在りし日のおもひで
お久しぶりです。
今の連載中の方が行き詰まって短編書きました。
自分の趣味ダダ漏れです笑
まだまだ文としては拙いですが、楽しく読んでいただけると幸いです。
これを読む方へ
これは僕の生きた形跡を残す本である。
と言っても僕はまだ生きてるんだけどね。
むかしむかしばなしみたいなものさ、
あの頃は若かったからね。
思い悩んだこと全て書き記したから、
葛藤しか描かれていないし、偏見で出来上がっているだろうからね。
まあ仕方ないよね、人間誰しも何か問題を抱えるものだ。
コンプレックスや恋の悩みといった傍から見たら小さなでも本人にとったら大きな悩みであったり、周りを巻き込んで被害を与えるようなさっきと逆の悩みであったりと様々に...
面白いよね!価値観の違いだっけか。
本当に滑稽だ。
ちょっと前置き長くしてしまったかな。
では僕の黒歴史であり、思い出、そして人格形成の元となったお話をしていこう。
人は考える葦であるとどこかの哲学者は語る
そらそうだ、物事を考えない人はいないだろう。
この数学の問題はどう求めればいいのかとか、
今日の晩御飯はなにかなーとか、
今日はCDの発売日だとか、
何かしら考えている。
僕だってそうだ、今人の考えていることを考えているのだから。
いい実験台だよ、ほんとに...
隣は何を考えてるのだろうか?
ふと隣が気になり覗き込んでみる。
すやすや寝てた。
はぁ...本当にこいつ何も考えずに寝るよな。
尊敬するよ。
隣に座っているのは、僕の小学校からの友人、
中学も、結局高校も一緒、大学は流石にね...
いやでもこいつは合わせてくるかもしれないな、
俺より勉強出来るくせに、
その学力分けて欲しいものだよ。
反対側を覗いてみる。
壁だった。
そうだ窓側...不覚。
少し呆れてため息をつく。
どうして忘れてたのか。
ところどころ抜けてる。
顔を前に向ける。
数学教師が黒板に公式を書いている。
チョークの音が教室に響く。
離れた席からはこそこそと話し声が聞こえる。
前の席にちょっかいを出す生徒がいる。
どこにでもある高校の日常。
その場にそぐわないようにぽつんと存在しているのを感じるのは僕だけなのだろうか。
同時に終了のチャイムがなった。
僕はその事を考えるのをやめた。
昼休み、隣の幼馴染が目を覚ました。
「うーん、おはようなんだよ、ワトソンくん」
こいつ寝ぼけてるな。
「こんにちはだぞ、もう昼だ、一緒に食べるか?」
「食べるたべるー」
幼馴染は目を擦りながら、おぼつかない手でカバンから弁当を取り出す。
危ないので手を添えておいた。
「ありがと~、にしても支えてくれるなんて珍し~、何か変なものでも食べたのー?」
「食べてもないし、珍しくない。」
「そーかなぁ、まぁいいやー。卵焼き貰っていーい?」
そう僕に告げると、弁当から箸を取り出し、卵焼きを一切れ素早く口に運んだ。
「僕の意見は無視ですか...」
「どうせ、くれるんだし、いーじゃん。にひひー。」
その言葉にため息をつく。
「あれあれ~、どうしちゃったのー、ため息なんてついちゃってさー、私に恋でもしちゃったのー?」
「僕はいつでもあなたに恋してますよ。」
「言ってくれるねぇ、そゆとこ好きだけどねー。」
にこにこしながら顔を向けてくる。
近い。
あえて幼馴染から距離をとる。
「冷たいねぇ~、好きならキスの1つくらいしてくれてもいいのに~」
「はいはい、また今度な。」
「む~、そう言ってしてくれたことないじゃん~けち~」
そう言い、むくれる幼馴染。
僕は思う。
僕は釣り合いが取れているのかと。
僕は特に対した才能がある訳では無い。
言ってしまえばどこにでも居る凡才。
自然とひねくれてしまった人間。
どこがいいのかと。
だから返答をいつも誤魔化す。
それは良くないことと知りつつも、
僕よりいい人がいるのではと。
しかし幼馴染は選ばない。
理由を聞こうと思ったことがある。
でもそれではダメだと腐った心が許さない。
だからもやもやした関係が続いている。
僕はこれでいいとも思う。
変化を求めたくない悪い発想だ。
そんなことは幼馴染が許さないだろう。
そういう子だから。
「ねーえ、また考え事?ほんと好きだよねぇ、その顔たまんないんだよね。」
「悪い、またなんか奢るわ。」
「ならデートね~、期待しちゃうよー、ふふっ」
笑顔をこちらに向けそう告げた。
「あぁ...」
僕はその笑顔を直視せず、曖昧に返答した。
いつから直視出来なくなったのか。
どこかの歪んだプライドが幼馴染の笑顔を視認することを許してないのか。
はっきり言ってクズだよな。
結局考え事にふけることが多いお昼休みであった。
放課後、僕は図書委員の活動に向かった。
僕は何もしてない訳では無い。
ある程度利益のあることはしている。
はっきり言おう。
卑怯な考えだ。
しかし図書委員を選んだにもそれなりの理由は存在している。
本が好きなのか?とよく問われるが、そうではない。
本を読む方ではないが、囲われるのが好きなのだ。
落ち着く。
それなりの理由ではないって?
そうなのか?
大きな理由ではないのか...
あともう1つあげるとするなら、来る人はだいたい同じ人たちだからコミュニケーションはとりやすい。
仲良くなれば、楽である。
「なぁ、あんた、時間ある?」
本を棚に戻す作業中、声をかけられた。
物騒だな。
多分、本の場所を聞きに来たのだろう。
声の方へ向く。
声の方には、幼馴染の友人がいた。
高校で出来た友だそう。
幼馴染がそう言ってた。
珍しい。
活発な人と聞いていたからな。
図書室にくる人間ではないと思ってた。
とりあえず委員としての対応をとる。
「何の本をお探しでしょうか?」
「...」
あれ?反応なし...
とりあえずもう一度。
「何の本を...」
「私が本を読む人に見えんの?」
途中で言葉を遮られた。
悲しいなぁ。
「読む人間ではないな。」
ずばり言ってみた。
「そうなら、お探しでしょうかとか言わなくていいじゃん。」
それはそうだ。
でも形だけでもね。
「で何の用なの?」
率直に聞いてみる。
「あんた、いつあの子と付き合うのさ?友人として忠告しに来たのよ。」
「忠告ってなんかあったんですかい?」
「あんた、あの子の気持ち考えたことあんの?」
少し苛立ちながら言ってくる。
「ある程度は分かっているつもりだ。でも全て理解出来てるわけないだろ。」
人なのだからと哲学的なことを添えても意味はないので省く。
「あんた他人事のように考えてない?あんたの問題なのよ!私はあの子から何回も悩みを聞いてるの!ちゃんとあの子の気持ちを受け止めてあげなさいよ、幼馴染なんでしょ!」
正論が飛んできた。
幼馴染の事を本気で心配しているんだろうこの友人は。
言葉遣いが悪いがいい人だ。
友人が言ってること、その通りだ。
自分が流してるのは自分が1番分かっているつもりだ。
正直痛い言葉である。
「なんか言いなさいよ!」
「...」
僕は答えることは出来ない。
「ふん、そんなんじゃ、失格だよ!あの子の相手として。サイテー、私があの子に意見を返させてやるわ、後悔しても知らないんだから。」
そう言い残し立ち去って行った。
図書室は静けさを取り戻す。
幸い人はいなかった。
騒いでも問題は無かった。
そんなことを考えてる時点で、僕は失格なのだろう。
薄情なのだろうか。
いや、僕は、幼馴染のことは好きだ。
それに幼馴染は意見を変えないだろう。
だってずっとそばにいるから。
でもいつもその資格はないと思っている。
釣り合いが取れていないと。
僕は卑屈な人間だ。
こんな奴でもいいのかよ。
それでも幼馴染は笑いかけてくれる。
心配してくれている。
僕は大切なものを忘れてるのかもしれない。
その晩、あの友人が言い放った言葉をきっかけに僕は、自分の答えを探していた。
確かにけじめはつけないといけないと思う。
しかしどうして自分はこうなってしまったのだろうか。
昔はもっとマシだったか。
今じゃ考えれば考えるほど、良さが消えていく。
底なし沼だ。
気持ちまで沈んでくる。
幼馴染の気持ちを尊重したい。
しかし、自分で本当にいいのかと。
我ながらひねてる。
傲慢だ。
幼馴染の気持ちをそのまま受け取ればいいのに。
そのまま気持ちを伝えればいいのに。
それが僕には出来ない。
それをするための、答えがない。
見失っているのだ。
自分と幼馴染とのきっかけを。
思い出さなければならない。
今のままでは、形だけだ。
器だけだ。
己と真摯に向き合わなければならない。
延々と遠回りしているだけなのかもしれない。
だがそこには、自分がかつて持っていたものが、存在し、失ってしまったわけが分かるかもしれない。
淡い期待を持ちながら、夢の世界へ誘われた。
時は少し流れる。
デート当日、高校になって初めて風邪を引いた。
らしくない。
体が重い。だるい。辛い。
足掻いても無駄だろう。
39度ある。
頭も痛い。
この数日考えすぎたのか。
はてさて、ただの風邪なのか。
どちらにしろ、幼馴染に迷惑を掛けてしまった。
悪い事をしたな。
メッセージは送った。
残念がっているのは、絵文字でよく分かった。
正直、僕も行きたかった。
幼馴染よりもわくわくしてたのが明白ではないか。
昨日親に「顔から滲み出てるよ、幸せが」と言われるくらいには...
だからこれは体と心の不和が起こした問題だ。
自分が悪い。
とにかく早く治そう。
この借りはさっさと返さないと...
薬が効いてきたのか、瞼が重い。
逆らってもどのみち同じだ。
そうして身を任せるように意識を手放した。
目の前はセピア色の景色。
数年前に遡れば当たり前だった場所。
少し雑草の生えた校庭。
深い落とし穴のような中庭のビオトープ。
去年の創立100年に塗り直された、白い校舎。
それらを眺める屋上に幼いぼくはいた。
目の前の柵にあの頃の幼馴染がいる。
泣いていた。
泣きじゃくっていた。
「どうして...」
微かに聞こえた幼馴染の声。
「どうしてなの。」
ぼくは近づく。
幼馴染に近づくと、ぼくは何かを差し出す。
何かはぼやけて見えない。
「泣くって、ほらこれ。」
「これ...くんのじゃ...」
「君のは...治らなかったよ。だからオレの。あげるよ。」
「いいの?よく出来てたって先生に褒められてたのに...」
「別に、オレは、君が泣くのやめてくれるならいいかなって。」
幼馴染は何かを手に取る。
「ありがと」
そう幼馴染は微笑んだ。
目が覚めた。
どうやら夢だった。
昔の思い出。
忘れていた記憶。
今でも幼馴染は持ってたりするのだろうか?
後で聞こう。
時間を見る。
昼になってた。
妥当だろう。
体は少し楽になった。
熱を測るとする。
体を起こす。
幼馴染が僕の勉強机で寝ていた。
どうやら見舞いに来てくれていたみたいだ。
わざわざ僕のために来なくてもよかったのに。
まぁ、無駄か。
お人好しだから。
幼馴染にも風邪を引かれては困ると思い、自分の掛けてある制服のブレザーを彼女にかけた。
そして机に置いてある体温計を取った時、キーホルダーがケータイに付いていることに気付いた。
「ずっと持ってたのか。」
そーいや、今までケータイとかは見てこなかった。
随分経っているせいか少し色あせている。
クマのビーズのキーホルダー。
夢の何か。
幼馴染のは完成したあと接着が上手に出来てなく壊れてしまった。
彼女が好きな色だったから余計ショックだったのだろう。
昼に屋上で泣いていた。
たまたま僕のものも色合いが似ていた。
というよりも彼女の真似をしたというのが正しいか。
特に好きな色なかったから。
だからあげた。
僕が持つよりも、彼女に持ってもらった方が良かったから。
こどもながらにそう思ってしまった。
でもまだ残っていたのは驚きである。
大切にしてたのだろう。
どうやら、僕の負けみたいだ。
いつからが自分が避けていたのかもしれない。
あのキーホルダー以来、僕達はずっと一緒だったから。
中学校に入って、周りの目を気にしたのは僕だった。
幼馴染も頷き返して来たから同じ思いだと思っていた。
そこから自分は、幼馴染の思いから逃げていたのかもしれない。
純粋に、僕の事を思ってくれていたのだ。
あの頃からずっとずっとずーっと。
なのに...
自分は、嫌われる方向へと舵を切っていた。
離そうと離そうと。
本当にだめだめだ。
向き合わなければならない。
受け止めなければならない。
今の自分が昔に戻るのは無理だろう。
しかし、幼馴染への思いは今も昔も同じはずだ。
僕は自分の思いを否定しただけだ。
もう一度、自分を認めるだけだ。
あらためて1からやり直そう。
あれから1週間、無事恋人同士になって初めてデートをした。
いろいろハチャメチャだったけど。
あえてここでは語らないでおきたい。
また話す予定だ。
告白はどっちからだったっけーって?
そら...僕からだよ、なかなか恥ずかしかったし、緊張しました。
カミカミだったって?言うな、必死にしぼりだしたんだよ!
あれ冒頭の感じと全然違うって?
仕方ない、横でずっーとダメだししてくる人がいてね。
ここはこんなセリフとか、私こんな泣きじゃくってたっけ?とかね。
えー今の関係?
そんなのは想像にまか...
はい、私です。
そう幼馴染です。
もーあなたったらもう少し詳しく書かないのー
絶対告白のとこやるべきだったよー
むー
なら今度私が書いてやる~
どうだったかなー?
ひねくれてた主人が私との恋を認めたくなかったお話は?
うんうん、面白かったと。
ありがとう~また読んでよね!
こうして毎日が騒がしく過ぎていく。
途中筆が変わったけど、これが僕のお話。
今度は読んでくれた君が聞かせてくれないかな?
もしかしたら、幼馴染からの視点も書くかも...