ダンジョンで波瀾万丈です!
私の名前は白羽稲葉。
アルバイターである私は阿修羅ちゃんの提案するワガママや天真爛漫なイベントに付き合わされ疲れ果てている現状です。
「あれ?稲葉ちゃんどったの?」
「阿修羅ちゃん……その体力をお仕事の方へ回したらどうかなって」
「えっ、やだよ!今は居ないけど親からも遊ぶように働けって言われてたし」
「亡者を盾にするな!……いいよ、店長をアテにするんじゃなかった」
私はまたバンダナをキュッと締め、レジの方へと回った。
厨房にいる阿修羅ちゃんの方も哀れに思ったのか少しだけしゅんとしている様にも思えた。
「……言い過ぎたかな」
私は阿修羅ちゃんのいる厨房に戻り、両肩を撫でた。
「ごめん、阿修羅ちゃん。多分貴女も貴女で大変なんだと思うけど今は人も多いし頑張ろ」
「うん!全然気にしてないよ!」
「え?」
突然元気になり始める彼女はスマホや携帯型ゲームを取り出し、大胆に寝っ転がり遊び始めた。
「いや……何やってんの店長?」
「だってごめんって言われたら元気出さなきゃと思って。だから今元気出し中~」
「そういう意味で言ったんじゃない!仕事中に堂々とゲームすな!厨房で転がるな!エプロンが汚れるだろうがああ!!!!」
私の顔は最大限に怒った阿修羅ちゃんより阿修羅の様になり罵声を浴びせた。
彼女の方は今にも泣き出しそうになっている。
「いや……だって私腕6本あるし……その内の2本ぐらいでゲームしても……!」
「そういう問題じゃないよ!心配して損した」
私はまたどっと疲れてため息を吐いた。
ただでさえ須佐野君が入院しているのに私1人では到底店を回せないからと大蛇君まで手伝ってくれてるのだ。
尚更彼女には頑張ってもらわないと困る。
「あの……お客様がお待ちですけど」
「あぁ、ごめん!大蛇君、レジできる?」
「はぁ……」
彼自身もいい人ではあるのだが基本無口ではあるのでなかなか仕事がスムーズに回らない。
現在、ほのぼの屋に嵐が吹き荒れています。
「ねぇ阿修羅ちゃん、本当に仕事してよ!」
「五月蝿いなぁ、今モンダンに夢中なの」
「何そのモンダンって!」
「モンスターズダンジョン。今キャンペーン期間中だから」
「知るかそんなの!」
遂に痺れを効かせた私であったが、その時何やらおかしな事が起こった。
目の前でゲームをしていたはずの阿修羅ちゃんが消えた。
「えっ……阿修羅ちゃん!?」
私は恐る恐るその場に残されていたスマホを取り上げたが、その瞬間の事だ。
私は吸い込まれるようにゲームの中へ入り込んでいってしまった。
「嘘でしょおおおお!!??」
無差別に羅列されるプログラムの渦を越え、落ちたのはジャングルのような森林地帯。
格好も店の制服から何やら神秘的なローブらしきものへと変わっている。
「嘘……私、何かゲームの中に入っちゃったんだけど!?」
私は身体を起こし周りを探ってみると、他にも茂みにもう2人が倒れているのを見つけた。
「あれは……阿修羅ちゃんに、山田君!?」
「何ここ……うぇっ!?モンダンじゃんか!凄!」
唐突にその世界観に興奮する彼女に彼は訪ねる。
「俺もこのゲームやった事あるけどこんなグラフィック綺麗じゃないぞ」
「そういう問題!?」
どうやら彼らにはゲームの中に入ったという衝撃は無いらしい。
「ねぇ、もうちょっと危機感持てないの!?」
「だってゲームの中に入るのって王道中の王道の展開じゃん」
「既に慣れてるし!?というかどうやったら戻れるかわかってるの?」
「恐らくあの目の前にあるダンジョンをクリアしないと駄目だな」
大蛇君が指差したそこにはいかにも強敵が眠っているという雰囲気の岩石で覆われたダンジョンがあった。私はゴクリと唾を飲む。
「私闘った事ないんだけど!?ゲーム苦手だし!」
「ここは3人でパーティーを組むしか無いですね。私は戦士で腕が6本なんで攻撃回数が3回。稲葉ちゃんは僧侶ね。回復呪文くらいゲームやったことあるならできると思う。大蛇君は武闘家。火力要因に成りやすいから武器はちゃんと装備して。持ち物の中にある」
何故だろう。何時になく阿修羅ちゃんが活き活きとしているように見える。滅茶苦茶早口だが。
今回ばかりは私はそのダメ店長にリーダーの座を託した。
「それじゃあ行くか、ここの敵雑魚だし」
「待ってくださいよ!まだ心の準備が……」
私が大蛇君を止めたが、続けて阿修羅ちゃんも止めてくれた。
どうやら私の事をようやく気遣ってくれたらしい。
「阿修羅ちゃん……!」
「ごめん、ここ入る前に難易度を『SUPERHARD』にしてたみたいで……結構難しいかも」
「いや気遣った訳じゃなかった!それ無理でしょ!?」
「というかまだ俺達入ってきてレベル1だぞ!?」
「でもドロップは美味しいみたいで……大丈夫!死んでも石さえあれば復活……」
「もういいです!阿修羅ちゃん何かとバイトするんじゃなかった」
私は耐えられなくなり、森林の奥深くまで走っていった。
「ちょっと、稲葉ちゃん!?」
「まぁ大丈夫だろ。万一モンスターが襲ってきてもお前の石が尽きなければ復活できるし」
「いや、酷くないですか!?折角ガチャの為に貯めてきたのに!というか命安っす!?」
「元はと言えばお前の責任だろうが。ほら、俺達も行くぞ」
私は彼女がそこまで人を気遣わないとは思っておらず、大木に座って泣いていた。
ここから出る方法も難易度ハードじゃどうしようもない。
私は途方に暮れて空を見上げる。新緑から漏れた光が辺りを包んでいた。
「グォアアアオ!!!!」
「えっ何今の音」
私は杖を持ち、辺りを見回す。
目の前からやって来たのはヒョウみたいなモンスターが1匹。
だが間違いなく凶暴で、確実に肉食獣みたいな目つきで私を睨んだ。
「あの……せめて話し合いで何とかなりませんかね?」
滝汗をかきながら後ずさりする私だが、目の前の野生獣は微動だにしていない。私目掛けて飛びかかる。
「グオァアアアアーー!!」
「ですよね!すみませんでしたーーーーっっ!!!!」
私は仰向けになり目の前のそれを見つめる。
嗚呼、せめてゲームの外で死にたかった。このままゲームオーバーだと思ったのだが──。
「まだ諦めちゃ駄目だよ!稲葉ちゃん!」
「阿修羅ちゃん!?」
彼女が飛び出した。その6本の腕から無数の斬撃を生み出し、獣を圧倒する。
「阿修羅ちゃん最高!」
「まぁ稲葉ちゃんの為に石消費する訳にもいかないし、当然だよね」
「やっぱり最低!」
私は彼女の頬を指でギュウと抓る。その守備力の高い戦士職でもやはり痛覚はあるのか痛がっていたが。
「おう、怪我は無いか?稲葉」
「山田君も来てくれたんだ!ありがと!」
獣はうっすらと起き上がり、形勢を立て直しながらこちらへと向きを変える。
「「ま、私達パーティーなんで」」
2人は同時に駆け出し一斉攻撃で圧倒。
「「うりゃああああ!!!!」」
獣の牙をへし折り、そのまま身体を剣とネイルで削り取る結果で終わった。
「ちょっとストップ!もうその子原型留めてないから!」
「え、ゲームの中だしオーバーキルした方がスコア高くない?」
「まぁカンストさせるべきだろうな、普通」
「スコアとか今どうでもいいから!」
「まぁまぁ、それよりここまで来るまで大分傷付いちゃって。早く治してよ」
阿修羅ちゃんが指差した所を見ると、脇腹に血が滲むほどの重症を負っている。
確かにこれは早く治さないと不味い。私としても焦る。
「治すって言ってもどうしたら」
「へ?ここ来る時にスキルポイント割り振りしてないの?」
「スキルポイントって何!?また知らない単語出てきたし!困るんだけど!」
「というか稲葉ちゃん。薄い本だとかそういうのには詳しいのにスキルポイント知らないんだね」
「また掘り返さないでよ!薄い本と今の状況関係ないでしょ!?」
話が進まない私達2人に呆れたのか、大蛇君が助言を入れる。
「スキルポイント振り分ければ特技とか呪文とか使えるんだよ。まぁこっちに来てからの割り振り方法は俺も知らないが」
「えっ、でもメイル使って猛攻してましたよね!?あれ特技かと」
「まぁ初期スキルだろう。多分」
「どうでもいいから早く阿修羅ちゃんの傷治させて!?」
私は彼女にスキルポイント割り振りの仕方を教えてもらい、初の呪文を唱えた。
極めて微弱なものだったが、脇腹程度の傷は直ぐに治ってしまった。呪文スゴイ。
「さっきのモンスターここの主だったみたいですね。結構レベル上がりましたよ」
「まぁこれだけ上がればダンジョン行けるんじゃね?望み薄だが」
「本当に言ってるの!?回復魔法覚えたばっかだよ!?」
私は彼らに尋ねるが、その答えはただ一つ。
「「明日日曜日なんで」」
「日曜日だから何!?」
彼らにも彼らなりの何か譲れない事情があるらしい。
とは言え日を跨げないのは確かだ。すぐに元居た場所に戻り、その洞窟に侵入する他無い。
「まぁダンジョン内に入った時の鉄則ですが」
「何ですか?阿修羅ちゃん」
「触手系のモンスターには気をつけた方がいいですよ。場合によってはあんな事やこんな事されるんで」
「何ですかそれ!薄い本でもそんなの見たことありませんよ!?」
「いや、大体薄い本用のネタだろ。それ」
山田君が無表情でツッコミを入れながら現れたモンスター達を次々とねじ伏せていく。流石は経験者。
「阿修羅ちゃんも仕事しなくていいんですか?」
「いや、硬いモンスターが出てきてからじゃないと行動しちゃ駄目かなって。戦士は素早さが無いんだよ」
「成程、戦略的ですね」
私達は話すら交わしながら遂に最終層まで向かう。
そこは所謂神殿らしき建物で、神聖な雰囲気を漂わしていた。
「ここは……?」
「まぁボスエリアだろうな。普通こんな所ROM上にも無いはずなんだが」
「稲葉ちゃん!こんな所にボタンがある!これ押したら何か起こるかも!」
「駄目!阿修羅ちゃんそれ絶対罠……!」
どうやら私が言う前に押してしまったらしく、軽い地響きが発生した。
「何が起こるのこれ!?」
「さぁ?こんなエリア来たことも無いし」
「確かにヤバそうだな……」
突然私達の目の前に次元の扉らしき物が開き、4人の物陰が放り出された。
「あれは……騎士じゃないか?そもそもこのゲームには登場しないはずなんだが」
「他にも見たことの無い連中がいるわね。きっとあいつらがボスなんだよ!」
「え……?でもボスにしては登場の仕方格好悪くない?何か地面に放り出されて痛そうにしてるし」
その4人を見てみると確かに突如として出現したような感じであった。
1人は鎧を着た禍々しい騎士。
1人は巨体で剛腕のゴーレム。
1人はそれに押しつぶされてる妖精っぽい子。
1人は何やら小さいけど……化学物質みたいなのを身に携え白衣を着ている。
「ちょっと、わざわざ私を押し潰さないでよ!」
「フンガー!すみませんっす。わざとじゃなくて……!」
「おいラクモ、重なった状態で蒸気吐くな。鎧が錆びる」
「一体何処なのよここ……あっ、あそこにも人いるじゃん」
どうやら私達に気付いた様である。
どう見ても何かおぞましい集団ではあるがどうやら敵意がある様には見えない。
「ねぇ、アンタ達もここに引き摺られた人達?」
「えー?まぁ、そうですけど」
白衣の少女が阿修羅ちゃんに一声かけた。この状況に大蛇君は首を傾げる。
「何か馴染みが有るような……無いような」
「どういう事?」
「独り言だ。おい、そこの妙なオーラ放ってるデカブツの鎧騎士」
「何だ、失敬な」
続けて彼はその騎士に尋ねる。
「お前らもここに誘われたのか?」
「まぁ確かだな。キサキが魔導書を読んでたら急に消えてしまったんだ。それで俺達も吸い込まれた」
「キサキとは誰だ?」
「そこにいる厄介者の"調合師"だよ。ちなみに三十路」
「ヤイバ、家に戻ったら覚悟なさい」
大蛇君の中では最早状況が飲み込めたらしく、彼は少しだけ息を吐いた。
「やはりな、どうやら鍵を握ってるのはこいつららしい」
「「どういう事?」」
私と阿修羅ちゃんは尋ねる。
「ここで巡り合わせられる何かがあったんだ。それによって俺達は引き寄せられた」
「フンガー!でも俺達もここから出られる術を持ってる訳じゃなくてだな……」
その巨体のゴーレムが声を上げたその時、その後ろにいる小さな少女がある提案をした。
「そうだ。私テレポート持ってるじゃない!これで私達帰れるわ」
「それだ!それを使うっすよ!」
目の前の4人は嬉しそうにはしゃいでいるが、状況を飲み込めない私達2人は唖然としていた。
「阿修羅ちゃん……?これってゲーム好きでも飲み込めない事情なの?」
「私だって知らないよ!そもそもこのゲームテレポートなんて呪文無いし……!」
戸惑っている私達を横目に大蛇君は目の前の彼らに聞いた。
「テレポート、俺達にも使えないか?」
「どういう事よ、アンタ達ここの原住民とかじゃないの」
「違う。俺達はこのゲームの世界に引き摺り込まれたんだ。元の世界に帰りたい」
彼らはうーんと悩んではいたがやがて話が纏まったのかその鎧騎士が代表して答えた。
「この"呪文"は莫大な魔力が必要で一日に何回も使える呪文でも無い」
「やっぱり駄目か……」
「だが今回ばかりは特例だ。お前らを元の世界に帰す方に使う。もっとも、お前らがその場所を明確に覚えていればだがな」
「勇敢なる騎士……感謝する」
大蛇君は帽子を取り、その慈悲に敬礼した。
彼らにも彼らなりの事情があるはずなのである。だがその心は読めなかった。
「フンガー!?そんな事したら旦那、俺達が帰れなくなるのかもしれないんですよ!?」
「五月蝿い、元々俺達は追われる身だろうが。その点都合がいいしお前には関係ないだろ」
彼がそのゴーレムを諭すとまた背中から蒸気を情けなくシューと垂れ流した。
私達は遂に帰れる事を知り、喜びに浸るばかりだった。
「まぁ俺達も来たばかりだったんだがな。じゃあお願いしようか」
「待て、お前らにこれだけは伝えておきたい事がある」
「何だ?」
その騎士は息をすうっと吸い込み、落ち着いた口調で答えた。
「お前達のチームワークは確かに壊れかけているのかもしれない。だが、これだけは忘れないでほしい。3人で一つのチームなのだと」
「騎士……お言葉ですが、正確には4人います」
「何と。そいつは無事か?」
「はい。まぁ先日不慮の事故で現在入院中ですが」
「面白い。それだけ喧嘩しあえるという事はまだまだお前達も成長できるという事だ。頑張りたまえ」
彼は笑った。その取り巻きは普段こんなに笑うかという目でそれを見つめていたが。
「しかし、騎士。何で俺とそいつが喧嘩した事を知っているのですか」
「サヤ、こいつらを元の世界に帰してやってくれ」
「わかりました。"テレポート"!」
彼女が唱えると私達の周りに魔法陣が描かれる。
そこから漏れ出す光に運ばれ私達は魂ごと上へ、上へと運ばれていく。
「騎士さん、ありがとう!」
阿修羅ちゃんが手を振りながら宙に浮かぶ。
続けて私もその光に導かれていった。
「あ、ありがとうございました!」
「幸運を祈る!」
こうして私達3人のダンジョン探索は幕を下ろした。無意識の中で私はひっそりと心を休めた。
「実はここのダンジョンのボスを倒したなんて言わないとかヤイバ、格好良いじゃない。少し見直したわ」
「まぁな。迷える子羊を救うという騎士として当然の事をしただけだ」
目が覚めるとそこはいつものほのぼの屋の中だった。
隣で眠っていた阿修羅ちゃんを起こすと携帯型ゲームを枕にして眠っている。
「天丼弁当!!!」
「うわっ、びっくりした!寝起きで大声出さないでくださいよ」
「えへへ、つい癖で」
私達は顔を見合わせた。いつもの店内。いつもの制服。いつもの2人がそこにある。
「やっと……」
「戻ってこれたんだね……」
「「やった!」」
「おう、お前らも目が覚めたか。開店時間だしさっさと仕事するぞ」
扉の影からフッと顔を出した大蛇君に驚きながら不安そうに私は尋ねる。
「山田君……もしかして知らない?」
彼はふぅとため息を漏らし答えた。
「知らない訳ねぇだろ。あれだけの事を思い出すと頭が痛くなるから早めに業務始めてるだけだよ」
私達は顔を合わせて、フフッと笑った。
「さぁ、開店ですよ!稲葉さん!山田君!」
「阿修羅ちゃん!今日はビシバシ働いて貰うからね」
「うん……ちょっと自信ないかも」
「またゲームに吸い込まれても知らないよ?」
「うわああああ!?やめて、トラウマだからそれ!」
「でもお前も何かと活躍してたじゃねーか。ほら、さっさとレジ行け」
「うぅ……」
こうして私たちの経営するほのぼの屋はまた新たな"開店"を踏み出すのでした。
「俺の扱い酷くない!?」
病室で叫ぶ者が1人。彼の名は尾崎須佐野。
まだ先日受けた複雑骨折により病院生活を余儀なくされてます。
今日は私達の近況を伝えようと早めに店を閉め、看病しに来ました。
「まぁまぁ須佐野君。私達も私達で大変だったんだから」
「いや、俺もRPGの世界に入りたかったし!普通に阿修羅ちゃん戦士やってる所とか見たかったし!?」
「まぁそれほどでも~!」
照れながら阿修羅ちゃんは答えた。
何だこのゲーオタ率。私以外全員ゲーマーというのはなかなかのラインナップだなぁとは思った。
「そう言えば須佐野君!」
「何だ?阿修羅ちゃん」
「この店もう1人バイト雇うことになってて」
突拍子もなく言った彼女の一言に私もどよめいた。
「えっ、それ私も聞いてな──。」
「この子です!」
病室の扉を強く開け現れたのは学校では私達と違うクラスの子である。
紫色のワンピースを羽織っており、三日月の形をした髪留めをしている彼女は驚いている私達を見て鼻で笑った。
彼女は歩き方もスマートで美しい輝きを放ち、阿修羅ちゃんを指差す。
「貴女がオーナーね、阿修羅ちゃん」