんかったよ」
─ランドグリーズ─
「久々ね」
「そうね、矛盾の原点とも言えるあの伝説の戦いをもう一度出来るなんてね」
「え?」
「だってランドグリーズとあたし貴女の盾は防具を指すこともある!つまり貴女が私に勝てば貴女が最強!私が勝てば私は鉄壁」
「よくわかんない」
「えー、ほら!打ち込んで来てよ」
「えっとえい!」
ドゴォォと言えばいいか、鈍い音が辺りを這う
それは硬いがゆえ、破壊力が強いがゆえ、双方の力が衝突時に左右に逃げ合う事で起きる音である
「さすがね、私は無傷だけどそっちはきついんじゃないの?今の相当来たはずよ」
「あなたこそ大丈夫?ヒビ入ってるかもよ」
う、少しお洋服汚れちゃった……
どうしよう
「実は私だって攻撃出来るように特訓したんだからね」
「へぇーなら今度はそっちから来てよ」
ギィン!カンっ!
「手甲って言うんだってよ!私の触れた物を硬質化しちゃうヴァルキリー特権で相当硬くなってるからその分の強さもあるよ!!」
リーチが長いからこちらが有利のはずだが、彼女の軽快な動きのせいですぐに間合いに近付かれる
「私だっていい所見せなきゃね、泣き虫とか言われたくないもん!グリーズグニル!!!」
ズシャッ
手甲をすり抜け槍がヘルムヴィーゲの手の甲を引き裂いた
「いったぁああ!あぁいいよ!この感覚たまらないわ」
「うわぁ…………」
「もっとちょうだいよ!」
「近寄らないで変態!」
ギンっ!
「変態?それは違うな、私は戦ってできた傷に極度の快感を得るだけだよ」
「そ!れ!を!言うの!!!」
ガンッ!
「バトルジャンキーと呼んでくれ!」
「うるさい!カブトムシ!!」
ギィィン
カンっ!
ゴッ
鈍い音と共にランドグリーズが後方へ吹き飛んだ。
槍を弾いたヘルムヴィーゲがみぞおちに深い一撃を入れたのだ
「がはっっ…げほっげほっ」
「あの快感とその苦痛に滲む顔がたまらないのよ!」
「はぁはぁ、矛盾の原点の話どこ行ったの」
「いゃーだって私大人じゃん?」
「見た目だけね」
「本気出したらランドグリーズ程度瞬殺だよ」
「言ってくれるわね………私だってあんまりやりたくない中やってるのに」
なんで私ばっかり……
「ふふふ!どれだけ優れた槍でも持ち主が持ち主じゃただの雑魚ね!!」
「私の槍ってより能力なのよ!!」
ギィィンっっ
「貫け!ヴァルキュリアランス!!」
「おっ?」
グサッ!!
一瞬分子へと変化した槍が鎧を通過し復元された
「ごふっ」
「はぁはぁ……内蔵逝ったんじゃない?もうやめ──」
「捕まえた。鉄の檻」
ランドグリーズとヘルムヴィーゲを鉄の塊が飲み込んだ
「私は硬いからいいけどあなたはどうかしら?この鉄塊の中のそう。この唯一の空間が全て針になったら」
少しでも動けば針が当たるキツキツの鉄塊の中でランドグリーズは思考停止しかけていた
回避方法は無い。いや、あるにはあるが槍は掴まれていて能力を発動できない
「これで終わりね」
皮膚を裂く音、内蔵の破ける音、骨の碎ける音、それと鉄の碎ける音