Now loading…
カーテンを閉ざした部屋の中。エアコンの効いた少し肌寒い空間で。パソコンのキーを押す音だけが響いていた。時計の秒針が時間を刻むようなそれは、エンター入力と同時に止まる。
退屈そうな視線で、1人パソコンを見やる少年が不機嫌にため息を吐いた。彼の名前は佐々木陽人。近くの高校に通う、普通の学生だ。
彼の眼に映るのは、ゲームのインストール画面。ストーリーに分岐が多く、人気急上昇中のRPGだ。特段ゲームが好きな訳ではないのだが、皆がやっているからやろうと思った、それだけだった。スマホゲームでも、世間でブームとなったゲームが最近あったはずだ。
ゲームのインストールは既に始まっている。だが、それは一向に終わる気配が無いまま、黒塗りの画面に「Now loading…」の文字と、「25%」の表示を浮かばせていた。ヒロインと思わしきキャラクターが画面の隅で走っている。非常に可愛いのだが、この状態が既に90分以上続いているため、今となってはどうでもいいことだ。
そして、またため息を吐いてハルトは立ち上がる。
「単純計算であと4時間半以上。それまで課題でもやるか……?そうだ、確か冷凍庫にアイスあったっけな」
昨日家族は食べていたが、食べ損ねてしまったハルトの分は未だに冷凍庫で眠っているはずだ。ハルトは部屋を出て、ダイニングキッチンへと向かう。
誰もいなくなった部屋で時計の鼓動だけが、その存在を刻んでいた。




