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51.籠城戦

ドワコを離したワイバーンは広場に降り立ちエリーはワイバーンを戻した。


そしてエリーはドワコの元に駆け寄り抱きしめた。


「命を大事にって言ったじゃないですかぁ。ドワコさんのウソつき。」


「ごめんね。でもこうするしか思いつかなくて。」


「まあそこがドワコさんの良い所なんですけどね。戻ってきて早々ですけどお仕事ですよ。」


エリーがまだ何かやる事があるような言い方をする。


「負傷した兵士と避難民の治療が先ですよ」


「あっ。そうだった。」


広場の一ヵ所に集められた負傷した兵士と避難民の所へ行く。


「今、治しますので」


ドワコは「エリアヒール」を唱えた。強い光に包まれ負傷者全員か回復した。


「「「おーーーー」」」


ムリン国側の人間から見ると回復魔法と言う物には馴染みが無いらしく歓声が上がった。


「怪我人の回復までしていただけるとは感謝します」


代表してライモンドがお礼を言った。


「ご主人様ーっ。会いたかったです。」


突然誰かに抱き付かれた。ドワコの顔に柔らかい感触の物が当たっている。メルディスだった。

心地よい感触を味わっているとエリーに引き離された。


「役に立つかと思って連れてきちゃいました」


エリーが連れてきたようだ。

いつまでもこうしている訳には行かないので作戦会議を行う事にした。

マルティ王国側からはドワコ、デマリーゼ、エリー。ムリン国側からはライモンドと部隊長2人が集まった。


「これからこの砦は籠城戦に突入します。幸いすべての物資は潤沢にあるので数日程度なら問題なく戦闘が継続できます。」


「こんな少人数しかいない砦で、この人数を支えられるだけの物資があった事に驚きだ」


ライモンドが驚いている。エリーがいなかったらと思うとゾッとする。


「まあ、こちらも諸事情がありまして・・・」


ドワコは言葉を濁した。


「それで、エリー。城への報告はどうなりましたか?」


「はい。城へは詳細を報告しておきました。おそらく早くて明日には援軍が到着するかと思います」


「そちらの城からだと今日伝令が行っても、到着して部隊を率いてこちらに援軍に来るまでは3日以上はかかるはずだが?」


エリーの報告にライモンドが疑問をぶつける。


「こちらの報告は空路で行っていますので実質、援軍がこちらに向かう時間だけで済んでいます。その分短縮されています。」


「なるほど、伝令にワイバーンを使った訳だな。」


ライモンドが納得した。


「なので当面は援軍が到着するまでは城壁で牽制攻撃を行い耐えると言う方法で行こうと思います。援軍が到着次第、挟撃で魔物を粉砕します。」


「わかった。従おう。戦闘が終わればその後の協議は国を交えて行う事になるだろう。」


作戦会議が終わり、城壁で攻撃する班を2つに分け交代制で行う事になった。



「と言う訳で交代の時間までじゃんじゃん撃っちゃってください」


ドワコの指揮のもと弓矢による攻撃を行っている。幸い魔物たちは弓などの飛び道具を持っていないため、門に取り付かれないようにするだけの簡単な作業となっている。ドワコとエリーは魔法攻撃を行っている。他に魔法が使えるカーレッタとメルディスは別の班に入ってもらい今は休憩中だ。


これを夜通し交代で行い門を守った。


翌朝、明るくなり戦況を確認する。敵の残りはおよそ700まで減っている。

日が昇り昼過ぎになったところで見張りから連絡が入る。


「マルティ王国軍の姿が見えました。えっと・・・第一、第二、第三騎士団の旗が見えます。総指揮は・・・えっ?」


見張りの者が目を疑っている。


「総指揮は王妃様が取っています」


「「「!!」」」


見張りの報告に砦の者が驚く。


「あらら・・・来ちゃいましたね」


エリーがぼそっと言った。


「なぜこんな辺境の砦に王妃様が指揮する精鋭部隊が援軍に来ますの?」


デマリーゼは理由がわからず動揺している。


「よし、援軍が来たので総員出撃準備をお願いします。」


砦内の駐留部隊が出撃の準備をする。ドワコとエリーはワイバーンに乗り先行する。その後門が開き、砦内のムリン国側の兵士と砦の防衛部隊の混成軍が出撃する。


上空から指示を出しタイミングを合わせて挟撃に移る。数の上では相手が多いが、精鋭の騎士団では相手にならない。バタバタと魔物が倒されていく。砦から出撃した者たちもドワコが鍛えた砦の兵士たちを中心にバタバタと敵を倒していく。エリーは上空で待機し戦況を見守る。ドワコは魔物の中心に降り立ちカタナを振り回し魔物を切り捨てていく。


いつの間にか第一騎士団がドワコの側まで進軍してきた。


「よぅドワーフの嬢ちゃん元気そうだな」


第一騎士団の団長バーグが魔物を倒しながら話しかけてきた。


「ご無沙汰してます。援軍感謝します。」


ドワコも魔物を倒しながら答えた。


「まさか嬢ちゃんが砦の隊長をやってるとはな。魔物さんたちも相手が悪かったな。」


笑いながら魔物を倒していくバーグ。


「それじゃ、魔法で一掃するので援護よろしく。」


「あいよ」


ドワコは魔法書に持ち替え「ファイア」、「ストーン」、「ウィンド」の複合魔法を使用する。

そして周りの魔物が一掃される。


「ほう。なかなかやるね。」


バーグは思いっきり戦えて楽しそうだ。


「それじゃ、嬢ちゃん仕事だ。後方に下がって怪我人の手当て頼むわ。」


「もしかして知ってた?」


「前に聖女様の太刀筋みてピンときたよ。まあ内緒にはしておいてやる。」


「ありがと。それじゃ行ってくる。」


ドワコは後方に下がり負傷者が集められているエリアに来た。そこには王妃様がいた。


「ドワコ。話は後で、まずは手当てを優先して。」


「かしこまりました」


「・・・。・・・。・・エリアヒール。」


ドワコがエリアヒールを唱え負傷者が回復する。


「回復したものから順次戦線に戻って」


王妃様の指示で回復した兵士たちが持ち場に戻っていく。


「ドワコ。無事でよかった。今はこの戦いに勝利する事だけ考えて。」


「かしこまりました」


ドワコもその足で最前線に戻った。


程なくしてマルティ王国軍とムリン国軍の合同部隊は魔物の群れを全滅させて勝利した。ドワコの活躍により死傷者、負傷者0人(実際は重傷者等多数出ているが回復しているので結果的に0人)と言う素晴らしい戦果だった。


そしてその夜、東の砦では戦勝記念の慰労会が行われた。もちろんお酒もしっかり用意しているエリーに抜かりは無かった。


「この度の戦、皆ご苦労であった。こうして勝てたのは皆の働きのおかげだ。これからは楽しんで疲れを癒してくれ。」


王妃様の挨拶の後、慰労会が始まった。


「ドワコぉこれで心置きなく・・・」


ドワコは王妃様に捕まった。ぎゅーっとハグハグされた。満足したようで、しばらくして解放された。王妃様は他の人への挨拶回りもあるようだ。



「ドワコ様、色々と冷たくあたり申し訳ありませんでした」


デマリーゼがカレンとベラを連れてやってきた。


「ドワコ様にはなんと感謝して良いのやら・・・」


「「デマリーゼ様を助けていただきありがとうございました」」


カレンとベラもお礼を言ってきた。ちょっと照れるかも。


「隊長として当然の事をやっただけなので気にされなくても良いですよ?」


「このお礼はまた後程・・・それでは失礼しますわ」


3人は他の所へ行った。



「「ドワコ様お疲れ様でした」」


ケイトが話しかけてきた。カーレッタも一緒にいる。


「ケイトも守備隊の指揮ありがとね。的確な指示だったと思うよ。カーレッタもお疲れさま。」


「お褒め頂いてうれしいです。」


「でもドワコ様とエリーちゃん闇属性魔法が使えるなんて驚きだったよ。召喚魔法なんて話には聞いてたけど現物見るとすごいね。」


「それでは呼ばれているので失礼しますね」


ケイトとカーレッタは呼ばれた相手の元にいった。



「ドワコさんの命令守れなくてごめんね」


エリーが来た。


「そのおかげで助かったからエリーのおかげかな」


「実は・・・いえ何でもないです。もう解決したみたいなので・・・。」


意味不明な事を言うエリー。


「ご主人様~♪」


抱き付こうとしたメルディスをエリーが阻止した。


「ドワコさんは私のです。そんな事をしたらメです。」


「しゅん」


メルディスの元気が無くなった。



戦いに参加した兵士だけでなく、避難民もこの慰労会に参加している。それぞれ食べたり飲んだりして楽しんでいる。


こうして夜は更けていった。

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