08.ダンジョンへ潜入
翌朝、冒険者ギルドで紹介されたダンジョンへ向かう。村から意外と近かった。
こんな近くに魔物がいっぱいいるところが存在するのってどうなのかなと考えた。
小高い山のふもとにあるダンジョンと思われる穴から少し離れた所に小屋が建っていた。これがギルドの詰所かな?その建物を訪ねてみる。
「ダンジョンへようこそ」
鎧と剣をを装備した人が話しかけてきた。奥にも何人かいるようだ。不測の事態に備えて待機しているのかな?
「見慣れない顔だね。ダンジョンは初めてかい?」
「はい」
「それじゃ簡単に説明するよ。このダンジョンは5階層まであって下へ降りるほど中の魔物の強さが強くなって行く。ドワーフなら力押しである程度行けると思うからソロでも2階層くらいまでは行けるんじゃないかな?ただ、無理や油断は禁物だぞ命取りになる。今は何組かのパーティーがダンジョン内にいると思うから戦闘に巻き込まれないように十分注意して進むんだぞ。」
「ありがとうございます。それじゃ行ってきます。」
と会話を終えてダンジョンの中に入る。
洞窟のようだけど照明が無いのにもかかわらずなぜか明るい。進んでいくと大きな犬が襲い掛かってきた。難なくハンマーで粉砕すると魔物が魔石に変わる。これが魔石か集めてギルドに持っていけばいいんだよね。袋に入れて奥に進む。今度は大きな猫が襲い掛かってきたこれも難なく愛用の武器『鉄のハンマー』で粉砕する。こんな調子で1階層は難なく進むことができた。階段を見つけ下の階へ進む。
今度は大きなトカゲみたいな生き物が襲い掛かってくる。これも難なく粉砕する。何度か戦闘を行ったが特にトラブルもなく下へ降りる階段を発見した。
2階層でやめておけとギルドのおばちゃんと入り口にいるギルドの人に言われた事もあり下に降りるのを躊躇う。まあ少しだけなら見てきても大丈夫だよね?好奇心の方が勝ってしまった。
階段を下りて3階層へ進む。今度は金属でできたようなワニのような魔物が出てきた。なんか見た感じ色が鉄のような色をしていて固そうである。2階層まで現れた魔物と同様にハンマーで粉砕を試みたが硬くてダメージを与えたようには見えなかった。そこで少し距離を開けてハンマーと盾を収納し魔法書に持ち替えた。火属性魔法「ファイア」を白色の炎をイメージして相手に放つ。ワニの色が赤く変色し溶けて魔石と黒い四角の物体が残る。もしかしてこの黒い物体は・・・鉄みたいな物であった。
不測の事態が発生したときに即対応が取れるように階段から離れないように気を付けながら鉄のワニ(仮称)を探す。この後数匹の鉄のワニを見つけ同様の方法で倒していく。アイテムボックスが鉄の塊みたいな物で一杯になったところでダンジョンを出ることにする。次からはもっと沢山持ち帰ることができるように収納用の籠を用意していくのが良さそうだ。
村に戻り冒険者ギルドへ行って魔石を買い取ってもらう。結構いい収入になった。
工房に戻りダンジョン内で回収した鉄の塊みたいな物を生成用の箱に放り込み鉄の塊(素材用)ができるか試してみた。すると思っていた通り鉄の塊(素材用)ができた。これで鉄の入手が可能になった。
それから数日の間、3階層の階段付近で鉄のワニを狩った。階段付近なので下に行くにはどうしても通る必要があるため他の冒険者のパーティーとも顔を合わす事も増え冒険者の顔見知りが増えていった。完全武装の前衛職タイプやナイフなどを持ちスピード重視で戦うタイプ、弓などで遠距離攻撃を得意とするタイプなど様々であるが、魔法職や回復職のような人は見た記憶がない。高温の炎でしか倒せない上に、物理攻撃が効かない鉄のワニはどのようにして他のパーティーが処理しているかと言うと基本無視らしい。こちらから攻撃をしない限り襲ってくることは無いそうだ。おかげで工房には素材用の鉄の在庫も増え、魔石を売ったお金で所持金も増えていった。
そんなある日、武器屋の主人が工房を訪ねてきた。
「忙しいところをすまんね。ちょいと頼みごとがあるのだが・・・。以前うちの店に鉄の剣を3本売ってくれたよね?」
一瞬クレームかと思いドワコはドキドキした。
「それがただの鉄の剣なんだが切れ味や耐久性がかなり良いと好評なんだそうだ。冒険者から入荷したら売ってくれとか、ここの守備隊で使いたいから売ってくれと言われていて、そこで相談なんだが他に持っていたら売ってくれんかね?」
「何本ぐらいあればいいですか?」
とドワコが訪ねた。ここ数日ダンジョンで集めた鉄と外に置いてある木材でかなりの数は作ることが可能だ。
「さすがに持っていないと思うが50本ぐらいあると助かる」
「わかりました。あしたお店の方へお持ちしますね。」
「あるのか。助かる。それじゃ頼んだぞ。」
と言って武器屋の主人は帰っていった。
さて、そうと決まったら今から製造開始かな。素材はある程度まとめた個数を一度に作成できるが、武器や防具のような一点物はその都度材料をセットしないといけない。・・・結構めんどくさい。
なんとか暗くなるまでに納品する50本の鉄の剣を製作した。